テトリス・エフェクト―世界を惑わせたゲーム

  • 白揚社
4.05
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本棚登録 : 230
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784826901987

作品紹介・あらすじ

冷戦終結間際の1989年2月。日本で小さなゲーム会社を営むヘンク・ロジャースがモスクワに降り立った。そのあとを追うように、さらに2人の西側諸国の人間がモスクワへと入った。目的はただひとつ。それはソ連政府の管理下にあるテクノロジーで、当時すでに世界中の人々に途方もない影響を与えていた代物-「テトリス」。開発からライセンス争奪戦、ゲームボーイでの大ヒットまで、綿密な取材に基づいて描く、伝説的ゲームの驚きの実話。

感想・レビュー・書評

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  • 【正方形に魅せられて】冷戦末期にソ連のエンジニアが発明したテトリス。プレイする者をたちどころに中毒状態にさせていく魔のソフトの噂を聞きつけた西側諸国の商売人たちは,そのライセンスを獲得しようと熾烈な競争を繰り広げるのだが,彼らの前に立ちふさがったのは,知的財産の商取引について知見も経験も有しないソ連の官僚組織だった......。著者は,テクノロジー・ニュースサイトのCNETで編集者を務めるダン・アッカーマン。訳者は,経営コンサルタントとしても活躍する小林啓倫。原題は,『The Tetris Effect: The Game That Hypnotized The World』。

    本年の私的ナンバー1級の作品。面白いノンフィクションの条件として,そもそも主題の「目の付け所が良い」というのがあると思うのですが,これ以上ない魅力的なテーマについて掘り下げた稀有な一冊だと思います。ちなみに,テトリスのBGM(あのなんとなくロシアっぽいやつです)を聴きながら本書を読むとさらに楽しみが増しました。

    〜テトリスはアイデア,製品,そして時代がこれ以上ないタイミングでかみ合った稀有な例だ。〜

    久しぶりにテトリスをプレイしたくなること間違いなしです☆5つ

  • テトリスは馴染みのあるゲームだが、こんなウラがあったとは。
    ゲーム好きなら楽しめる本。

  • 二人の主人公からなるテトリスがこの世に出てくるまでの物語。利益をなかなか手にできないパジトノフの心情がもっと知りたかった。

  • テトリス大好き人間として必読の書。めちゃめちゃおもしろかった。

  • テトリスはソ連で開発

  • ノンフィクション

  • [評価]
    ★★★★★ 星5つ

    [感想]
    誰もが何処かで一度は見たことであるだろうテトリス
    テトリスがソ連で制作されたゲームだということは知っていたが鉄のカーテンを越え、世界に流通し、落ち物パズルゲームの確固たる地位を気づく前に波乱万丈だったとは知らなかった。また、パソコンが一般企業でも使われるようになる時代の雰囲気のようなものがよく書かれていたように思う。
    特に今も存在する日本の某大手電機メーカーが登場人物の一人に対し、明らかな犯罪行為を業務命令で支持し、拒否して別の仕事を受けたら社内会議で吊し上げにしようとする辺りで思わず笑ってしまった。今は大丈夫かな。

  • 全世界で10億ドル以上の売り上げを記録しているモンスターゲーム「テトリス」。冷戦下のモスクワで産声を上げ、やがては世界を席巻したこのゲームは西側、東側といった世界構造のひずみの中で数奇な運命を辿る。モスクワやハンガリーといったごく一部でしか話題になっていなかったテトリスにイギリスの凄腕セールスマン、ロバート・スタインが目を付ける。そして彼は共産主義圏の人々が西側諸国の商取引に無知であることに付け込み、曖昧な論法でテトリスの権利を取得したと主張し、イギリスのメディア王と組んで全世界で勝手に販売を始めてしまう。
    スタインのその曖昧なライセンス契約により、他のセールスマンや、モスクワ側は翻弄されてしまう。けれどそこが逆に勝機と見た人物が日本初のファンタジーRPG「ザ・ブラックオニキス」の製作者ヘンク・ロジャースで、彼は任天堂の代理人としてモスクワに入り、西側の商習慣を丁寧に説明した上で当時のロシアにとっては破格のライセンス料を提示し、正式なライセンスをスタインから奪い取ることに成功する。それからすぐに発売が決定していたゲームボーイとテトリスとは非常に相性が良く、全世界で四千万本以上売れたという。
    けれど、共産主義国であったため、テトリス製作者のアレクセイ・パジトノフにはベルリンの壁崩壊後ですら一銭も入って来なかったという。彼がようやくセレブの仲間入りをしたのは90年代になってからのことだった。まるでスパイ小説を読むかのように、テトリスのライセンスを巡るソ連、イギリス、日本、アメリカを舞台にしたロジャースたちの駆け引きが精緻に描かれ、ゴルバチョフ書記長も絡んだりと、改めてとんでもないゲームだったのだと知る。
    実はテトリスをそんなにプレイしたことがなかったのだけど、これを機に遊んでみたくなった。テトリスの心理学における効用についても付録のような形で述べられており、それによるとPTSDをもたらす衝撃的な出来事に遭った直後にこのゲームをすることで記憶の固定化を軽減させ、フラッシュバックによる衝撃を緩和させる効果が期待できるとのこと。それもすごい。

  • 献本にていただく。

  • ソ連で開発された「テトリス」のゲームボーイ版の、発売権獲得競争に関するノンフィクションで、すげー面白い。

    当時のソ連とビジネスをやる困難さが良く伝わってくる。ジャンルや時期は微妙に違うが、新日本プロレスやリングスは、よくソ連人をリングに上げられたなあ。

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