原色牧野日本植物図鑑 1 (コンパクト版 1)

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  • 北隆館
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  • Amazon.co.jp ・本 (396ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784832600447

感想・レビュー・書評

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  • 科学道100冊の1冊。
    元になっているのは「牧野新日本植物図鑑」で、それを原色化した「原色牧野植物大図鑑」が出た。こちらは持ち運びに便利なサイズになっているのが特徴である。

    牧野の名を冠している通り、基本になっているの「日本植物学の父」と言われる牧野富三郎(1862-1957)の植物研究である。昭和15年78歳にして著した「牧野日本植物図鑑」が改訂を重ねて現在でも刊行されているというのだからすごい。
    元の図版には彩色はされていなかったようで、本書は出版社編集部により色彩が施されている。また、解説文も牧野の文そのままではなく、原著の味わいを残しつつも改訂されたものだという。

    本書は3巻のうちの1巻目。被子植物、裸子植物に加え、菌類も含む。
    冒頭に花や葉、果実や茎のさまざまな形状の模式図があって驚く。
    花の付き方、花弁の数、葉の先端の形状、葉脈の走り方、蔓の巻き方。
    なるほど、こういう点の異同を元に分類がなされるわけである。
    基礎になるのはやはり丹念な観察で、収録されるスケッチの簡素にして要を得た描写には圧倒される。
    解説文も、学名、和名の由来や原産地、用途、形態をコンパクトにまとめ、無駄がない。
    収録されている植物は、日本古来のものもあれば、外来植物のような比較的新しいものもある。
    科ごとに並べられているので、これとこれが近い仲間なのかとおもしろい発見もある。
    コンパクト版であるので、フィールドに持ち出して採集した植物の名前を確認するにも適当だろう。

    植物標本の作り方の解説もある。なるほど、詳細な比較・観察のためには後々まで保存が可能な優れた標本が欠かせないわけだ。写真やスケッチは補助的なもので、実物に勝るものはない。牧野も全国を回り、膨大な量の標本を作製・保存していたという。

    和名・学名の索引付き。

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著者プロフィール

1862年(文久2年)土佐国佐川村(現、高知県高岡郡佐川町)の裕福な商家と酒造業を営む家に生まれる。三歳で父を、五歳で母を失い、祖母に育てられる。幼少時から植物に強い関心を示し、小学校を2年で中退、好きな植物採取に熱中する。19歳の時、初めて上京し博覧会を見る一方、書籍や顕微鏡を購入する。22歳の時(明治17年)に再び上京し、帝国大学理科大学(現、東京大学理学部)植物学教室に出入りし、文献・資料等の使用を許可される。自ら創刊に関わった「植物学雑誌」に新種ヤマトグサを発表し、日本人として初めて新種に学名をつける。94年間の生涯で収集した標本は40万枚に及び、新種を初め1500種以上の植物に命名し、「日本植物分類学の父」と呼ばれる。

「2023年 『オリジナル普及版 牧野日本植物圖説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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