脳の右側で描け

  • マール社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784837302513

感想・レビュー・書評

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  • 1992年に買ってざっと読んでいいことが書いてあるなーぐらいに思ってからずっと積んでた本。

    改めて読むと、まず慣れるために紙全体に鉛筆で線を描いてみるところから始めましょうという、初歩の初歩からの練習法が書いてある。

    それから、適当に描いた線に対し、反対側に対称の線を引いて花瓶を描く練習、見本を上下逆にして模写する練習、自分の手を見て、手元を一切見ないで手を描き写す手法、本体ではなく本体とそれ以外のものの境界を描いて結果として本体が描けるという手法、鉛筆で角度や比率を計りながら屋内を立体的に描く手法、人の顔の形のバランスの基本とそれを頭に入れた人物デッサン、最後に陰影による立体感の表現、というように徐々に高度な技術に進んでいく。

    最後の方の立体感のある人物デッサンまで行くとかなり高度で、この本だけで到達するのは難しいかもしれない。

    しかし、前の方の見本を上下逆にして模写、のあたりでも、ビフォーアフターの比較からしてかなり画力が向上するので、それで楽しくなっていろいろ描いていきながら、たまにこの本などを見て先へ進んでいくといい練習になるかもしれない。

    原書は1979年発行だから、ベースとしている脳科学は40年も前のこと。脳の左右の半球の役割分布どはMRIなど使える現在はさらに知見が増えていると思う。

    なので、「右脳を鍛える」だとかいう通俗的な考えには踊らされないようにしたい。この本が古いのに普遍性があるのは、脳の情報処理に「Lモード」と「Rモード」の2通りがあると示したことで、それが脳のどこの何によるのかは置いて、これらのモードが実際にあるということは経験的によく分かる。

    本書は一貫して、Lモードの情報処理はこうで、このモードが支配的な状況では絵をうまく描けない、Rモードを使えるように練習すればだれでも絵が描ける、ということを書いている。前に示した各練習法は、Rモードへ頭を切り替えることを経験し、自在に切り替えられるようにする方法を伝授するということで一貫している。

    ジェーン・ハーリー:『滅びゆく思考力』という本ではテレビやゲームのために、人は右脳の直感的理解力ばかり発達させ、左能による理論的思考力が十分育ってきていない、ということが指摘されている。

    後者は正しいかどうかは分からないけど、前者についてはちょっと分かるかも、というのは自分もテレビばかり見て育った世代なので、絵を描くという動機も、写実的な絵を志向する10代前半でLモードの呪縛にほとんど引っかからなかったのもテレビの影響が大きいのかもしれないと考えているから。

    要するにテレビやゲームなど映像コンテンツに溢れた現代は、実は誰でも容易に絵のスキルを身につけられるだけの素地をもっているということ。

    「絵の練習法といったってみんなロードバイクで遠くへ行きましょうみたいな話でママチャリにも乗れない俺には役に立たない」といった声をたまに聞く。本書は補助輪付きから始めるのと同じぐらい易しい本だと思うので立ち読みでもいいのでお薦めする。

  • みたものを見たままに描くために、象徴的なイメージを回避する方法をとく良書。昔それなりに絵は描けたが、今はさっぱり描いてない。
    子供の頃にものを見たままに描くことは覚えたが、それを全てに適用せず一部のものは記憶とイメージ…ようするに象徴で描いていたのを思い出した。ビルを見あげて月を見る構図だが、遠近法で先端が細くなるビルではなく、そのまま横から見たビルを描いていた。
    良い本。

  • 多分このとおりにやると絵は上手にかけるようになるよ。その点では参考になります。
    でもなんか啓蒙的…。

  • これは名著。脳が視覚情報をどんな風に処理しているのかについて。絵がうまい人、写真を撮るのがうまい人の見てる世界をちょっとだけ想像できるかも。絵が下手なぼくにとっては目からウロコでした。見るという行為がどれだけ偏見に満ちているのか、思い知らされる本でもあります。

  • 絵のバイブルです。学校の先生も読むべき。

  • 中学校で「本物そっくりに描けるように教えちゃるでぇ〜」と大口たたけるのは、この本のおかげ。本当に子どもの絵が変わる。

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著者プロフィール

カリフォルニア州立大学ロングビーチ校の美術学部の教授を引退し、大学や美術学校等で定期的に講演をしている。UCLAから美術、教育、認知心理学の博士号を取得。TV番組や多数の出版物にて紹介されている。

「2020年 『色彩・配色・混色』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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