ルーズな文化とタイトな文化―なぜ〈彼ら〉と〈私たち〉はこれほど違うのか

  • 白揚社
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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784826902366

作品紹介・あらすじ

たった一つの尺度で社会は読み解ける!

ルールに厳しい「タイトな文化」と、ルールにうるさくない「ルーズな文化」。両者の違いを理解すれば、お国柄の違いから社会階級の格差、組織内のもめごと、さらには国際紛争やテロまで、現代社会のさまざまな差異や分断を読み解ける。長年にわたる国際調査にもとづいて、〈タイト/ルーズ〉の尺度で社会を解読する画期的な研究。

感想・レビュー・書評

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  • 異文化、引いては個人間の"差"に対峙する時の姿勢を改めて実感できた。本書では国による国民性の違いから、米国内の労働階級差やISISなどのテロ行為など幅広い事象に対してルーズかタイトかという物差しで考察している。複雑化したものごとをシンプルに捉えようとする、「それはルーズか、タイトか」というフレーミングは納得。本の構成としては、このフレーミングを使って、あれやこれやと対象を変えるだけなので結果は自ずと想像できるたので、飛ばし読みもした。複雑になればなるほど、シンプルなフレームワークの効果は発揮される。

  •  タイトル通り、ルーズvsタイトで国や階級など様々な事柄を分類・分析している。国際比較研究は、古くはホフステッドの企業文化に関するもの、経済活動においてはウィリアムソンを代表とする組織vs市場、小集団における個人の価値観にからんではベールズのSYMLOG等があるが、本書はそれらの研究に匹敵するほど、興味深く、何よりわかりやすい。世の中は、ときに、極端から極端へ大きく振れていくこたがあるが、いずれは中庸に戻っていく。それが多くの人には最も居心地が良いということだろう。ゴルディロックスは正しい。今年読んだ中で一番の収穫でした。

  • タイトとルーズと言う視点で世の中を見たことがあんまりなかったなーと新たな気づき。なんとなくルーズのメリットが目につく文体だったけど、結局はバランス。
    この原題からこの日本語訳は面白い。

  • ルールに厳しいか否か

  • リサーチアシスタントを使って、どのような規範が国や州であるかを調べたものである。それを単純化してタイトとルーズにした。アメリカの各州による規範の違いも書いている。物事を非常に単純化しているが実際はそうではなかろう。

  • ロンドンに向かう機中で、読了。
    ルーズとタイトの違いを内外で感じるこの頃、興味深い分析だった。
    ゴルディロックスの話は、ビジネスでも良く登場する寓話。再確認する機会になった。


    - 脅威にさらされる環境が、タイトなカルチャーを生む
    - タイトとルーズは周期により変わる
    - 上流層はルールを破るものに価値を見て寛容でルーズ、対照的に下流層はルールを守る事が大事でタイト
    - 規範逸脱人形マックス
    - 下流層は同調性が高い
    - タイトとルーズの差が大きい国同士のM&Aでは、大きな代償が伴った
    - リーダーは組織のタイトとルーズがバランスの取れた両利きを目指せ
    - セサミストリートのキャラクターが様々な人間の違いを説明できるマペット理論
    - ゴルディロックスの原理、タイトとルーズの中庸がベストは正しい

  • 社会のさまざまな分断、問題をルーズとタイトな文化という観点から切り直して分析している本。
    切り口は面白いし、成程と思う点も多いが、やや無理矢理なデータ解釈もあるかな?と感じる点も。
    おそらく、社会的な問題は1つの切り口や軸で解釈できるものではなく、複合的な要因があるので、主要な要因と思えない事象にも文化の差を当てはめる違和感を感じたのではないかと思う。
    どちらも得意分野と不得意分野があり、個人単位で見ると場面や求められる役割によってグラデーションがあるだろうし、ちがいがある、と認識することが大事だと感じた。
    これは、もっと若い時に読みたい本だった。

  • レビューはブログにて
    https://ameblo.jp/w92-3/entry-12740172627.html

  • ルーズな文化とタイトな文化 ミシェル・ゲルファンド著 鮮やかな切り口で社会分析
    2022/4/9付日本経済新聞 朝刊
    世界にはさまざな国や文化がある。本書は、街の清潔さから校則、司法のあり方まで、「ルーズとタイト」という鮮やかな切り口で、人間社会の多様性を分析する。


    アメリカやニュージーランドは、ルールを守るということについて比較的ルーズな国である。一方、ドイツやシンガポールのように、厳格に規則を守ることが重視されるタイトな文化もある。そのような違いの背景について、目からウロコの論が展開される。

    過去の侵略や戦争の歴史、自然災害の頻度、社会の中の多様性、人口密度、疫病の経験。さまざまな要因によって、ルーズとタイトの文化が生まれる。

    ルーズな文化は、創造性や自由の精神に富む。一方、タイトな地域は治安や生活の規律にすぐれている。両者はトレードオフの関係にあり、どちらかが一方的にすぐれているということは言えない。

    州ごとに性格が異なるアメリカや、部門によって文化が共存する企業のように、ルーズとタイトのハイブリッドが最も柔軟で強靭(きょうじん)な適応力につながることもある。

    移民や、企業間の合併の場合のように、ルーズとタイトの文化が出会う場合もある。そこで何が起こるのか、これからのグローバル経済の試金石としてのケーススタディが興味深い。

    ルーズか、タイトか、どちらかの両極端ではなく、中庸こそが大切であるという、「ゴルディロックスの原理」が語られる後半は、本書の読みどころの一つだろう。

    各地のさまざまなルーズ、タイトな社会の事例を豊富な統計データに基づいて知ることは、人類文化の多様性を知るとともに、自分自身の立ち位置を測る上で大切な「鏡」ともなる。

    ちなみに、日本はどちらかと言えば「タイト」な文化圏。日本の強みも弱みも、他の社会のあり方と向き合うことでさらに深く理解することができるだろう。

    ゲルファンド氏はスタンフォード大学経営大学院の組織行動学教授。随所に著者自身のグループの研究成果が引用され、その多くが思わず原論文にあたって精読したくなるほど魅力的。

    ルーズも、タイトも、すべて人間の営みの一側面。手元において読み返すとともに、思わず誰かに勧めたくなるような快著である。

    《評》脳科学者 茂木 健一郎

    原題=RULE MAKERS, RULE BREAKERS(田沢恭子訳、白揚社・3080円)

    ▼著者は米スタンフォード大教授。専門は比較文化心理学、組織心理学。

  • 東2法経図・6F開架:KW/2022//K

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著者プロフィール

スタンフォード大学経営大学院組織行動学教授、スタンフォード大学心理学客員教授、メリーランド大学カレッジパーク校心理学特別教授。専門は比較文化心理学、組織心理学。文化や社会規範に関する画期的な研究は高い評価を受け、数々の賞を受賞。『ワシントンポスト』『ニューヨークタイムズ』などのメディアにも何度も取り上げられている。

「2022年 『ルーズな文化とタイトな文化』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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