- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784826902519
作品紹介・あらすじ
全員が同意する「客観的な世界」は存在しない友人と一緒だと、坂の勾配がゆるやかに見える。糖分を摂取すると、物までの距離を短く見積もる。嫌悪感を抱きやすいと、政治的に保守になりやすい。見る人によってはもちろん、同じ人でもその時々で、世界の見え方や物事に対する考え方は大きく違ってくる。なぜ、そんなことが起きるのか?事実の認識にズレを生む〈知覚〉の正体に心理学・科学的に迫り、個人だけでなく、社会や人類への影響までも俯瞰する。:::::::::本書の推薦のことば:::::::::人間というものを理解したい人は――それが部下に効率的に働いてもらうためであれ、人を幸せにするためであれ、他者の選択に影響を及ぼすためであれ――(……)人間の経験をとらえ直すところから始めねばならない。――ハイディ・グラント『人に頼む技術』『やり抜く人の9つの習慣』著者このうえなく刺激的で、読みやすい一冊。――メルヴィン・グッデイル『もうひとつの視覚』共著者だれもが蒙を啓かれ、読書の愉悦にひたることだろう。――スコット・バリー・カウフマン『FUTURE INTELLIGENCE』共著者
感想・レビュー・書評
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人間の認知が身体と不可分のものであることを様々な実験や研究の引用から説いていく。これは、認知科学の一部で示される「脳をコンピュータのハードウェア、心をソフトウェアに見立てるモデル」に対する批判的な立場である。
心身の状態によって坂の勾配の見え方が変わったり、糖分摂取の状況により目的地までの距離の見積もりが変わったりするという実験結果は、身体と認知の密接な関わりを示しており非常に興味深い。
本書で何度も繰り返される「あなたは世界を見ているのではない。『あなたが見る世界』を見ているのだ。」というフレーズがそれを端的に示している。
後半では自身の属する社会集団によって人の認知が左右される事例や実験が多数示される。自分が属している社会集団や文化が認知に多大な影響を及ぼしているという点で、 全員が同じものを見ているという「客観的な世界」は存在しないと著者は主張する。 -
人の知覚、感情、思考は、脳だけでなく、自らの身体的特徴、今いる環境、育ってきた文化に大きく依拠することを心理学的知見からわかりやすく解説する一冊。
いわゆる決定論の立場に連なるが、宿命論ではなく、人の感情・思考もまた同じように外部の影響を受けて変われる、ということを明らかにしてくれる。
昨今、AI(人工知能)が進化し、人間も「脳」の重要性がクローズアップされるが、身体、環境、文化の影響を受けるかどうかで、AIと人間とは決定的な差異があると感じた。 -
非常に読み応えがあり内容もとても興味深い。
読んで感じたのは
「この世界は自分の身体が認知している」
ということ。
非常に面白かったです。おすすめ。