お客様はなぜ「伊勢丹」を選ぶのか

著者 :
  • ぱる出版
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784827203738

感想・レビュー・書評

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  • 最近新宿行くときは、だいたい寄ります。ぶれない経営理念を遂行するため、ヴィジョンを描き、ミッションをクリアし、”飽かず、弛まず”業務改善を継続する。SKUはStock Keeping Units=単品最小単位。職場の約束運動、高い商品等の知識の話しはディズニーにいた福島文二郎氏も同様のことをセミナーで述べていた。

  • ★読む目的 !
    百貨店業界を研究する!

    ★INPUT  
     ・三越と伊勢丹の統合は『三越が伊勢丹に救いを求めた』形で行われた。統合は合併と違い、1つにまとめ一気に変えるのではない。従来通りそれぞれの店名も変わらず、現状を維持しながら、穏やかに変革をしていく。三越の売り場は『商品はたくさんあるが、ほしいものだけがない』状態であった。  
     
     ・三越の営業利益率は1.6%程度で、伊勢丹の営業利益率は4.1%(2006年)。利益率が低いと言うことは、商品の仕入れ値が高く、在庫や物流コストや人件費が高いなどの現われ。百貨店は個店主義が強く、店舗が違えば仕入れ先や商品も違い、非効率に陥りやすい。特に三越は本店に地方がおんぶにだっこ状態で、地方百貨店の改善が進まなかった。三越は伊勢丹のノウハウがほしかった。  
     
     ・伊勢丹にとって統合のメリットは、三越のブランドを生かせること。三越は百貨店の代名詞で、伊勢丹をはるかにしのぐ歴史とブランド力を持っている。三越は衰えてはいるが、腐っても鯛であり、富裕層には圧倒的な強さを誇っている。三越は、20代~30代女性向けのファッション衣料に決定的に弱い。それぞれ補完作用あり。  
     
     ・百貨店の販売方法というのは、歴史的におおざっぱだった。単品管理がされておらず、売れ残っても返品すればよいとうスタンス。よって欠品が多く、欲しいものがないという状態。仕入から販売まで精度を高めていけば、欠品もなくなり、売れる機会も高まる。店員の質、100万アイテム(1700SKU)の単品管理、QR(クイックレスポンス)、VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)などを用いて販売方法を高精度化する必要があった。これに気づき解決したのが伊勢丹や大丸である。  
     
     ・伊勢丹は独自ブランドを作るようになる。伊勢丹でしか買えないオリジナル商品(オンリーアイやIQなど)を投入し、独自性を出することで『ファッションの伊勢丹』を確立していった。また『解放区』(自主編集売場)には、自分たちで発掘した、無名だが才能のある若いデザイナー達の商品を並べ百貨店業界に衝撃を与えた(百貨店では長い実績と強いブランド力がないと、取引できないのが当たり前だった)。ちなみに『解放区』から全国ブランドに成長した代表格は『アナ・スイ』。   

    ★ウガンダの感想  
    BCJPのメルマガに感想は書きました!
    http://archive.mag2.com/0000248012/20100226100000000.html

    ★一言で言うなら  
    『感性と科学の融合!』

    ★OUTPUT  
     ・伊勢丹のメンズ館に行ってみる
     2003年伊勢丹本館に隣接してオープンしたメンズ館は、百貨店業界関係者には目から鱗の衝撃。メンズ館の成功は、男はファッションに興味がない、という思い込みを完全に払拭したこと。  
     
     ・買いやすい売り場『3つの条件』にトライする
     『①たくさんの商品が②1つの売り場で③比べながら買える』売場作りを考える。ブランドの垣根を越えて、1つのコンセプトのもとに商品を取り揃えることを、伊勢丹は意識的に行っている。例えば、ハンドバック売り場やリ・スタイル売場では、有名ブランドのブースで仕切らず、有名無名ブランド関係なく1つの場所で展開。  
     
     ・ハコと平場を視察する
     ハコというのは、ブランドメーカー丸抱えで販売している売り場のこと。例えばグッチやプラダなど。ほとんどの百貨店がこのスタイル。限定されたお客様のみしか入りにくい。それに対し、平場というのは、ブランドの垣根を崩し、1つの売り場で多くのブランドの商品を売っている売り場のこと。  
     
     ・百貨店とアパレルメーカーとの戦い①
    ハコと平場の関係には百貨店とアパレルメーカーとの長い戦いの歴史がある。百貨店が小売りの王者と呼ばれた黄金時代、アパレル側は百貨店側の無理難題(売れた商品だけを精算し、残りは返品)をきかざるを得なかった。それをオンワード樫山が、返品OK、販売員も出します、在庫管理もします、そのかわり値段を自分たちで付けさせてくれと持ちかけた。百貨店には願ってもない話なので了承。丸投げした結果、メーカーは返品リスクを上乗せした価格設定をし、百貨店はこの価格を動かすことができなくなってしまう。
     
     ・百貨店とアパレルメーカーとの戦い②
     百貨店側に一定の手数料は入ってくるようになるが、販売動向が掴めず、お客様の顔が見えなくなってしまう。危機感を覚えた百貨店側は、商品買い取りで自主売場の作成を試みる。商品買取だと大幅な値引きをされてもメーカー側は文句を言えない。ブランドイメージを損なわれるのを恐れたメーカーは、売れ筋商品を自主売場には出さず、売れない商品を出すようになった。結局売れない商品ばかりが並び、メーカー丸投げ売り場より20~25%ものコストがかかってしまう。自主売場はほとんど育たず、売り場はハコばかりになり、どの百貨店も特徴が出せなくなってしまった。

  • この本を読んで、伊勢丹の経営戦略が少し分かったような気がします。お客様に選ばれ、売れているのにはやはり日々の努力がとても大切なのだと思いました。

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