- Amazon.co.jp ・マンガ (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784829685495
作品紹介・あらすじ
16才。高校の屋上で二人は出会った。
一人を好む草次と、明るく社交的な海風。
一見対照的に見えるが、家庭環境に恵まれず
心の奥底に色々なものを抱えた二人は、
出会ってすぐに自分達が同属であることを意識する。
唯一、一緒にいて楽だと感じる相手に出会い、
足りないものを補うように強く惹かれ合うが……。
学生時代から大人へ。
少しずつ変化していく二人の関係と、想いとは――
感想・レビュー・書評
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BLだけどその要素は薄く、でもベースにず〜っとある、みたいな感じ?自分にも覚えがあることだからすごく共感できるけど、幼い頃から思春期にかけての親の夫婦関係って子どもの人生観や恋愛観に影響するよなぁっていう、それが先にあるベースでそっちの方が濃くある感じ。それが元のベッタリではない共依存、かな?
共依存でも互いが必要な存在であって、そこに安定や安心があればいいじゃないのと思ってるので、この先も一緒に過ごしてほしい二人。海風の“悪趣味”が草次の想いとちゃんと重なって、信用し合える二人になりますように。
一番気になったのは、ペーパーにあった『草次の愛人契約』だったよ… みんないい人でよかったけどもさ…
あと、表紙の絵、デザイン、すごく好きです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
自分の家族との関係が物足りなくて足掻いている子供の話。片親なわけでも、虐待されてるわけでもないけど、自分が望む愛され方はしていないんだ、と早くに気付いてしまった子供の。
草次と海風(ミカと読む)は、互いの満たされなさから来る孤独感・閉塞感を感じ取って、高校の屋上で出会う。彼らにとっての避難先で出会う。それから、互いの内面には触れず、似た者同士として「故意に・無意識に傷つけあう筈がない」と言う「共犯」関係を結び(作中で草次が二人の関係をそう表現している)、それぞれ家族と疎遠なまま二人で住んでいる。恋人でも同僚でもない、何も名前が付けられない関係のままで。ルームシェアの相手、としか対外的には言いようがない。何も名前を付けない事で、あやふやさを纏う事で互いに自分の本当の心が求め叫んでいるものに目を瞑っている。
本作は「表紙」の特筆すべき完成度で、かなりハードルが上がっていると思う。作品は読み始めからほぼ音がない、と言うか、波がない。一見、何もない感じに見える。今で言う所の無気力症候群の若者の話か、と言う感じに映る。
集団の中に居ながら孤独である気配とか匂いを嗅覚で嗅ぎ取る感覚がうまく描かれてんなー。「感覚」を紙面に描くのは難しい事だと思うのよ。
草次の、何も不足がなさそうで何も満たされない感じは凄い解る。飼い殺しみたいな環境に子供としている、と言う感じ。でも結局はここら辺で擦り込まれた感覚に人間は一生縛られるんじゃないか、と思う。異世界の住人の様な人間に出会っても、飛び込んで行けないまま終わる人間のなんと多い事か…それに対する答えが描かれている訳ではない作品だと思う。やっぱり、傍にいた者勝ちと言うか、傍にいる前提である筈の家族と、全くの他人同士であるにも関わらず空気の様に傍にいられる関係のなんと言う皮肉な事か。
「孤独」は解り易くはない所にも潜んでいる。一見何事もなさそう(いい意味でも悪い意味でも)に見える人の中に、特定の相手の存在だけを欲する「孤独」があったりする。気付かれたり、自覚するのさえ怖がっているような。
ところどころ、ヤマシタトモコ系譜(雰囲気で見せる絵柄は帯にハヤカワノジコが推薦しているだけあって、通じるものがある)かな、と言う感じが見られる。美形なんだけど一見分かりにくい感じとか、初期のヤマシタ作品に見られた。私は10年近いブランクを経てこっちに戻ってくるきっかけになったのがヤマシタトモコの『くいもの処 明楽』だった。あの作品を読んだ時ほどの衝撃は感じないが、特に草次が抱く孤独感は同じ事を味わった事のある人間には、こう言う人間なら幸せのふり幅もこの位だよな、と言う納得感が非常にある作品だった。
表紙買い甚だしいレベルなので、読む人によっては評価が分かれるのでは、と思うが、個人的に物凄く感動したり揺さぶられたりはしないが、言葉にしにくいものを説明的ではなく「漫画」と言うツールでとても静かに表現していると思った。
“青鷺=朝を象徴する鳥で泣きながら飛ぶと雨が降ると言われている” 含んでいるほどに大げさに泣きが描かれてないとこがいい。 -
私はこういう物語が読みたくてBLを、漫画を、小説を読んでいます。
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なんだか作品も二人もわだと小難しく考えすぎというか…
難しい言葉を使っておしゃれにしたかんじ…コソッ
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読めば読むほど、いい作品でしたぁ……てなる。
読書中の草次の上に乗ってるのとか不意打ちでキスするとこ好き
相手と居るとラクだと思うこと。それを幸せって言うんじゃないかなーなんて考えながら読んだ -
久しぶりに再読、
なんと肩書きを付ければいいかわからない2人がまるで今の自分と似ていて、言葉をかみしめてよんだ。
君がいればいいっていうのは本当だし君の幸せを願ってる。遠くにいっても居なくなったとしても、きっと思うことは一緒で。誰でもいいわけじゃなくて、側にいてよ。
側に居させてよ。
BLだとか関係なく読んでほしい大好きな作品。 -
家庭環境に恵まれず、愛情をしらないふたりの「共犯」関係 この淡々とした空気の中にある心の変化の重なりみたいなもの、ああymz先生・・すきです
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すごいシックな感じでした!悲しげで儚げで、とても強い作品だったナァ…
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言葉にしない関係を重くもなく、軽くもなく描いていて、そこに引き込まれる感覚がクセになります。激しく物事は動かないので、そのつもりで読むと(*´◡`*)bグッ
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再読しますと、文学的?言い回しになんか、疲れた。
「〇〇したら、〇〇なだけだと気付いた」
みたいな、ごちゃごちゃ理屈こねられてる気分。
月日をかけて熟年夫婦のように、トラブルがあってもそれでも続いていく、2人にしかない関係を築くっていう大切なお話だとは理解できるのですが、
さらっと流し読みすると全く何言ってるのか頭に入ってこないタイプの読み物。
そんなんええから、とりあえず突っ込んで突っ込まれて万事解決!みたいなアホBL読みたくなる。
ーーー2019/09/18ーーー
薄っぺらい言葉にしてしまえば、愛されたいと思ってしまったことを、愛なんて知らない人に求めている事に軽く絶望するようなそんな感じなのかな?
感情的な切なさと反比例して意外にフラットな2人の関係性が、いわゆるBL的には高低差が足りなくて(クライマックス感?)、読み手のメンタルによってかなり左右されるけど、トータルで言うといい作品だと思う。
幸せになって欲しいと祈るって最上級の愛情。早よ気付けよ!(笑)
ーーー2020/03/07ーーー