まよなかの ゆきだるま (こどものとも絵本)

著者 :
  • 福音館書店
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本棚登録 : 168
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834081183

作品紹介・あらすじ

クリスマスイブに朝からたくさん雪が降り、あっちゃんはさっそく雪だるまをつくりました。その夜、あっちゃんのつくった雪だるまが窓から呼んでいます。サンタさんのそりが丘の木に引っかかったというのです。あっちゃんと雪だるまは、丘に行く途中の道や原っぱの雪だるまにも頼んで、みんなでサンタさんを助けに向かいます。丘に着くとそりは高いところに引っかかっていて届きません。

感想・レビュー・書評

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  •  クリスマス絵本特集、その10。

     鉛筆と赤インクによる白と黒と赤の世界は、主人公「あっちゃん」の、畳敷きの部屋の木枠の窓ガラスや足踏みミシンといった、懐かしい風景も、どこか幻想的である中、雪だるまの、ほのぼのとした表情に温かい和みを感じられるが、それにしても、その何層もの円で描かれた尋常でない月の輝きには、まるで、これから起こる奇跡の予兆とも思われてならない。

     森洋子さんの細密な鉛筆画は(鉛筆といっても、その濃淡により、様々な色を生み出せる)、その部屋の中を照らす影や、足踏みミシンのカバーや布団の模様に、ささやかながら凛と佇むクリスマスツリーも印象的であり、更に、白黒を中心とした絵のため、見開きによって、文章の色を変えている配慮も素晴らしく、読み手を懐かしくも不思議な世界に誘ってくれる。

     物語(2009年)は、クリスマスのイブの真夜中に、昼間作った雪だるまの声に目を覚ました、あっちゃんが、けやきの丘の木の枝にそりが引っ掛かって動けない、サンタさんを助けるため、よそで作られた雪だるまにも声をかけて、その丘を目指すのだが、その道中で既に見えている木の枝に小さく映る、サンタさんの姿が、何だかやけに切ない。

     しかし、雪だるまたちのサンタさんを助けたい思いには、『ぼくたちを つくってくれた こどもたちのところに いけなかったら いちだいじ』といった、子どもへの感謝の気持ちが込められていることから、そんな彼らの思いに、つい感情移入してしまい、その後のサンタさん救出の場面の、まるで組み体操をしているような不思議な面白さや、まさに雪だるまにぴったりのサンタさんからのプレゼントも、爽やかな感動を呼び、更には、最後のあっちゃんへのプレゼントから繋がる雪だるまとの交流や、後日譚の裏表紙まで、素朴で素敵な森さんの優しさが、そこかしこにいっぱい詰まっているように感じられたのが、とても印象的だった。

  • お話の舞台は昭和ですね。レトロで懐かしいなぁ。大雪のクリスマスイブ、あっちゃんは雪だるまを作ります。他の家の子たちが作った雪だるまもあちこちに。その夜中、あっちゃんと雪だるまたちが、サンタさんの大ピンチを救う! という、可愛いお話です。モノトーンの絵に、控えめな赤が効果的です。

  • 森洋子さんの画力の高さは目を見張るものがあります。
    サンタクロースを助ける、星空が広がる見開きページが綺麗でした。
    ストーリーは、サンタクロースを真夜中に雪だるまの力を借りて助けに行くというもの。
    真夜中の静かな世界での冒険物語。

  • クリスマスの日、あっちゃんと雪だるまが、サンタクロースを助けるお話。

    鉛筆画の中での赤の色彩が印象的。
    そして、原っぱの雪だるまが壮観。

  • 鉛筆で書いてる絵がとても素敵。赤だけ色がついてるのがまた素敵。

  • かわいらしいお話と、特に絵が素敵です。
    白黒で白銀の世界を表現し、ポイントの赤色の力、メッセージをすごく感じます。
    子どもがこれを真似してお絵かきしていて、いつもとは一味違った作品になっていました。
    太田大八さんの『かさ』と比較してみて、『まよなかのゆきだるま』の方が繊細な絵でロマンチックで、私は好きでした。時代もあると思います。
    娘には断然、『まよなかのゆきだるま』が好きだったようです。というか、文字があるかないかも大きかったかと思いますが。
    思い起こせば、小さい頃、世界がこんな風に見えていたことがあったような気がします。自分にとって大切なものが色鮮やかに見えていた記憶がふと心に去来しました。
    冷たい雪だけど、温かいお話しです。

  • あっちゃんが雪だるまを作ると、その夜…不思議な事が起こりました…。
    あっちゃんと雪だるま達の不思議な冒険の始まりです。
    .
    モノクロの中に、赤一色だけの構図、#太田大八 さんの『#かさ』と似た趣向ですね。
    .
    一面の雪景色が鉛筆のみで描かれ、そこにマフラーやバケツなどを赤で。モノトーンではありますが、月明かりや月に照らされた雪の煌めが幻想的でその静寂さが素敵です。
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    街並みや住まいの懐かしいたたずまいも、なんとなく昭和を感じさせ好きなところ!
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    森洋子さんならではの美しく不思議な世界感が楽しめますよ。
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    どんなお話しかと言うと……、あっちゃんのつくった雪だるまが窓から呼んでいます…えっ!どうしたの?
    実はサンタさんのそりが丘の上の木に引っかかってしまい動けないらしいのです。あっちゃんと雪だるまは、丘に行く道中で出会った雪だるま達にも応援してもらい、サンタさんを助けに向かうのです。
    そのお礼にとサンタさんからのクリスマスプレゼントは雪だるまとおそろいのある素敵なもの!
    .
    #まよなかのゆきだるま
    #森洋子 作
    #福音館書店



  • 4歳2ヶ月

    図書館おすすめコーナーにて

    白黒で主人公とゆきだるまの赤が
    引き立つ世界。

    ゆきだるまが冒険を終えた翌朝
    ちょっとずつ向きが変わってるところが
    夢じゃなかったとわかって
    とっても夢がある!!

  • クリスマスイブの夜、誰かが呼ぶ声で目を覚ましたあっちゃん。
    見ると、昼間あっちゃんが作った雪だるまさんが、「サンタさんのそりがけやきのおかの木のところでとまってしまったから助けに行こう」と言います。
    「うん、いこう」と、雪だるまさんと一緒に出かけたあっちゃんは…。

    可愛い。全部見開きで読み聞かせ向き。

  • たのしかった!あっちゃんがゆきだるまとおともだちになって、さんたくろーすがきにひっかかってたから、たすけてあげたの。

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著者プロフィール

明治大学名誉教授/ネーデルラント美術史

「2018年 『ネーデルラント美術の誘惑』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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