つり球 (文庫ダ・ヴィンチ)

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  • メディアファクトリー
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  • Amazon.co.jp ・本 (473ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840146647

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  •  宇宙人を名乗るハルから「世界を救うために釣りをしよう!」と無理やり釣りをさせられる主人公ユキ、思春期真っ盛りな釣り王子の夏樹、謎のインド人アキラ(25歳)。

     「世界を救う」という大事件の裏側では、切なくてもどかしくて歯痒い《青春》がありました。
     フツーの場所じゃ上手く生きられないであろうヘンテコな4人が江の島で出会い、それぞれが「世界って、まだまだ捨てたもんじゃない」と認めることのできた、新しい自分の世界を見つけることのできた、すごく小さな奇跡。
     地球という《世界》と、ユキたちの見ている《世界》と、ふたつの意味で彼らは《世界》を変えたんだと思います。

     アニメ終了後の公式ホームページで、作者の大野さんからこんなコメントがありました。

    「あの頃、そこにあるはずだった青春ってやつを、数十年経って奪い返す。」

     青春って甘酸っぱい。
     青春ってもどかしい。
     青春って辛くて、楽しくて、笑って、泣いて、悩んで、苦しんで、何かに立ち向かうことなんだと思いました。

     小説版の「つり球」では、アニメよりも鮮明にユキの心情が描かれています。
     「あのとき、ユキは、こんな気持ちだったんだ」と胸を締め付けられながら、「ああ」「うん」「そっか」「ああ」と溜息を交えながら、1話から最終話まで2回ずつ全部見てるのに、もう結末だって知ってるのに、誰が何処で何を言ったかも全部覚えているのに、不思議なもので最初から最後までワクワクドキドキしながら読みました。

     そして、アニメとは違うラスト1ページ、ラスト1行。
     数多くあった「つり球」の名言の中で、これを選んだと思うと感慨深いです。

     映像で「つり球」を好きになった人にこそ読んでもらいたい。
     アニメ同様、私たちに何度でも《青春》をさせてくれそうな小説です。

  • つり球ほんっとにだいすきです! うわあん。
    本編だとわからなかったみんなの気持ちの裏側の葛藤とか、本編になかったちょっとしたやりとりが、ところどころ、すばらしくて、また泣ける泣ける。
    ハルも夏樹もいろいろあるんだけど、ゆきが特に・・両親のことを思うくだりとか、最後にウララに声をかけたときの気持ちとかが、もう、もう・・小説読まないとあれはわからなかった。読んでよかった。もっと好きになりました。

  • ダ・ヴィンチに掲載されていたつり球脚本の方の連載小説が、加筆修正されて文庫本にまとめられたものです。
    普段小説を書いている方ではないせいか、三人称と一人称が入り乱れていたり(特に序盤)、人物の行動を表す描写がぎこちなかったりト書き風味だったりと、読みづらい部分も多々あったのですが、アニメと同じ内容も小説オリジナルの内容も、「こういうつり球もあるんだな」ととてもおもしろく読めました。
    ここにも、確かにユキハル夏樹アキラがいます。
    個人的には比喩表現が多彩だったのが印象的だったなあ。ユキを一輪の花にたとえる描写がなんだかロマンチックだなあと思いました。

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