- Amazon.co.jp ・本 (413ページ)
- / ISBN・EAN: 9784822813833
作品紹介・あらすじ
交響曲《運命》《田園》や《合唱》(第九)、ピアノ曲《エリーゼのために》など、数多くの名作を生み出した大作曲家「ベートーヴェン」の真実が、ここにはじめて明かされる。
メイナード・ソロモンによる『ベートーヴェン(上・下)』(岩波書店)以来、日本ではおよそ20年ぶりに刊行される、楽聖の生涯をめぐる謎に迫った大著。
これまで描かれた肖像画がどれほど理想化されていたか(第2章)、社交界の女性たちや「不滅の恋人」との関係の真相(第4-5章)、甥の親権をめぐる裁判沙汰(第6章)、「第九」の歌詞に込められた若き日からの思い(第9章)……そして巻末付録には、彼の生涯を巡る最大の謎とされた「不滅の恋人」への手紙の全訳を収録。
構想に3年、執筆に2年をかけた、日本を代表する音楽評論家による畢生の書き下ろしである。
感想・レビュー・書評
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「ベートホーフェン」という呼称から、誤って広まった神話を打ち砕く解説はおもしろかった。
しかし、所々でてくる蔑称に辟易。
また、文献を読み込み、論述しているにちがいないが、巻末に参考文献が記載されていないことも不満。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
聖人ではないかもしれない。人としての苦しみや悩みなどを持ち、愚かな行動を取ることもある普通の「人間」としての姿がつづられていましたが、その苦しみや悩みある人でありながら、自分の心の中にある理想の音楽に向き合い続けた、天才であるだけでなく音楽に真摯な方だったのだと敬意を感じました。終章の第九の生まれた背景、経緯もとても面白かった。
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いつもながら、面白い。
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ベートホーフェンの真実に迫るため、様々な文献を駆使、分析し書かれており、目から鱗のような斬新な考えが示されている。タイトルにもあるように「神話」として語られてきたベートホーフェンの逸話の数々だが、この本を読むことで、その脚色の多さに驚かされる。
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本書は副題「神話の終り」に見られるとおり、ベートーヴェンにまつわる神話がどこまで信頼できるものかを典拠にあたりながら明らかにしたものである。
そもそも名前の表記にしてからが、<ベートーヴェン>が神話に属し、<ベートホーフェン>が当時の実際の発音であったというのは意外ではあったが、フランドル地方の地名にはアイントホーフェンがあったり、第一次大戦のドイツの撃墜王の名は確かリヒトホーフェン、さらには幕末明治の蘭学者たちのオランダ語式発音表記を思い出すと、やはりそうだったかという思いもする。
旧作『西洋音楽からみたニッポン 俳句は四・四・四』もそうであったが、この著者の発想は妙というべきか、斬新というべきか。ひたすら感心するばかりである。