- Amazon.co.jp ・本 (323ページ)
- / ISBN・EAN: 9784842915852
作品紹介・あらすじ
名古屋といえば、1960年代に1つの区に1館ずつ図書館を設置するという市の方針を確立した先進市であった。なぜこの計画に着手することになったのか、どのように実施され、計画完成後どのような動きがあったのか。そして、この計画が名古屋市の図書館行政にいかなる影響を与えたのか。日本の大都市における図書館の一モデルともなってきた名古屋市の1区1館計画、その初の本格的な学術研究書
感想・レビュー・書評
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2013 12/30パワー・ブラウジング。Amazonで買った。
院生時代の先生が薦められていた本。
政令指定都市の中ではいち早く1970年代に1区1図書館を達成し、中小レポート以後の日本の図書館界の躍進の一例としてあげられることの多かった名古屋市。しかし「1区1館」以上にはなかなか図書館は増えず、長く状況がとまっていた。
この名古屋については、なぜ早期に「1区1館」を実現したのか等の歴史研究がない(というか、日本の公共図書館の批判的視座を持った歴史研究自体、あまりないことが本文で指摘されている)ことから、多くの資料をあたって経緯を明らかにしていくことを試みた・・・という本。
調べてみれば、従来は住民調査から図書館への要求が大きいことを受けて1区1館が実現されていった・・・と言われていたのが、実はその調査よりも前から行政内で路線として定まっていたこと、そもそも中小レポート以前からその路線はもうあった、つまり名古屋の1区1館は中小レポートから始まる日本の図書館の躍進の「定番の物語」とは別の文脈にあったものであること(ただし、途中からは名古屋の図書館関係者はあえて「定番の物語」に乗って行き、自分たちをそこに位置づけようとしていった)等が明らかになっていく。
博論を元にした本とのことで、固さは残る(いや博論なんだからそれでいいんだ、むしろ)けどすごく丁寧で参考になる。
こういう研究がいっぱいあるとかなり有り難い。詳細をみるコメント0件をすべて表示