- Amazon.co.jp ・本 (177ページ)
- / ISBN・EAN: 9784831872609
作品紹介・あらすじ
本書は次の六つの目的のために書かれたものである。仏教の信仰というものは一神教のキリスト教やイスラム教とは相違した内容をもつことが推察される。その相違を導出することが本書の第一の目的である。信仰対象に対する信仰の多様性を明らかにしつつ、しかもその根底に流れる仏教信仰の本質的なものを導出したい。これが第二の目的である。如来像や菩薩像の信仰関係の中に造形されるその造形は、いわゆる芸術作品とはちがった美を生み出すはずである。信仰対象の造形を見ながら、その信仰と美の問題を論じたい。これが第三の目的である。以上の三つの目的を、第1部で取り扱う。第2部においては仏教外の宗教と比較しながら仏教信仰の特徴を浮かび上がらせてみたい。これが第四の目的である。信仰から生まれる美はすでに端的な美ではなく、そう信じる人にとっては聖なる美であり、「聖なるもの」である。このような仏教の聖なるものの特質を見いだしたい。これが第五の目的である。そして最後に、ドイツのR・オットーの指摘した「聖なるもの」がキリスト教を基盤とした聖なるものであることを指摘し、仏教を基盤とした独自な「聖なるもの」と比較し、その異同を検討しながら、宗教における聖なるものを指摘するならば、仏教信仰における聖なるものをその土台に組み入れなければならないことを、著者は指摘したい。これが第六の目的である。
感想・レビュー・書評
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学部時代の宗教概論の先生が書いた仏像についての入門書です。仏像を「美術品」とするよりも「心の拠りどころ」とする考えかた(つまり「信仰の美」)には共感できる部分も多く、授業は意外と面白かったです。釈迦信仰、阿弥陀信仰、薬師信仰、観音信仰、地蔵信仰、不動信仰…といったきっちりとした本の構成にも好感。ヒンドゥー教やイスラム教との違いの解説が分かりやすいです。
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