- Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
- / ISBN・EAN: 9784834024678
作品紹介・あらすじ
四〇年にわたって自然と向き合い、植物や虫たちの不思議なくらしを描きつづけてきた著者が、豊かさ、優しさ、厳しさにあふれる自然の世界へいざないます。
感想・レビュー・書評
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今週の本棚・なつかしい一冊:小林聡美・選 『小さな生きものたちの不思議なくらし』=甲斐信枝・著 | 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20220423/ddm/015/070/004000c
『小さな生きものたちの不思議なくらし』甲斐信枝(福音館書店) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG(2010-08-31)
https://booklog.kinokuniya.co.jp/kodai/archives/2010/08/post_57.html
小さな生きものたちの不思議なくらし|福音館書店
https://www.fukuinkan.co.jp/book/?id=1213
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『あしなが蜂と暮らした夏』がとても素晴らしく、それをきっかけに甲斐さんの絵本も読み返したら、それも本当に素晴らしく、もっともっと甲斐さんの作品が読みたい(見たい)と思っていたらこれがあった。
これは「かがくのとも」や「こどものとも」で甲斐さんの作品が出た時につくリーフレットの文章と、NHKラジオで紹介されたときの文章とで構成されている。
リーフレットは「かがくのとも」などを買ったときはきちんと読み、捨てはしないが、それでも子どもに読み聞かせるうちにいつしかなくなってしまうし、図書館で借りてもついていないことも多い。よって、本当にこうしてまとめて本になっているのはうれしい。
絵本は子どもに読ませるものだから、文章の量や内容は制限があり、作家が経験したこと感じたことをすべて描けるわけではない。(削りに削って磨き上げられた文と絵だからこそ作品として輝く、とは思うが。)その裏話が聴けるのもとても良い。甲斐さんてこんな人じゃないかな、と想像していた以上に、観察力、生きものへの愛情が深く、それにかける時間と情熱も半端ないことがよくわかった。
タンポポの綿毛が開く様子を三時間見ていたり、草の根っこを見るために腰の深さまで掘ったり、雑草を観察するために土地を借りて毎日通ったり、やっぱり、あれだけの本を描くにはそれくらいのことをしていたな、と大いに納得。そしてそれが素晴らしいのはあくまで「好き」で「うれしくて」やっているというところ。お金のためでも名誉のためでもない。そこが本当にすごい。
彼ら(雑草)は私に話しかけるのです。時の重みを畏れよ。個という自我に振り回されるな。種を残すということのためには、時間のもつ重さを素直に受け入れよ。このことは非常に大事なことであると。(p67)
昆虫の訪れの多い花に混じって、小さいながらもいっぱしに咲いて、一日中虫への期待を寄せているオオイヌノフグリを見ていると、虫のおそいことに気をもんでいるのは、オオイヌノフグリともわたしともつかなくなってしまうのです。(p101)
もし彼等(草むらにいる小さな生きものたち)が飛び出さなければ、私は彼らの生活のさまを、それと気づくことなく通り過ぎてしまったことでしょう。思いがけない生きものたちとの、思いがけない出会いの嬉しさは、他に喩えようもありません。その新鮮な驚きとときめきに、馴れるということはありません。(p117)
絵本の作り手として私が大切にしているのは「対象物への興味と愛情から発して対象に近づき、そのものから受けた驚きや感動を、絵と言葉によってお子さんに伝える」ことです。(p152)
自然はとっても柔軟です。その扉を浅く叩けば浅く、深く叩けば深く、叩く相手の心の深さに応じて応えてくれる。多過ぎもしないし、少な過ぎもしません。(中略)
私が最も自然の深さに畏敬を感じるのは、自然はその扉を押さない限り、自分から開くことはないということです。(p152)
私は科学絵本を知識としてではなく、感動としてお子さんに伝えたいんです。(p156)
甲斐さんは植物や昆虫などを専門にする画家として、大人のマニアやコレクター相手に絵を売って生きるだけの才能がありながら、あえて科学絵本という、絵本の主流とは言えないところで、これだけの作品を作ってきたというのは本当にすごいと思う。ご本人も言っているが、科学絵本は物語絵本と比べると人気がない。しかし、それは知らない人が多いからじゃないのか。動植物が好きな子供には図鑑を与えればよいと思っている大人が多いと思う。しかし、甲斐さんの絵本を読むと、好奇心の持ち方、観察のポイント、対象への忍耐と愛情を科学的知識とともに教えられる。これは図鑑にはできない。
子どもとともに甲斐さんの絵本を読んでほしい。
甲斐さんが毎日何時間もはいつくばって雑草を観察していることを知り、私が本を読んでいると私と本の間で行ったり来たりする猫を(いつもは途中でやめさせようとしてしまう)止めずに我慢してみた。たった10往復程度だったが、イライラしてしまった。やっぱり普通の人間にはできるものではないなあ。 -
装丁も中身も、とても美しい本だと思います。
このような本が、¥1400+税で購入できる事に、たいへん驚きました。
科学と物語と芸術の幸せな融合の内容。
2009年初版、購入したのは2017年第五刷です。
福音館書店さま、著者の甲斐信枝さまに、頭が下がります。 -
科学絵本を作られている方が書かれた本
幼い子供たちへわかりやすく書かれている
もちろん大人にもなるほどって思えるところが多い
著者の知的好奇心に刺激を受ける人も多いかと思う
雑草や小さな虫たちをこれほどわかりやすく書かれた本をいままで読んだことがなかった
詳しく難しい言葉で書くだけじゃ受け入れてもらえない分野だけに
貴重だと思った -
植物や小さな生き物への作者の眼差しが慈しみにあふれていて、強く共感し尊敬する。純粋に感動する心、それを信念を持って子どもたちに伝える姿勢はまさに私の求めているものであこがれる。子どもに伝わったと知れたときの一節には特に感動した。なぜ涙が流れたか、純粋に嬉しい美しいものがそこにあったからか。
時間を、速度を合わせるのは意識してみようと思う。物語絵本と科学絵本、子どもの成長に必要なものという視点も参考にしたい。 -
虫はもう触れないけどちょっと気になる。
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体中が感性そのもののような幼児期に、ちょっとでもいい、お子さん自身の目と心で自然を覗いてほしいんです。
人間の心をテーマにする物語絵本、自然をテーマにする科学絵本、その両方でお子さんの心を耕してこそ、偏りのない豊かな心に育つんじゃないかと思うんです。
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信枝さん、素敵なおばあちゃんです
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「かがくのとも」で沢山の植物に関する絵本のイラストを手掛けている甲斐さんが、書いたエッセイのまとめとイラスト。
もう、80歳を超えられた甲斐さんの優しいまなざしに癒されます。 -
私はこの方の絵本で育ったといっても過言ではありません。どうやって観察し、描いておられたのか、やっとあの細密画のようでいて、とても引き込まれる絵に裏打ちされた観察眼の鋭さの秘密を知り得ました。私もそんな風に描きたい。