息つく暇もないほど面白い『源氏物語』: 雅の世界に渦巻く嫉妬、濃密な性の悦び、陰謀 (王様文庫 D 12-9)
- 三笠書房 (2013年11月30日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
- / ISBN・EAN: 9784837967002
作品紹介・あらすじ
1000年前も、きのうの夜も……
男と女は――
こんなに切ない、
こんなに官能的……
◎【初夜の悪夢】12歳光源氏と16歳葵の上の婚儀の行方
◎【道ならぬ恋】継子と契った藤壺が失ったもの、得たもの
◎【怖い女】若い男に溺れた六条の御息所の胸の内
◎【ホラー?ミステリー?】夕顔を殺したのは誰?
◎【男の理想】“人形”紫の上の哀しみ
……etc.
『源氏物語』の表(おもて)を読み、裏を読み、行間を読む……。
光源氏をめぐる生身の女性たちの語りつくせぬ思い、
心の闇を、たっぷり堪能してください!
感想・レビュー・書評
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光源氏を取り巻く姫たちの愛憎と憂いがドロドロと物語られている。源氏物語は古典で読めば、きらびやかな平安時代の宮中だけと思っていたが、実は今の世とは変わらない恋愛模様(今以上の恋愛事情)を含んでいる。
どうにもならない現実、無常感、光源氏の周りの女性たちの怨念が伝わってくる。
もう一度、古典を読み返せば違う見方ができそう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
紫式部の源氏物語です。初めて読みました。ひかるの君、光源氏の物語。そうとう凄いですね。奈良中期の宮廷の世界。物語としては2点かな。
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源氏物語に登場するヒロイン毎の章になっているので、ヒロインへの感情移入がしやすく読みやすかった。ただ、時系列はややこしいので、自分で整理して読むとよい。
私は元々は、紫の上を推していたが、本書を読んで明石の上も推したくなった。賢いが故に、田舎出身であることの自身を卑下し、後ろ向きな正確だが、源氏の寵愛を受けてシンデレラストーリーのような展開が良かった。
源氏は、末摘花のようなブサイクや明石の上のような田舎出身にも寵愛を与えるので、人物像を何とも掴めていない。
この時代の風習や文でのやり取りも分かりやすく書かれているので、世界観も理解できて面白かった。
この物語の内容を子供の頃に習わないのは、色恋や艶めかしい表現が多いからだろうか。 -
とても雅で、美しい作品でした。
由良さんの想像も入っているとは思いますが、そんなことを言ってしまえば、源氏物語の真実は紫式部のみぞ知ることですもんね。
人それぞれ、いろんな見方があるから面白いのだと思います。
桐壺帝が、藤壺と源氏の密会に気づいていた、というシーンが印象的でした。
切ないですよね。
この場面を、桐壺帝は鈍感で何も気づかなかった という事にしている方々もいらっしゃいますが、気づいていたバージョンの方がドラマチックで好きです(笑) -
大人もぞっとするグリム童話の由良弥生さんの手にかかると源氏物語もこうなるんだ!ほお~と、久しぶりに他の源氏物語との違いを探しながら読み進めました。
登場するのは葵の上、藤壺、六条の御息所、夕顔、末摘花、朧月夜、明石の上、紫の上。中でも夕顔と末摘花は独自の解釈での展開でおもしろかった。
夕顔の女房右近、末摘花の女房大輔の命婦の描かれ方が人間味あふれていたかな…そんなイメージは今まで持っていなかったので。
原作に近い作品だと、その場面場面でもっと複雑につながっていたりするんだけど、バッサリと女君と源氏の君との関係にしぼって展開するから読みやすかった。
・・・けれど、源氏物語の面白さはもっと深いところにあるかな~ということで☆二つ。 -
昔は公○の漫画でよんでなんとなく理解した源氏物語。
文章にするとこんな感じなんだ、と面白い。
イケメンに翻弄されるのはいつの時代も同じなんだと、
苦笑い。
同時に、1人の書き手によりこれだけあまたの女性が書き分けられているのがすごい。
本書はごく一部の抜粋なので、原書はもっとたくさんの女性との恋沙汰が描かれているのだろう。
そう考えると、紫式部ってやっぱすごいと思わざるを得ない。 -
14.feb.10
源氏に愛された女性たちのストーリーを一人ずつ、作者の想像と解釈を交えて描いた作品。
女性にスポットを当てた作品だから、私の大好きな夕霧×雲居の雁と、柏木のストーリーがなくてもの足りず(´・_・`)
夕顔の解釈は「そういうのもあるのね〜」という感じだったけど、他は目新しい面白さもなく、「息つく間もないほど面白い」わけではなかったかな。笑
源氏っていまの時代で言うと誰みたいな容姿なんかなーと源氏関連のものを読むといつも気になる。 -
光源氏にまつわる8人の女性について、
それぞれの女性を主人公に据えた上で、
それぞれの女性に係わる原典について、
作者独自の視点での解釈、補足および、
よぃ意味での、つじつま合せを施して、
光源氏の、元服から壮年期までを、
連続短編調で時系列に描いており、
「源氏物語」の入門書としても、また、
1つの作品としても、よかったです…。
作風は、
教科書的なお堅ぃ現代語訳でも、
桃尻語的な砕けた現代語訳でもなく、
ごくふつぅの口語体で書かれており、
読み易かった点も、好感触でした…。
そのお蔭もあってか、
8人の女性の、それぞれの人となりが、
とても身近で、かつ人間味が感じられ、
「源氏物語」や光源氏に対する、
どことなく、神秘的な先入観が、
程よく変わったかもしれませんね…。
でも…、
だからと言って、全訳を読むまでには、
まだまだなりまてんが…f(^_^;) -
源氏物語を知らない人はいないと思うけど、読んだ人は少ないでしょうね。という私も、授業でちょっと習った以外は全く読んだことがありません。かといって今から読む気力も…。そういう人でも気軽に読めるのがこの本です。
この本では、葵の上、藤壺、六条の御息所というように、光源氏を取り巻く姫君がそれぞれの章の主人公になっています。そして、その主人公の姫君の心情にスポットが当てられ、筆者の推察も加えながら、現代人にも分かりやすく、共感できるように語られていきます。
うまいのは、その章で脇役として登場してきた姫君が次の章で主役となるような構成。それぞれが別々のストーリーのようで、うまく話がつながり、一つの出来事を多面的に見られるのは、読者としてありがたいですね。源氏物語について全く予備知識がない人も、安心して読むことができます。
また、章のあとにすぐ解説が入り、筆者がその姫君をどう解釈したかが語られます。厳密な議論はされていませんが、原典と筆者の解釈をごちゃ混ぜにすることなく、ストーリーをとらえることができます。
物の怪が登場するのがやや興醒めですが、それでも現代人に通じるラブストーリーとして、源氏物語を改めて見直すことができるよい本です。
※原典との比較が私にはできないので、★4つとしました。
※単行本で、以前に読んでいるのを忘れていました(^^;。 -
源氏物語に出てくる女性たちを一人一人とりあげ、どんな気持ちで生きていたのかを小説部分と解説部分で掘り下げている短編集。葵の上、藤壺の宮、六条の御息所、夕顔、末摘花、朧月夜、明石の上、紫の上。
読みやすく、現代にも通ずる思いを共感させて源氏物語をより身近に感じさせてくれる。こんな気持ちだったのか、と改めて個性豊かな姫君たちの気持ちが浮かびあがっていて、とても面白かった。