- Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
- / ISBN・EAN: 9784833106276
感想・レビュー・書評
-
飾りがなくてかわいい言葉たちなのにしっかり重みがある。
戦地から無事帰ってきていたら・・・と何度も思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
昔から短気な性格だった。怒りや悲しみ、喜びは、心から透けるようにして表に出てった。言葉は、感情だった。一方的で迷いのない。けれども不適格な。表に出て行った言葉たちは、戻る場所を探している。いつまでも。戻ることはない。戻ることを望んでも。
僕は、そうやって詩と出会った。言葉の、迷いのない不適格さを知っていた。それでも心から透けていく言葉、つまり感情は抑えることは出来ない。言葉は、どこかを目指している。どこかの心へとたどり着こうと。ノートの片隅、手紙、写真の裏に束ねられた言葉の群れ。僕は、それらを詩としか呼べない。
竹内浩三は有名な詩人として世に名を残してはいない。そもそも、詩人など有名であるわけはないのだ。ただの言葉が、文学的だの、英雄的だの。言葉は独り歩きする。正義を呼び止めようとする。それでも、所詮は一方的な感情でしかない。憧れに過ぎない。
僕は思うだろう。彼がペンを持った意味を。けれど、彼には意味など存在はしない。意味を越えていく。傷跡のように手紙には詩が残される。僕は、そう思う。僕は詩を読む。一方的な感情を。震えるようにして読み進めるだろう。文字の輪郭が失われる。彼の線が紙にしみていく。
白い雲が
秋の空に
音もなく
とけて
ゆくように
竹内浩三ー「山田ことば」 -
昨夜夜中の3時ごろから読みだした。
後半は涙が止まらなかった。
姪にあてたハガキには、人生についての真理が全てつまっていると思った。
【2008年6月5日読了】
今も尚ときどき読み返す。
この本に出会って良かった。
【2010年10月22日追記】