100均資本主義 〜脱成長社会「幸せな暮らし」のつかみ方

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  • プレジデント社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784833424653

感想・レビュー・書評

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  • 失われた30年と呼ばれる期間に成長した100均ショップなど、対デフレ業種の発展の背景にある日本の市場の特殊性を「新しい資本主義」と位置付け、それを「100均資本主義」と呼んで分析している。

    タイトルと共に良く登場するのが「3つのD(dream、desire、demand)がない」という言葉だ。賃金が上がらない中で諦めにも似た心境の日本人が増え「高望みせず、ほどほど」を志向した結果、100円ショップなどが支持され、またそうした業種が発展していく関係ができあがった。

    人類史上初、でもないのかも知れないが、発展がバブルで頂点を極め、「欲しいものはもう満ち足りた」のを初めて経験した人類が欲望の到達点に来てしまったのではないかと思える。

    国内市場相手の仕事をしている以上、こうした状況は常に頭に入れて行動しないといけない。

  • ●=引用

    ●一方、労働者は低賃金状態におかれながらも、大きな不満を感じているわけでもない。マルクスが考えたように、困窮状態に陥った労働者が団結し、資本家に対抗することもない。不満が爆発しないのは、100円ショップに代表される激安ショップが増えたおかげだ。→???
    ●キーワードは「納得解」と「自己肯定感」だ。目の前に課題が生まれたとき、他者に頼って解を求めるのではなく、たとえ他者とちがっても、自分自身でたどり着く解が納得解だ。(略)大切なのは他者と比較しないこと。また、他者の答えを尊重すsること。「いまの自分」を認め、相手を尊重することで自己肯定感は高まる。自己肯定感とは、つまり他者を尊重する寛容さのことだ。この納得解と自己肯定感を高めることこそ、100均資本主義を生きるうえで、考えの軸となる。他者の目を気にして生きるのではなく、いまの自分を肯定できれば、生き方に自信がわいてくる。物欲社会と決別し、自分が納得のいく豊かな生活を送ることができる。物欲に振り回されることなく、それぞれの納得解を持ち、自己肯定感に満たされた社会は、特別なものではない。封建時代から日本社会に根づく価値観であり、私たちが持ちつづけた生活様式といってもよい。(略)日本では、仏教経済学者の安原和雄氏が、90年代から2000年代にかけて「足るを知る経済」を唱えた。(略)その根幹は「知足、簡素、非暴力」にあるという考え方だ。従来の「市場的・貨幣的価値」と「非市場的・非貨幣的価値」をうまくバランスさせようという考えは、100均資本主義に相通じるものがある。
    ●日本の人口減少は「一人ひとりが豊かな生活を送る適正規模に向かっている」と考えれば、決して不安材料にはならない。「Dのない社会」という現実を認め、新たな生き方を模索すれば、未来は明るく、希望に満ちたものになる。
    ●日本の給与水準が、30年間も400万円台のまま上昇していないのは、利潤率の傾向的低下の法則に陥ったようだ。バブル崩壊後の「失われた30年」は、それに拍車をかけたといってよい。それでも日本企業が、この間、利益を得て世界第3位の経済力を維持できたのは円安のおかげだ。それがいあm、原油高、ロシアのウクライナ侵攻などによって円安が過度に進み、これまでの利益獲得の構造が揺らぎはじめている。また、労働者が低賃金状態に置かれたままでもあるにもかかわらず、不満を爆発させる(政権交代や社会秩序の乱れなど)ことなく、何とかやってこられたのは、まさに100円ショップに代表される激安ショップのおかげだ。
    ●激安ショップをうまく活用し、自分の生活空間をよくしている人たちは、まさにクリエーターであり、変革者だ。身のまわりにとどまわらず、地域や社会の活性化につながる可能性がある。
    ●互いの不信感が渦巻く社会で、一人ひとりのちょっとした工夫が自己肯定感を生み、地域や社会がよくなっていく。100円ショップをはじめとする激安ショップの商品やサービスから、社会の好循環を生み出すのが100均資本主義なのだ。

  • まあ何でしょう。
    思うてたんと違う、という感想です。
    経済論でしたね。
    その視点ならば勉強になると思います。
    でも、感覚的には分かっていること、でした。

  • ふむ

  • たしかにとも思ったが、データを並べてるだけで内容が薄いようにも感じた。

  • .
    単なる資本主義でなく「100均」付。 脱成長と結びつくのはなんとなくわかるけど、「幸せな暮らしをつかむ」ことに結びつくのはどうして?

    #100均資本主義
    #脱成長社会「幸せな暮らし」のつかみ方
    #郭洋春
    22/12/1出版

    #読書好きな人と繋がりたい
    #読書
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    #読みたい本

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  • 提出されている要素や概念の時代性は良いが論理構成がうーむ。
    どの読者層向けの本なのかがイマイチ理解できなかった。
    読書に慣れてる人向けにしては簡単すぎ+論拠が少ないので概念構築が緩い。
    読書初心者向けにしては盛り込みすぎ。
    脱成長という言葉を使うからには、論理構成、見据える世界感のビジョンがしっかりしており、かつそれを丁寧に伝える(例えば、山口周の『ビジネスの未来』など)仕事が不可欠なように思う。
    脱成長を志向しているのに、ビジネスモデルは新自由主義的な100均とをくっ付けるには無理があるように思えてしまった。
    改めて丁寧な仕事を期待したい。

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著者プロフィール

1959年生まれ。立教大学経済学部教授。
主著=『TPPすぐそこに迫る亡国の罠』(三交社、2013年)、『開発リスクの政治経済学』(編著、文眞堂、2013年)。

「2014年 『徹底解剖国家戦略特区』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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