はるにれ (日本傑作絵本シリーズ)

  • 福音館書店
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感想 : 57
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  • Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834008579

感想・レビュー・書評

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  • 文字の一切無い、原野に凛と立つ「はるにれ」の写真集。
    季節により、時間により移り変わる姿を、また遠近によって変わる姿を、周りの風景ごとじっくりと見せてくれる。
    ただそれだけなのに、不思議な魅力に満ちた一冊で、何度も繰り返し開いて観たくなる。
    そして繰り返し眺めるうちに、自分の中でいつの間にか物語を紡いでいたりする。
    田舎に住んでいる上、周囲は自然だらけ。木など、珍しくもなんとも無い。
    佐野洋子さんの「おぼえていろよ」ではないが(笑)雨樋に木の葉が詰まっていつも困っているのである。
    今朝は、梢の先でさえずるウグイスの初音を聴いた。
    そう、珍しくはない、はずなのだ。
    なのに、何故か心惹かれる。はるにれの姿があまりに美しいのだ。

    調べてみると「春楡」と書き、ニレ科の落葉高木で、本州北部の山野に自生するという。
    高さ30メートル、周囲6メートルにも達するらしい。
    何でもアイヌの人たちは昔、この木を擦り合わせた摩擦熱で火をおこしたという。
    それで「火の神」と呼んで敬われたらしい。
    写真家・姉崎一馬さんのはじめての写真絵本で、どれだけの月日をこのハルニレの撮影に費やしただろうと愛おしくなる。

    霧にかすんだはるにれ。
    月夜に浮かび上がるはるにれ。
    真っ白な雪の中のはるにれ。
    とりわけ、緑の生い茂った一枚の迫力が素晴らしい。
    幹に寄り添ったり、見上げたり、遠くから声をかけたりと、様々にシチュエーションを変えながら眺めることが出来る。
    皆さんの傍にもこの一冊を。

    • nejidonさん
      tsuzraさん、こんにちは♪
      コメントありがとうございます!
      この本をご存知だったのですね。とても嬉しいです!!
      始めの頃こそ知るひ...
      tsuzraさん、こんにちは♪
      コメントありがとうございます!
      この本をご存知だったのですね。とても嬉しいです!!
      始めの頃こそ知るひとぞ知る「はるにれ」の地だったそうですが、
      今はずいぶん観光地化されたそうです。
      なんだかそれも寂しいですね。
      でも、心の中の一本の木は枯れることはありません。

      吹雪のはるにれは、私もとても好きです。神々しくて。
      いえ、好きでない姿など、ひとつもありません。
      どうぞtsuzraさんも今一度、手に取って読むことが出来ますように。
      2014/03/03
    • 8minaさん
      nejidonさん、こんばんは。

      おすすめの「はるにれ」図書館で借りて読みました。どこまでも広い原野に
      ただ一つ凛として立ち、厳しい...
      nejidonさん、こんばんは。

      おすすめの「はるにれ」図書館で借りて読みました。どこまでも広い原野に
      ただ一つ凛として立ち、厳しい季節をひとり過ごす姿、素敵です。
      確かに私も多くの木の本にコメントしていました。いせひでこさん
      の大きな木のアカシア、祭りの神木、チェロの木の森も好きです。
      実際に木霊が宿っていそうな、大きな木を見つけると、人に見られ
      ないようにそっと抱きしめてみたりもします。いつか木の声が聞
      こえないかなと、思うのですが、まだ聞こえてきません。
      長田弘さんの木を描いた詩もよいです。
      2014/03/06
    • nejidonさん
      8minaさん、こんにちは♪
      再訪してくださってありがとうございます!
      図書館でこの本を見つけられたのですね。
      お読みいただいて、感想...
      8minaさん、こんにちは♪
      再訪してくださってありがとうございます!
      図書館でこの本を見つけられたのですね。
      お読みいただいて、感想までくださってとても嬉しいです。
      8minaさんはどの一枚がお気に召しましたか?
      選ぶのも難しそうですが(笑)
      長田さんのその詩も素敵だし、いせひでこさんの描く木もいいですよね。
      メッセージ性の強い作品ですが、万人の心に響くものがあるように思います。
      木の声ですか?
      う~ん、それはたぶん、チェロの木の少年のように、木と暮らしが一体になっているような者にだけ聴こえるのかも知れません。
      私も聞いたことがありませんが、それでも木の傍にいられることで満足です。
      ごく近くに、鬱蒼とした大きな森があるのですが、持ち主のお婆さんが亡くなってから市有地になり、綺麗に刈り取られてレジャー施設のようになりました。ええ、泣きました。
      森は、木は、心の中に育てるものですね。
      2014/03/07
  • 河合隼雄さんの本で紹介されていたので試しに購入。平原に立つはるにれをただただ映した写真集?絵本。初読では雨の中に立つはるにれが一番気に入りました。ときどき見直そうと思います。

  • これほど静かに物語る「絵本」に出会ったのは初めてかも♪


    地平線の見渡せる大地に根をはる、一本のはるにれの木。

    ページを捲ると
    時は動き出すが

    はるにれの木は動じない。(あたりまえか。^^;)


    何もかもは
    めまぐるしく変わっていくけれど
    私なら
    そんな変化につい、一喜一憂、右往左往、悲喜交々しちゃうけど、

    今日も変わらない、
    明日も変わらない、

    きっと、
    もう一滴の水も吸い上げる事も出来ず、朽ち果てて大地に還らなければならないその瞬間まで
    ひたすら命を守っているんだ。

    そんな健気な大樹を眺めていたら、
    なんだか、どんな事もちっぽけな事のように思えて仕方がなかった。

  • 1本のはるにれの樹を記録した、文字のない写真絵本です。北海道に移り住んで初めて知った はるにれ。寒冷地でも肥沃な地に根を広げおどろくほどの大木になる、北海道のシンボルツリー。(ちいさな帆)

  • まさかの写真のみ!

  • 季節や日々、一日の移り変わりを想像して読む

  • ふむ

  • ハルニレ(春楡)という寒冷地に育つ木を四季を通して撮った写真集でした。
    ドラマや漫画に出てきそうな景色で、写真は素晴らしいと思います。
    ただ見た瞬間に画質の粗さが気になってしまって、すごく惜しい気持ちです。それもそのはず、1981年出版。
    四季の移り変わりを撮っているなら、実がなったところや花が咲いた写真も見たかったです。

  • 図書館で背表紙を目にして、なんとなく気になっていたので、借りた。

    文字のいっさいない、写真絵本。
    どーん・ぽつん と、にれの木。

    青い空、薄い綿のような雲、やわらかいひざし、吹雪、堅く光る雪、もや、けぶる空気。
    おはよう、おやすみ。
    「はるにれ」。

  • 写真を使った絵本のような感じ。幼い頃、何度もなんども眺めたなぁ。そんなに好きだった印象ではないのだけれど、しっかり覚えています。

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