スポーツを変えたテクノロジー―アスリートを進化させる道具の科学

制作 : 浅井武 
  • 白揚社
3.42
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本棚登録 : 72
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784826902199

作品紹介・あらすじ

一流選手が昔のシューズで走ると、タイムはどれほど遅くなる?

ボールやラケット、シューズやウェア、自転車などのスポーツの道具はテクノロジーと共に進化してきた。
革新的な技術や素材は競技をどう変えたのか?
昔のシューズやウェアを使うと、記録はどれほど変わるのか?
古代ギリシャの陸上競技から現代の球技や水泳、スケートや自転車まで、スポーツ工学の第一人者が世界各地で検証する、ユーモアあふれるスポーツ4000年の旅。

感想・レビュー・書評

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  • 道具の進歩による記録の向上。スポーツの起源から始まり、現代そして未来のスポーツの記録とテクノロジーを語る力作。

    競走と賭けは人類の本能だろう。駆けっこに始まり少しでもボールを遠くへ飛ばしたり。道具やルールが加わりやがて競技になっていく。新技術の採用による記録の向上そしてルールの変更。

    本書には出てこないが箱根駅伝の厚底シューズによる区間記録の連発もテクノロジーの進歩の一例だろう。

    本署は走る、跳ぶ、投げるから、いくつかの競技の技術の向上を分かりやすく例示していく。たとえばゴルフボールのくぼみ(ディンプル)。空気がボールの後方に流れやすくなり、抗力も下がり飛距離が伸びるという。

    最近の事例では水泳の全身ポリウレタンの水着。タイムは向上するが、けっきょく使用は禁止となった。他にもゴルフやテニスなどでも技術の向上が競技の魅力を損ねることもある。多くの競技で新技術の誕生によりルール改正が行われる。

    多くのテクノロジーの中で筆者が最も大きなものとして、加硫したゴムを挙げる。ボールだってシューズだってタイヤだって産まれなかっただろう。

    筆者は元々は物理学専攻。自身もスポーツマンであり、スポーツ工学の先覚者的存在。難しい理論を分かりやすい語り口と豊富な歴史的知識で語る。

    東京2020大会がコロナでどうなるかは分からない。だが「より速く(citius)より高く(altius)より強く(fortius)」は人類の根源的欲求。スポーツテクノロジーは今後も進歩を続けることだろう。

    スポーツ観戦にも実際のプレーもきっと楽しくなる一冊です。

  • 著者は、スポーツ工学の研究者。 スポーツで使用される道具やスポーツテクノロジーの歴史、進化、変遷について紹介する。
    世界には様々なスポーツがあるが、特に記録として残っているスポーツ(例えばオリンピック種目など)は、選手たちのレベル向上や道具の進化がわかりやすい。 著者は、スポーツ工学の専門家で、長年記録の向上につながる道具の開発に携わってきた。道具テクノロジーの進歩とルールの変更は関連性が高く、もぐらたたきのような状況にあるようだ。道具に共通するのは、材質の変更。これによって記録が更新される事例が多い。 例えば、テニスのラケットが、木材からアルミやカーボンファイバーに変わっただけで球速が上がり、プレイのスタイルも変わり、テニスの細かい規定やラケットのサイズ、ボールまでが変更される。 このような事例が、他のスポーツでも頻繁に起きるようになった。 スポーツがこの先どこへ向かうのかまで考察されており、大変面白かった。 観客も最新のトレンドやテクノロジーを理解していれば、よりスポーツが楽しめると思う。
    因みにテニスを教えてくれた会社の先輩は、「テニスの腕をラケットでカバーする」と言って、新しいモデルが出る度に買い替えていた。しかし、ラケットを変えても、上手くなった「気分」にはなるが、腕は上がらない。
    この本で言う道具のレベルは「プロ」レベルの話であって、素人は「練習」が一番のレベル向上になると思う。

  • スポーツの道具はテクノロジーと共に進化してきた。
    その裏側の成功や悲劇のストーリーを紹介し、アスリートを進化させる道具の科学に迫る!

    2023年10月期展示本です。
    最新の所在はOPACを確認してください。

    TEA-OPACへのリンクはこちら↓
    https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=BB00551242



  • タイトルに惹かれて読み出して、読んで行くうちに著者の方の興味と分野の広さただ者じゃねーぞと調べたら20年来のスポーツエンジニアリング学界のパイオニアで、専門誌の創立編集者で、adidas、puma、Callaway sport、FIFA、ITF、UK SPORT等と協力して機材の開発やパフォーマンス分析などを担当し、2008年からTeamGB等のパフォーマンス分析システムを請け負い、ロンドンリオ合わせて60を以上のメダルを獲得してきたスーパーサイエンティストで、さらに昨年のマンチェスター・マラソンを3h17mで走ったガチアスリートなことを知ってこれは面白くないわけないと、でやっぱり面白かった

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50212823

  • ゴルフやテニスの用具の開発に効果測定に関わってきた第一人者の著者が綴る、テニスラケット、ゴルフボール、スケート靴、水着、自転車の用具の進化とそれへの対応の歴史。基本的にはいたちごっこであり、近年記録の頭打ち化は進んでいるのも相まって、今後は薬物、マイクロマシンドーピングが進んでいくことになろう。

  • スポーツの歴史・テクノロジーの2つの側面で様々なスポーツの発展の経緯を知ることが出来ました。

  • 手動計測0.23秒 スタート時間が遅くなる
    スターティングブロック1920年代後半に発明
    フライング検知付きへ

    フットボール
     豚の膀胱を革で包んだもの→1880年ころゴムへ

    テニス
     1976年 ヘッド アルミ製特大ラケット →カーボン製 
     
    ゴルフ
     17世紀 革袋にガチョウの羽のボール →ガッティ(グッタペルカ)
     1901年マレー 風洞試験
     1905年テイラー ディンプル付き

    水泳
     19世紀から広まる 女性はドレスの裾におもり
     1900年初頭 ケラーマン 黒いウール全身を覆うワンピース型 
     Speedo オーストラリア 靴下から 水着「レーサーバック」へ
     1992年 ライクラ+ナイロン 小型から一転、体を覆うものに
     2000年 ファストスキン サメのうろこを再現
     2008年 LZR 体を圧縮、ポリエステル+ポリウレタン疎水性
     2009年 アリーナ Xグライド 全体ポリウレタン
     2010年 国際水泳連盟 全身ポリウレタン禁止 記録の停滞

    自転車
     1885年 ローバー 安全自転車 クランク+チェーン
     1890年 ダンロップ 空気タイヤ ミシュラン 交換可能に
     1896年 オリンピック競技

    スケート
     1850年 木製からスチールへ フィラデルフィア
     1974年 スキンスーツ 
     1984年 スラップスケート

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著者プロフィール

シェフィールド・ハラム大学・高等ウェルビーイング研究センターの創設者・ディレクター。スポーツ工学を世界的な研究分野に育て上げ、初の学術誌を創刊し、世界最大のスポーツ工学研究団体を設立した。
アディダス、プーマ、キャロウェイゴルフといった企業のほか、国際サッカー連盟や国際テニス連盟などのスポーツ統括団体に協力。2014年、英国研究会議によって「イギリスで最もインスピレーションをもたらす科学者」の一人に選ばれた。

「2020年 『スポーツを変えたテクノロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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