ミュージアムを知ろう 中高生からの美術館・博物館入門 (なるにはBOOKS 別巻)

著者 :
  • ぺりかん社
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (163ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784831515667

作品紹介・あらすじ

ある美術館にて。目の前に一枚の絵画が展示されています。あなたは、その一枚をどう味わいますか? 鑑賞の手引きを皮切りに、その起源やさまざまな歴史、「コレクション」の意味から運営にかかわる人やお金の話まで、美術館を心から楽しむための手引きとなる一冊です。

感想・レビュー・書評

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  • ミュージアムのモノだけでなく、ミュージアムの歴史や存在意義など、幅広くわかりやすく教えてくれる。中高生はもちろん、大人も楽しめる一冊。
    日本だと、かしこまってモノを見るだけの場、と捉えられているミュージアム。モノが持つストーリーや社会背景を意識することで、はじめてミュージアムを楽しむことができる。
    実物を見られる場であることはもちろん、各館の思想が展示や建物に体現されていることにも注目だ。
    本書を読み、その奥深さを知ることで、世界各国のミュージアムに足を運んでみたくなった。

  • ミュージアムの歴史、種類、展示、運営だけでなく、これからの美術館・博物館の問題提起も。
    活字中毒なので、つい説明文を先に見がちなのですが、まずしっかり作品と向かい合おうと。
    ミュージアムの意義、展示物の裏にあるもの、支えているものなど、考えさせられた。


    1枚の絵画
    …鑑賞とは。

    ミュージアムの成りたち
    ・語源:芸術性の女神の場所「ムセイオン」
    ・原型:15世紀頃のヨーロッパ「驚異の部屋」(王侯貴族のコレクション)
        →権力と財力と「集めたい」という欲望のために、珍しいものを世界中から集めた部屋。次第に、分類が行われるようになる。
    ・近代ミュージアムの誕生:整理・分類した展示が考えられるようになる。私的なコレクションが、公共ミュージアムに。
        →「見てはよいが、触ってはいけない」「知りたければ、歩かなければならない」という二つのルール。
    ・万博:利益を生み出す展示。
        →生きた人間の展示。白人至上主義。

    コレクションてなんだろう
    ・個人のコレクションとミュージアムのコレクションの違い
    ・モノと傷
    →個性としての傷:金継ぎなど
    →記憶の傷跡:体の傷など。思い出の残した跡。
    ・文化やルーツ
    ・場所とコレクション
    →土地と密接につながりのあるミュージアムとコレクション:大原美術館、平和資料館、全米日系人博物館など。
    ・誤った手続きで入手したモノ
    →収奪された遺骨や遺体…現在は、本来の場所に戻そうという認識に変わっている。
    →盗まれたものなど、経緯が不正なもの…こちらも元に戻すべきだという認識が広まっている。

    誰のためのミュージアム?
    ・社会の価値観映し出す展示
    …歴史、ジェンダー、社会的マイノリティー、宗教など、議論の対象となるもの。
    →利用者、メディア、政治など、様々な論議やデモクラシー、圧力などもある。
    ・時代や社会に応じて利用される展示。
    →だれが、だれにむけて、時代のどのような場面で企画されたものか。
    ・ふつうに暮らす人たちが伝える歴史
    →当事者たちの思い出や品物。世代を超えて伝えていくもの。
    ・展示・企画とお金
    →資金調達。国によって異なる。
     展示内容はスポンサーにも重要。
     スポンサーの資金が綺麗なものであるかも。
    ・ミュージアムに「展示されていないもの」に注目する
    →「女性は裸にならないとメトロポリタン美術館に入れないのか?」
    →様々なマイノリティー。
    ・全てのひとにミュージアムは開かれている。

  • 鑑賞の仕方→展示の仕方→実体としての意味→社会的とのかかわり と自然に広がっていって、特に後半は各取り組みの意義と批判が両方とも解説されてるのがとーっても良かった。両方ともの情報を仕入れながら楽しむのはとても難しいので…

    ミュージアムのあり方とか展示企画の進め方とか、ミュージアムで働く人のやっていることもなんとなく見られるので勉強になる。展覧会にいって「こういうとこ工夫して展示したのかなあ」とか考えながら見るのも醍醐味なので、実際にミュージアム探訪しながら読んでほしい。

  • いままで何気なく入館していた博物館や美術館の意義を考えさせられました。もちろん、わたしは当書の対象年齢ではありませんけど。
    ミュージアムは博物館、美術館を含む。
    P57 収集・展示(未開の人間)=支配
    P89 ワシントンDCのDCは軽く説明した方が。
    P95 松方コレクションと西洋美術館は知りませんでした。
    P101 アイヌの遺骨返還は、国内の大学でも話題になったのに、ドイツだけを取り上げるのはどうかと。
    P140 美術品を借りるとクーリエが付いてくる。日本から貸すときは誰が行く?

  • ふむ

  • タイトルの「中高生」に中高生だけに限定するのはもったいない!と思ったのですが『中高生からの』でした。起源から現在のあいちトリエンナーレの事例、今後どうあるべきかへの考察までカバーしていてとてもよかったです。

  • 博物館、美術館の違いから触れ、ミュージアムの成り立ちや在り方などが、系統立てて記されている。中高生向けとなってはいるが、今読んでも十分に興味深い内容。教科書的な記述で綴られているので、少し取っつきにくいところはある。

    ミュージアムは、美術を守る場でもあり、歴史、人を学ぶ場であり、表現の場でもある。展示品だけでなく、展示の仕方や、先日みた証明デザイナーの話にもあったようなライティング。美術館の建物そのものなど、様々な見方を学べた。情勢が落ち着いたら積極的に出掛けたい。

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著者プロフィール

中央大学文学部准教授/アメリカ視覚文化

「2018年 『描かれる他者、攪乱される自己』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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