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- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784838602926
作品紹介・あらすじ
『知られざる源氏物語』で幅広い視野からその魅力を説き、源氏物語作者複数説の嚆矢たる『源氏物語とその作者たち』へと進化させた成立論に加え、「朝顔の宮追従に発して」「玉鬘十帖の論」「六条院の女性たち」「折口信夫の山田孝雄観」を合流させ、著者畢生の仕事を一冊に凝縮。
感想・レビュー・書評
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1冊で西村亨全集?
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源氏物語の著者が紫式部だけではなく、複数の人たちが関わったというのが折口信夫、池田彌三郎の系統をひく著者の主張。紫の上系と玉鬘系に分けて、主人公の光源氏の人格、著者の目線の違いから著者の違いを論証していく。なんと紫式部日記に登場する藤原頼道もその有力候補に。確かに玉鬘10帖における光源氏は諧謔的に描かれ、玉鬘も自立した聡明な女性として主人公並みの扱い。それまでとトーンが異なる。そして全編中、最高峰と折口が主張したという「若菜上・下」巻は女三宮と柏木の裏切りに苦難の中を生きる光源氏は奥深い大きな人物である!サイデンステッカーの「源氏は文学の領域より、むしろ民間伝承の領域」との言葉は、いかに読まれていない名作であるかの皮肉である。折口がいう「源氏物語は(長編すぎて)不幸な作品」に繋がるのであろう。私自身は「朝顔の君」の存在はこの本を読むまで気が付かなかった。寝起きの顔を見た憧れの君!
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