新装版 積木の恋 (単行本)

著者 :
  • フランス書院
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784829680520

感想・レビュー・書評

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  • これまで凪良ファンを語りながら、一般文芸ジャンルばかりを読み続け美しい彼以外はBL作品を手に取ってこなかったけれど、今回この作品を手に取って一行目から驚いた。
    文芸作品では一度も描かれていない神の視点描写の凪良作品。透寄りではあるにしても、一人称でない文体で書かれる凪良作品は非常に新鮮だった。
    一人称だからこそ描ける繊細さ、感情を抱えた本人にしか(場合によっては本人すら)気付けない心の機微を紡ぐ作家さんだと思っていたので神の視点で作品を描いてもこんなに繊細に物語を紡げるのか。と改めて凪良先生の底なしの才能と深みを堪能できた作品でした。

    相変わらず読みやすいけどそれでいて優しく繊細な至極の一作。

  • 凪良有さんのデビュー前の小説だそうで〜
    これは
    BLマンガですね

  • 当たり前に好きです!!
    切なくて優しい愛の物語でした。加賀谷のまっすぐなところと蓮のスパッと物事を考えられるところが素敵!好きだからこそ嫌われたくないと思って甘えることのできない蓮に共感しました。でもどちらの立場にも共感できます!クリスマス編は涙( ; ; ) こちらからしてみればちょーお似合いカップルなので末永くお幸せに!という思いです。2人とも不器用で可愛いです。
    今まで色んな凪良ゆう先生の作品を読んできたなかで、この2人は原点ともいえる存在なのかなぁと思いました。
    繰り返し読みたい心温まるストーリーでした。

  • 初めてこういうの読んだけど面白い。ハッピーエンドだからなおさら良い。有名監督が昔ポルノの助監督だったみたいな?下世話?古い?ごめんなさい。

  • 夢中になって読み耽った1冊です。
    詐欺師と医師家系の長男との組合せ。

    育った環境が違い過ぎてお互い理解出来ない部分が多い事実を物語風に纏まって行くのではなく、一つ一つのふたりの、特に蓮の言動が納得のいくもので、頷きながら、幸せを願いながら展開を追いかけました。

    人を信じたり愛情を持ったりするという事は裏切りや失ったときの悲しさも表裏一体として伴うもので。
    その辛い思いから回避する為に本気で信じたり頼ったりすることを避けたくなる気持ちに共感。

    だけど本気で、本音で愛する人と向き合うことでしか得られない多幸感、または辛みも自分しか味わえない大事なもので、それが人と生きるという事かなと改めて感じさせられました。
    ふたりのこれからに幸あれ!!

    片方からみれば理不尽としか思えない出来事や発言でも逆側に立ってみれば無意識な差別的言動であったり。
    凪良先生の作品は1つの出来事を様々な角度の人々の視線で描かれているので奥深く読み応えがあります。

    凪良先生作品は一般書籍は全て読破。BL作品は『セキュリティ·ブランケット(㊤㊦)』で衝撃的にはまり、書店で手に入る限りの作品は全て読みましたが、10年以上前の作品はなかなか手に入らずだったので、今回新装版として出して頂いてもの凄く嬉しかったです。

    ジャンル問わず作品として胸を打つ作品ばかりなので、是非沢山の方と共感出来たら嬉しいです!

  • 凪良ゆうさんの原点に触れられた…!あとがきで拙い!とおっしゃっていたけど、すごく素敵なお話だった。恋愛って、自分にできないこと、自分にないところに惹かれるよね!というのを具現化してくれた物語。『滅びの前のシャングリラ』の読書ノートを書いた直後に本作を少し読み返すと、同じ温度を持ったあたたかい文章に、心から力がふっと抜けた。凪良さん、だいすき!

    p.232 かっと頬が熱くなった。彼を傷つけた世間一般というナイフを自分も持っている。相手の凶器を非難しながら、自分も凶器を振り回す。愛は身勝手で傲慢で愚かだ。
    「・・・・・・・僕は、恥ずかしくてたまりません」
    「なんで?」
    「僕は矛盾の塊だ」
    「そんなん俺もだよ。つうか、みんなそうなんじゃねえ?」彼は夜空を見上げた。
    「世の中の全員、平等に愛するなんてできねえしさ、みんな、自分が抱えられるだけのもんを守るのでいっぱいいっぱいなんだって最近わかった。それを身勝手だって言われたら、世の中のたいがいの連中が身勝手に分類されんじゃねえ?」

    僕は彼の言葉に聞き入った。彼はとても無防備に、自分でも意識せず、この世界が抱えるどうしょうもない矛盾と悲しみについて語り、それを受け入れている。おそらく子供のころから見なくてもいい悲しみを目に映し続け、触れなくてもいい痛みを肌に受け続け、いつしか諸観と区別のなくなったものが今の彼を形作っている。それが彼の身を守る唯一の術だとわかっていて、それでも尚、とうしようもない歯がゆさに胸が塞がれていく。

    p.242 あとがき
    ここ数年、わたしの書く環境はずいぶんと変わりました。一番大きな変化は発表の場が広がったことです。ボーイズラブと文芸は明確に区分けされることも多いのですが、書き手としての自分の姿勢は特に変わっていない印象です。今作でも透の意固地な考え方や加賀谷の不器用さに、生きづらいよねえ、しんどいよねえと頷き、そういうふたりが関係を深めていく過程など、表現のつたなさはあるけれど、昔も今も言葉にしづらいしんどさに焦点が当たっていて、それは文芸で発表している作品でもほぼ同じでした。そういえば、悪者がわかりやすく罰されないところまで同じでおもしろかったです(角度を変えて書けば、その人にも事情があって単純な悪役などではないから)。
    細かな枝葉の部分は大きく茂らせつつ、変わらない幹の部分に共感してくださる読者の皆さんに支えられて、この十五年間を歩んでこられたのだなと、今作を読み直して改めて感謝の想いが湧きました。心からありがとうございます。

  • 切なくて、何処か他人事の様には思えない作品でした。凪良ゆうさんの作品は今回初めて拝読しましたが、違う作品も購入したいと思わされました。

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著者プロフィール

1973年生まれ、京都市在住。2007年、BLジャンルの初著書が刊行され、デビュー。17年『神さまのビオトープ』を刊行し、高い支持を得る。19年『流浪の月』と『わたしの美しい庭』を刊行。20年『流浪の月』で「本屋大賞」を受賞する。同作は、22年に実写映画化された。20年『滅びの前のシャングリラ』で、2年連続「本屋大賞」ノミネート。22年『汝、星のごとく』で、第168回「直木賞」候補、「2022王様のブランチBOOK大賞」「キノベス!2023」第1位に選ばれ、話題を呼ぶ。翌年、同作の続編にあたる『星を編む』を刊行した。

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