政治のリアリティと社会心理: 平成小泉政治のダイナミックス (シリーズ21世紀初頭日本人の選挙行動)

著者 :
  • 木鐸社
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  • Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784833223843

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  • 「シリーズ21世紀初頭・日本人の選挙行動」として刊行された3冊のうちの1冊。2001-05年にかけて調査されたJESⅢ(Japan Election Study Ⅲ)の調査データに基づく投票行動研究が収められています。専門書なので当然ながら統計の専門用語や表がバックデータとして載っていますが、自分のような門外漢がそれらを飛ばして読んでも、読み物としてなかなか面白い内容です。

    投票行動の分析のみならず、日本の政治過程の変動および社会変動の検討を射程内に収める意欲作で、いわゆる「小泉効果」の実態と投票行動に与えた影響の分析や、マス・メディアが投票行動に与えた影響に関する分析、そしてインターネットが政治に与えた効果などについて統計上のデータ分析を通して読み解いています。

    中でもマス・メディアが投票行動に与える影響は意外なほど小さいという分析結果は意外でした。

    全体の基底通音として感じられたのは、民主主義の政治が機能するためには、私たちが単純な「期待の政治」に陥ることなく、さまざまな人々や情報に接することで寛容さを持った判断を行わなければらないというメッセージではなかったかと思います。専門書の枠を超えて、日本の政治の将来に対する力強い提言の書です。良書。

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著者プロフィール

池田 謙一(いけだ けんいち) 同志社大学社会学部・大学院教授。博士(社会心理学)。東京大学文学部卒業,東京大学大学院人文社会系研究科教授などを経て,2013年より現職。編著書に『統治の不安と日本政治のリアリティ』(木鐸社,2019),『「日本人」は変化しているのか』(編著,勁草書房,日本社会心理学会第20 回出版賞),The International Encyclopedia of Political Communication, 3 Volumes(2015, Wiley-Blackwell),Social Network & Japanese Democracy(Routledge, 2011)他,著書・論文多数。

「2022年 『日本人の考え方 世界の人の考え方Ⅱ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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