ハンガー・ゲーム3 下 マネシカケスの少女 (文庫ダ・ヴィンチ)
- メディアファクトリー (2012年11月2日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
- / ISBN・EAN: 9784840148689
感想・レビュー・書評
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ハンガー・ゲーム➊❷❸と読み終わる。
➊は映画を先に見たため、映像では分からなかった部分や映し出されなかったところ、カットニスの心情の機微を知ることができて、とてもよかったし、面白かった。とりあえず、キスしすぎ。
❷はまあ面白い。これを映像化したらすごいだろうなぁと想像するしかない。カットニスとピータの関係がすごくいい。お互いが相手のことを生かそうとする思いはどこかのカップルの愛よりもはるかに強い。ただ、カットニスはピータを相手にしても、ゲイルを相手にしても、喧嘩ふっかけすぎだし、不器用すぎ。
❸はカットニスの葛藤、悩み、恐れ、怒りなどなどのマイナス面が大いに溢れている。読んでいるこちらがつらい。だけど最後の方の言葉が好きだ。「ピータはパンを焼く。わたしは狩りをする。ヘイミッチは酒を飲む。」最初から最後まで、この話の主人公はこの3人だったのだろう。カットニスとヘイミッチは似たもの同士だと言っていたけれど、スノー大統領の意図を毎回のように読むことができたカットニスは、彼とも似たもの同士ということになるのではないだろうか。でも、人を殺しすぎ…。
カットニスはとても悩んで、愚かで、自己中心的で、罪悪感に毎度のように囚われていて、だけどまっすぐで自分をしっかり持っていて、狩りが上手で、魅力的な人間で、つまり、完璧な人物ではなかった。だから、読む側も彼女の思いにとても共感できるのだろうと思う。
最後にふと感じた。今の平和は過去の犠牲の上に成り立っているということを。みんなそれを忘れてはいけないと思う。すべてにおいて。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
物語が気になりすぎて一気に駆け抜けてしまった。
このシリーズの強みは主人公が最初からめちゃくちゃ強いわけでもなく、物語が進むにつれて主人公らしく劇的に成長したりしないところだと思う。
最後までどこにでもいる「普通」の少女だった。
3作通してカットニスはずっと思い悩んでてそれが一人称小説だからとてもしんどかった。
革命を起こすには犠牲は付きものっていうけど犠牲は命のことだけではないんだよね。
読みながら香港やミャンマーのことを思い出していた。
終盤のカットニスとピーターのやり取りにボロ泣き。
今ある平和はいつかの誰かの命や人生、その上に成り立っている。
彼らが戦ってくれたから、私たちはここにいる。 -
脚本指南の本にストーリー構成の例として掲載さていたので読んでみた。
環境悪化と内戦で人口が減った北米が舞台の近未来アクション小説である。圧政に苦しむ属州は為政都市キャピトルに娯楽を提供するために、子どもをサバイバルゲームの生贄として差し出さねばならない。そのゲームに出ることになった少女が主人公。1・2・3巻を通して少女は成長し、国家は転覆する。
古代ローマをモチーフにしているが、「コリオレイナス」「コルヌコピア」「闘技場」「パンとサーカス」などのキーワードを散りばめ、雰囲気を借用しただけに思える。キャピトルはどこか現代アメリカを彷彿とさせ、現実のアメリカこそ古代ローマ的な無神経さがあると著者は指摘したいのかもしれないが、そうでもない気もする。
著者はテレビ脚本家だったらしく、ハリウッド的な怒涛のストーリー展開でぐいぐい読ませる腕はさすが。ただ、面白かったかといわれるとそうでもない。続きが気になって寝る間も惜しんで読んだが、続きが気になることと面白いことは同じではない。続きが気になる仕掛けが手法として存在するのだ。そのセオリーどおりに書かれると、本当に続きが気になるというのがよく分かった。続きを読むと、動物的な快楽が得られる感じがした。気になっていた続きが得られることによるカタルシスがあり、読後はスッキリと痛快である。
名作とは言いがたく、何度も読むものではないが、キャラクターは魅力的で、主人公たちと同年代の中高生のときに読んでいたら夢中になっていたと思うので☆3つ。 -
2015.04.28
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1部だけ読むと「バトルロワイヤル」のパクリかと思いそうだけど、全3部を読むとそうでないことがわかる。3部は、ワクワクドキドキという感じではなかったけど、なんか夢に本書のネタが出てきたので★×5にしてみた(笑)