ネペンテス(MF文庫ダ・ヴィンチ) (MF文庫 ダ・ヴィンチ し 1-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840127639

作品紹介・あらすじ

「四時の終わりにゲームのオジサンが来るの知ってる?」高校生・西村祐胡のもとに現れたのは、普通の人生から抜け出したい少女、絵留。時々ふらりと現れるオジサンとのゲームに勝てば、景品として願いが一つ叶うというが…。(第一話・電脳紙芝居オジサン)心が揺れ動くと不思議なことが起こる運命を背負った西村祐胡。彼が遭遇する、迷宮のような不思議で切ない八つの物語。

感想・レビュー・書評

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  • 世の中に飽きているかのような主人公は
    ある日見知らぬ女子高生に呼び止められる。

    1話からして不思議な話でしたが、確か
    こんな感じの都市伝説もあった気がします。
    そんな最初の奇妙に不思議な話があったものだから
    全8話分の話が、少しずつ不思議が増えていっても
    まったく気にならないどころか、妙な所で終わっても
    この後もしかしたら…という想像でいっぱいでした。

    変なゲームのおじさん、文字通り変わっていく同級生
    見知らぬ少年と少女、3話に出てきた少女と変な人
    自分の運命がもらえるゲーム、妙な姉弟
    電子ペットの葬儀をしている少女
    そしてまた…3度目の少女。

    結局どうなったのかさっぱりですが、最初のせいか
    どれもこれも…と考えてしまいます。

  • “わからない。
    ただ、祐胡にとって確かだと思えることが一つある。
    北島カレンの失踪は、祐胡がカレンに心を揺すられ、引き起こされた悪いことだ。
    祐胡の心が動揺すると、その大きさに応じて悪いことが起きる。
    祐胡自身にも、世の中にも。
    それは誰にも言えない祐胡だけの秘密だ。”

    西村祐胡という名の少年が全八話の短編集を通しての主人公。
    トオと葉茨が再び出てきたのがうれしい。相も変わらず二人とも性格はあのままだけど。
    祐胡の不思議な力とその原因。
    そして、トオが祐胡に復讐しようとする理由とは。

    “だけど、僕は。
    「思い出した?」
    窓を開け、狭いベランダから海を見ていると、背後から声がした。”

    清水さんの書く物語でよくある、もう忘れてしまった昔の出来事。
    忘れてしまったことを忘れているからそれは自分自身にも当てはまることがあるかもしれなくて。
    少し、こわい。そしてなぜか、悲しい。

    “しばらく待つと、彼方から、黒い細い影が近づいてきた。決闘の場に現れた勇者のように、胸を張り、堂々とした大股で歩いてくる。だがその姿は小柄な少女だ。二つに結んだ髪を耳の下で揺らし、大きな目が不敵に祐胡を見つめている。黒いワンピースに黒いタイツで、それだけでは寒そうだが本人は平気なようだ。
    「来たわね西村」
    「いまお前が来たんだろ」
    「呼び出したのは私よ!」
    「だったら遅れて来るなよ」
    「待つのは嫌いなの」
    相変わらず滅茶苦茶な理屈だった。だが、滅茶苦茶にも限界がある。
    祐胡は半分本気で遠山トオを睨んだ。
    「まみはどこだ」
    トオは頭に妹の犬耳をつけていた。見せつけるようなそれが微妙にむかつく。
    「返してほしければ、これをクリアしなさい」
    トオはいくつかの鍵が束になったものを突き出した。ちゃらん、と金属の音がした。”

  • 主人公の秘密は読者である私しかわからないその上で進められていく物語。
    読むにつれてだんだんとそんな主人公に惹かれていきます。
    どことなく冷めていて冷静すぎるけどなんか魅力的。

    切なく甘酸っぱい物語。 

  • 090908〜090910読了

  • この手のジャンルの本はあまり普段読まないけれど、ダヴィンチの紹介に載ってたから挑戦してみました☆…登場人物の誰一人として気持ちを理解して読むことができなくって読み切るのにものすごく時間がかかってしまいました。結局最後の話まで読み切ってやっと話の筋がわかったけれども、切なすぎて心が痛くなった。主人公の男の子が過去に経験したそのおぼろげな記憶がラストで明らかにされるけれど、それを理解した瞬間に泣きそうになった。自分がいかに幸せな家庭で育ったのか身にしみてわかった。苦手なジャンルではあったけど、印象的なシーンやセリフはたくさんあって、中でも、心についた傷が自分が確かに誰かと関わった証なんだっていうのはとても重くそして明確に私の心に刻まれました。たまにはこういうのも悪くないなーと思った作品でした。

  • ネペンテス−−ウツボカズラ。
    「不思議な力をもった少年」なんてちょっとアレな設定でも手にとって買うことにしたのは、これに都市伝説がからんでくるというのと、筆者が劇団をやってるという二つの理由から。
    純粋に設定がかなり特殊だというのもある。ものめずらしさ的な面白さ。

    いちわめ。ゲームおじさん。
    普通じゃないのがいいと願う少女と普通になりたいと思う少年。ラノベだなー。

    にわめ。青い目の少女。
    カレンちゃんはどんどん変わっていく、ってやつ。最後の主人公のそっけなさがいいですね。

    さんわめ。黒い手の少年。これ何気に一番好きかもしれない。
    とりかえしのつかないことをしてしまって、心の中に深い後悔を背負って、でもそれを隠して、贖うために生きていく、みたいなラストが好きです。

    よんわめ。ネペンテス。謎の少女トオに復讐される主人公。
    この主人公の斜に構えたかんじがいかにもラノベの主人公ぽくて若干恥ずかしいです。

    ごわめ。a quirk of Fate。これもいいね。短編としてきれいな出来。
    ゲーム『F』のキーワードを教えあうことで運命が変わるよ、っていう話。
    ちょっとした意外な引っくり返しもあって、さらにもういっこ引っくり返すところとかは構造的には評価できる。

    ろくわめ。減色症。
    これ、個人的にはものすごく世界が減色していくっていうテーマが面白くて、長編にしてしまえばいいのになーって思いました。

    ななわめ。ペットセメタリー。
    同姓同名の女の子に惚れてしまう主人公。何しろ感情移入が出来ないために、「へえ、そうですか」くらいの話になってしまっている。

    はちわめ。消せない傷。
    主人公はなぜ、心を揺らすと悪いことを起こす力を手に入れてしまったのか?というのが明かされる回。
    わりと動機付けとしてはうまいんじゃないですかね。ただこの作家さんの癖なのか、さらっと書きすぎな印象はうけますけど。
    1,3,4,6,8話あたりを抽出して映像化したらいいんじゃないかい。そしたら適度な感じな気がする。

  •  正直、よく分からなかったです。でも、好き嫌いが分かれるだろうなあと感じました。
     多分、この手のお話は明確な答えを求めてはいけないのでしょうね。その理論だと数学とか算数とかが好きな人はこのお話駄目かも知れません。

  • 一話を読んで、既視感を感じ
    二話目で、違和感を感じ
    三話で確信した

    読んだことがある…

    別レーベルでの新装版か…

    どの話もオチを忘れていたからいいけど

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