- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784834253160
作品紹介・あらすじ
ベールに包まれた父親の正体、一高・東大時代の交遊録、戦時中の大陸での諜報活動、怪人二十面相との驚くべき関係……。乱歩研究の第一人者が描く、名探偵明智小五郎の知られざる生涯!
感想・レビュー・書評
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老年の明智小五郎が元警官に語る、秘めてきた数々の過去!という、つまりは二次創作。
ものすごく気合の入った二次創作。
明智小五郎と江戸川乱歩がどちらも存在して、乱歩は明智に聞いた話を書いたという設定で、乱歩だけでなく虚実様々な人達が登場し、実際の事件と作中の事件が交錯していく。
よく練られているなと思うし、「はいあの島来た!」「はいはい駅のあれね!」等、ニヤニヤしながら読むのが楽しかった。
幼い頃から乱歩大好きとは言え、未読もまだまだあるし、忘れてしまっていることも多く、乱歩以外のことについては、元ネタがあることさえ気づいていないことも色々あっただろうと口惜しいが支障はない。
ただ、作者も私も思い入れが強過ぎてぶつかるぶつかる。
それはやり過ぎ!私のあの人は…と本に向かって軽く喧嘩をふっかけたくなるところもしばしば(笑)。
でもラストは、「私達、解釈は違えどその心意気、受け止めますわ…」という気持ちで、割と納得して本を閉じた。
他の乱歩ファンにも読んでもらって、今作と乱歩作品について語りたくなった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
小学生の頃、読み漁った、明智小五郎。没頭して読んだ日々を懐かしく思い出す。
完全なるフィクションではあるけれど、小五郎を形成するバックグラウンド、各種物語や少年探偵団、怪人二十面相の裏話、果ては満洲事変や2.26事件にまで関与してた話…よくできた明智小五郎スピンオフ。
久しぶりに江戸川乱歩を読みたくなった。息子・娘と一緒に楽しめたらなお楽しいだろうなぁ! -
MCU(マーベルシネマテックユニバース)ならぬ「明智探偵小説世界」の怪作!いや快作!江戸川乱歩の生み出した名探偵明智小五郎が生みの親を凌駕して動き出し、第一次世界大戦と第二次世界大戦の間の時代の事件を、史実も創作も併せてまるごと呑み込み、もうひとつの昭和史を描き出しています。それは、推理小説と呼ばれる前の探偵小説の黄金時代でもあります。世界的なスーパーヒーローも惜しげもなく投入され、しかもマニアックな歴史の裏方や、その時代を描いた映画やアニメや小説の登場人物もチラチラ、物語に絡んでニヤリとします。たぶん自分では半分もキャッチ出来てないと思います。人名全部書き出して調べると日本の資本主義が完成し最後の帝国主義として崩壊する時代のロマンチックでダークでミステリアスな物語がもっと見えてくるような。読んでてもメチャ楽しいですが、実はこの作品で一番楽しんでいるのは作者かも。二次創作物の鑑です。ただある種のお祭り小説なのでディズニーのスターウォーズに感じる大味な感じが気になりました。それも味のうちですよね。
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明智小五郎が自らの半生を語った回顧談。めちゃめちゃ楽しい一冊です。ただし惜しむらくは、乱歩の作品もいくつか読んでないのある……読んだけど覚えてないのもある……ので、ネタがわからずに素通りしちゃってる部分もあるんだろうなあ。乱歩作品、読み返したくなりました。
乱歩作品だけではなく、実在虚構取り混ぜた登場人物があまりに豪華すぎます。あの人とあの人がそんな関係!? とか。あの人とあの人が同一人物! とか。そもそも明智小五郎の出自がそれって!!! 凄い。あまりに凄すぎる。なんなんだこの超絶豪華キャストてんこ盛りは。夢のような世界かも。
でも確かに、明智小五郎よりもむしろ怪人二十面相のほうが主役かもなあ、ってのは思いました。やはり彼あってこそのあのシリーズなのかもしれません。