白神山地マタギ伝: 鈴木忠勝の生涯

著者 :
  • 七つ森書館
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本棚登録 : 33
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822814106

作品紹介・あらすじ

忠勝の死(1990年)に関して、「これで目屋のマダギも終わったナ」という何人かの村人たちの噂を私は耳にしている。たしかに鈴木忠勝(明治40年=1907年生)は名実ともに、村の誰もが認める最後の伝承マタギだった。忠勝はマタギ集団のリーダー、すなわち「シカリ」として知れ渡っていた。忠勝がマタギであることを否定する村人は一人もいない。(はじめに)
──永年にわたる付き合いのあった著者が、残されたたくさんの写真と録音から、白神山地の最後の伝承マタギの生涯を綴ります。著者の白神山地シリーズの最終作といえる大作です。

感想・レビュー・書評

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  • 世界遺産に登録されたことによって、本来の山の生活が終焉してしまったことに寂しさを感じて読了。

  • 動物を撃つハンターと、伝承マタギはどこがちがうのか、伝承マタギを明確に定義した部分が興味深かった。
    鈴木忠勝の伝記というより、取材した内容を記録している本。主にクマ狩りの様子。しかし、その口調はリアルで、生々しい。

  • 青森県西目屋村に住んでいた鈴木忠勝・明治40年生まれは白神山地の最後のマタギだった。

    忠勝の言葉を方言も含めてそのまま記録されているのがいい。忠勝の雰囲気や息使いを感じられるよう。

    マタギは猟師やハンターと同じかと思っていたのだけど、勘違いをしていた。
    山とともに生きるマタギの矜持は、たしかに単なる愛好狩猟とは違うものだと思う。
    そしてこの本で言うマタギとは、現在の自称マタギとも一線を画している。

    本文より。
    「行政による入山禁止規制措置で、人と自然とのかかわりが否定されるようになって以来、一般の入山者が減少し、杣道は跡形もなく消滅しつつある」

    白神山地が世界自然遺産に登録されたことで観光面ではずいぶんプラスになっただろうけど、古くから山とともに生きた人間には辛く感じることもあっただろう。

    「いちご離れ」
    仔グマが生まれて2年目の夏、野いちごを仔グマが夢中で食べているすきに、母グマは仔グマを置き去りにして別れるという「いちご離れ」。
    このエピソードが心に残った。頑張れ仔グマ!

  • 「白神山地マタギ伝 鈴木忠勝の生涯」根深誠:著
    森との関わり生き生きと 評者=宇江敏勝:作家・林業家
    Chunichi/Tokyo Bookweb
    http://www.tokyo-np.co.jp/article/book/shohyo/list/CK2014102602000174.html

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    http://www.pen.co.jp/index.php?id=740

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著者プロフィール

根深誠

1947年、青森県弘前市に生まれる。明治大学山岳部OB。日本山岳会会員。日本勤労者山岳連盟顧問。73年以来、ヒマラヤの旅と登山を続ける。84年にはアラスカ・マッキンリー山(現・デナリ)で行方不明になった植村直己さんの捜索に参加。これまでにヒマラヤの未登峰6座に初登頂。故郷津軽の自然を愛し、白神山地を歩き尽くす。ブナ原生林を東西に分断する青秋林道の建設計画が持ち上がった際には、反対運動を立ち上げる。主な著書に『遥かなるチベット』、『山の人生』、『いつか見たヒマラヤ』、『ネパール縦断紀行』、『風雪の山ノート』、『世界遺産 白神山地』、『ブナの息吹、森の記憶』『白神山地マタギ伝 鈴木忠勝の生涯』など多数。

「2019年 『渓流釣り礼讃』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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