どんぐり喰い (福音館の単行本)

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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834086362

作品紹介・あらすじ

主人公の少年クロは貧しい家計を助けるため、学校をやめて働きに出る。豚やヤギの世話、建築現場の下働き……。内戦終結からまもないスペイン・アンダルシア地方で、人々は貧しさや社会の不条理に耐えながらも誇り高く生き抜き、クロもまた、たくましく成長していく。オランダを代表する児童文学作家エルス・ペルフロムが夫の少年時代の話をもとに描き、オランダで最も優れた児童文学に贈られる「金の石筆賞」に輝いた名作。

感想・レビュー・書評

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  • 『どんぐり喰い』(福音館書店) - 著者:エルス・ペルフロム 翻訳:野坂 悦子 - 野坂 悦子による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
    https://allreviews.jp/review/5712

    「どんぐり喰い」(福音館書店)の試し読みが、公開中〜。 | 鹿角版画室_Studio SIKATUNO
    https://hayakawajunko.com/news/donguri2/

    新刊『どんぐり喰い』試し読み公開中!|福音館書店
    https://www.fukuinkan.co.jp/detail_contents/?id=173

    どんぐり喰い|福音館書店
    https://www.fukuinkan.co.jp/book/?id=6940

  • 図書館で借りた。
    スペイン内戦後のフランコ政権下での少年の生活と成長のお話。
    貧しくても希望を失わずに生きる少年。
    富める者と貧しい者。
    富める者はますます肥え太り、貧しい者はいつまでも貧しいままだ。
    主人公のクロは冬には寒さに素足を紫色にして、夏には空腹と重い荷物でクラクラしながら、それでも家族のためにお金を稼ぐ。
    大人になって幸せになったならいいな、と思う。

  • すごかった。
    ロマたちの音楽が、踊りが、しかと聴こえてきた。

    最初から最後最後までずっとクロは貧しくてお腹をすかせたままなのに
    どうしてあんなにも快活に語ることが出来るのだろう。

    スペイン内戦、何もわかっていない時分だけど、
    こういう児童文学のおかげで少しずついろんな側面を見ることができる。
    文学って素晴らしい。

  • スペイン・アンダルシア地方の貧しい家庭に生まれた少年クロが家計を助けるため学校をやめて働きに出て成長していく様を描いた作品。オランダ人作家がスペイン人の夫の実話を元に書かれたとのこと。一見よくあるテーマだが、クロの行動や両親の対応が日本とは異なることがよくわかる。日本は子供が働きに出ると耐え忍ぶことが美徳とされるが、クロは働き先が悪い雇い主であればもちろん、良い雇い主であっても、あっさり親元に帰ってくる。そして親もその判断を尊重し攻めない。そうして、子供は自分で考えて判断し選択するということを学んでいくんだなあと思った。

  • 内線直後、ブランコ政権下のスペイン、アンダルシアで生きる少年サンチャゴ(クロ)の成長と周囲の人々を描く。
    家族全員がヘトヘトになるまで働きに働いているのに、食べることさえ十分にできないほど貧しい。なのに子どもは次々と生まれる。子どもは学校に行くより稼いでくることが仕事。現在の目から見ればとんでもなく危険な仕事もする。

    福音館書店から出ているので子ども向けの小説かと思ったが、これは大人の方がよく味わえる物語だと思う。大人は日本にもこんな時期があったことを知っているから。

    貧しくとも家族が愛し合っていることが作品全体にあたたかさを与えている。機転の利く主人公クロが次々と商売を考えたりするところは面白い。(いつも危険と隣り合わせであるが)
    また、聖週間の幻想的で熱狂的な様子は、昔の宗教的な祭りはこんな感じだったのだろうなと思う。
    しかし貧富の差は凄まじく、地主や修道院関係者は毎日豪勢な食事をしているのに、貧民に薪すら拾わせない。オリーブの収穫のときも、手袋をするとスピードが落ちると、爪が剥がれて血まみれになっていても素手で作業させる。自分の吐瀉物の中から入れ歯を拾わせる。ジャガイモを盗んだだけで射殺される。
    だからこそ恋人を結核で失ったロマの躍り手ファラオナが金持ちの前で怒りを込めてソレアを踊るシーンの激しさには圧倒的な美しさがある。

    こんな世の中は間違っているとは思うが、ひどい政治状況の中で貧しい人々が這いつくばりながらもささやかな喜びを見いだして生きる姿は、尊い。
    また、危険であっても何の制約もない中だからこそ才覚を武器に生き抜くこともできたのだなあと思う。

    丁寧に書き込まれた、人間たちの普遍的な物語。

  • 第111回「イベリコ豚食べ比べ&ビブリオバトル」で紹介された本です。
    2024.2.17

  • 原題 De eikelvreters by Els Pelgrom 1989
    野坂悦子訳 2021

    「夫サルバドールに捧げる」と献辞ににあるように、夫の子どものときにエピソードがもとになっている
    ほぼそのままで、修道院はサクロモンテ修道院だという

    主人公のクロ(サンチャゴ)はスペイン・アンダルシア地方の貧しい家庭に生れた少年
    1943年、8歳の冬から16歳になる1951年まで、ヤギ飼い
    やオレンジ売り、大工の手伝い、陶器の行商、オリーブ摘みなど、様々な仕事をしながら成長するクロの八年間を描いている
    村人はみな貧しく、修道院の土地から薪を拾うことさえ許されず、飢餓に苦しみながら生きている
    しかし父はクロに物乞いだけは許さず、働いて生きることを教える(背中で見せる、かな)

    貧しさの程度はかなりのもので、それぞれのエピソードは想像を絶するものの、クロのたくましさに救われる

  • ふむ

  • 久しぶりに胸にずしんとくる児童書を飲みましたね。
    ともかく貧しい主人公クロや家族、その回りの人たち。
    わずか8歳で学校を止め、家族のために働かなくてはいけない。
    でも、この本暗くないんだよね。クロの人柄の良さもあるし、誇りを失わない生き方が伝わってくるからかな。
    支配者側の強欲ぶりは腹の立つことではあるけど、それに負けないクロを心から応援したい。

  • 児童文学に分類されていたが、児童にはすこし理解が難しい箇所もあるので対象はYAかなぁと思う。

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著者プロフィール

エルス・ペルフロム 1934年、オランダのアムネルに生まれる。翻訳や地元紙の編集などに携わったのち、1977年、『第八森の子どもたち』(福音館書店)を発表。オランダで毎年最も優れた児童文学に贈られる「金の石筆賞」を受賞する。85年には『小さなソフィーとのっぽのパタパタ』(徳間書店)で、90年には本作『どんぐり喰い』でと、三度にわたって「金の石筆賞」を受賞している。94年には、これまでの業績に対して、「テオ・タイセン賞」(青少年文学のための国家賞)」を贈られた。

「2021年 『どんぐり喰い』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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