詩集『山羊の歌』より (立東舎 乙女の本棚)

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  • Amazon.co.jp ・本 (56ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784845637638

作品紹介・あらすじ

汚れつちまつた悲しみに
今日も小雪の降りかかる

30歳でこの世を去った詩人による、生前に刊行された唯一の詩集。

中原中也の『山羊の歌』が、アンティークのような不思議な魅力を放つイラストで話題の大人気イラストレーター・まくらくらまによって描かれる。
名作文学と現代の美麗なイラストが融合した、珠玉のコラボレーション・シリーズ。
自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊。

感想・レビュー・書評

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  • 中原中也 × まくらくらまさんコラボ作品
    『ヤギの歌』よりを読みました。

    まくらくらまさんのイラストが、西洋アンティーク調でとっても素敵でした。
    中原中也作品の、苦しみ悲しみ、絶望感、美しさ儚さ、気だるさなど…全てしっくり合うように表現されていると感じました。
    お洒落な表紙で飾っておきたいくらいですね。

    ○これは失恋の詩で重苦しい悲しさが心に残ります。

    【汚れつちまつた悲しみに……】
     汚れつちまつた悲しみに
     今日も小雪の降りかかる
     汚れつちまつた悲しみに
     今日も風さへ吹きすぎる
     
     汚れつちまつた悲しみは
     たとへば狐の革ごろも
     汚れつちまつた悲しみは
     小雪のかかつてちぢこまる

     汚れつちまつた悲しみは
     なにのぞむなくねがふなく
     汚れつちまつた悲しみは
     倦怠(けだい)のうちに死を夢む 
     
     汚れつちまつた悲しみに
     いたいたしくも怖気づき
     汚れつちまつた悲しみに
     なすところもなく日は暮れる……
     
    ○『サーカス』も良いです!

    〈ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん〉
    空中ブランコが揺れている様子が表現されてて面白く印象的。 
    繰り返しや調子が、独特のリズムを生み出している。戦時下の暗い時代のサーカス。
    緊張感の無い、気だるさがある不思議な雰囲気。
    なんともいえない余韻を覚える詩。
     

    ○『春の日の夕暮』も好きです。

    〈トタンがセンベイ食べて
    春の日の夕暮れは穏やかです〉
    こんな書き出しから始まる詩です。
    言葉の選び方がいちいち、不思議で
    難しくて意味を考えさせられるけれど
    よく、わからない…
    でもそれでもいいと思えてしまうところがいいです…(笑)

    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      今朝のしじみさんのレビューを読んで嬉しかったです。かなさんもきっと同じ〜(^o^)v
      ありがとうございました( ⌯'֊'⌯) ও⸒⸒
      今朝のしじみさんのレビューを読んで嬉しかったです。かなさんもきっと同じ〜(^o^)v
      ありがとうございました( ⌯'֊'⌯) ও⸒⸒
      2023/08/04
    • つくねさん
      チーニャさん、えへへ

      ご心配いただきましてすみませんでしたm(_ _)m
      無茶元気にしておりまして夏山シーズン真っ盛りだから
      週末...
      チーニャさん、えへへ

      ご心配いただきましてすみませんでしたm(_ _)m
      無茶元気にしておりまして夏山シーズン真っ盛りだから
      週末はアルプスに遠征してて、帰ってくるとその余韻が3日間ぐらい
      続いちゃって週の後半になると天気予報や地図睨みながら次どこの山行こうか練ってたりなので、なかなか読書に集中できなかったりなんです(*´Д`*)
      そんな訳で読書ペース落ちてますが見捨てないでくださいねっっw
      チーニャさんや、かなさん追っかけますからねえ _:(´ཀ`」 ∠):
      2023/08/04
    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      はーい!!♪

      山登りはー(*。•ω•。)ノ"・・・
      キヲツケテネー♡
      はーい!!♪

      山登りはー(*。•ω•。)ノ"・・・
      キヲツケテネー♡
      2023/08/04
  • 詩集とイラストのコラボは、とても相性が良いです。
    詩を楽しむ、背景を想像する能力が乏しいので、まくらくらまさんの美しいイラストは、中原中也の世界観に近いのではと思えますが、その中原中也がつかみ難い。
    あるアマチュアの会派の年一回の展覧会へ 従兄弟が所属しているので、数十年続けて見せてもらっている。長い間、油絵会員だけだったけれど、
    最近の若手会員さん達は、画材や画題にすごくチャレンジしていて、とても面白くなってきた。この画家さんもベースは油絵のものもあり、意欲的な作品でした。
    詩は、さすがに数点は知っているものもあったけれど、詩そのものが若いかな。甘いかなあ。
    無意味さの美しさとか?喪失感とか虚無感?
    なんとなく燃え殻さんを思い出した。
    中也忌

    • おびのりさん
      珈琲さん、美しい事は確かです。
      で、このシリーズの私にとっての良さは、文庫本だと、何作か難作と格闘するところを、短編一作と向き合える。しかも...
      珈琲さん、美しい事は確かです。
      で、このシリーズの私にとっての良さは、文庫本だと、何作か難作と格闘するところを、短編一作と向き合える。しかも青空文庫より、読書欲をそそられる、というところです。
      2023/10/23
    • 傍らに珈琲を。さん
      乙女の本棚、皆さんに人気ですよね。
      おびのりさんが仰る通り、短編一作と向き合えるのは嬉しいです。
      読みたい短編を含む文庫でも、幾つかの作品が...
      乙女の本棚、皆さんに人気ですよね。
      おびのりさんが仰る通り、短編一作と向き合えるのは嬉しいです。
      読みたい短編を含む文庫でも、幾つかの作品が難解で放り投げそうになる時ありますもん。

      乙女の本棚は美しいですよね。
      本屋で見かけてもパウチされていることがあって、そそられます。
      まずは『檸檬』と決めてますが、手に取ろうものならハマってしまうのかしら。

      一作と向き合うと言えば、私はリトルモアというところから出版されている清川あさみさんの絵本(?)シリーズが好きです。
      ビーズと布を使って作る清川さんの美しい作品が物語を彩る、アート絵本です。
      まだ『幸せな王子』しか持っていないのですが、次は『銀河鉄道の夜』が欲しくて。

      …って、長々と失礼致しましたっ!
      2023/10/24
    • 傍らに珈琲を。さん
      あ、ちなみに。NHKで放送されている大奥のタイトルバック、清川さんの作品です♪
      あ、ちなみに。NHKで放送されている大奥のタイトルバック、清川さんの作品です♪
      2023/10/24
  • 中也です

    詩集です、遂に

    まくらくらまさんのイラストが素晴らしいのよね〜
    そしてこのすんばらしいイラストが出てくるってことは、一回まくらくらまさんの中で中也が消化されてるってことですからね
    そこんとこも含めてまくらくらまさん良いですね

    そして、ここでねあらためて訴えたいのはね

    やっぱ詩は音読ですよ!
    音読しなきゃダメ、絶対!
    声に出してこその詩です
    声に出してこその中也です

    いや中也、中也て馴れ馴れしいわ!小学校の同級生か!

    ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん

    うーん、これぞ声に出して読みたい日本語

    • ひまわりめろんさん
      こっちはおそらく今年降らねんじゃね?ってくらい暖冬ですわ

      読書チャンス?
      こっちはおそらく今年降らねんじゃね?ってくらい暖冬ですわ

      読書チャンス?
      2024/01/24
    • みんみんさん
      とりあえず食料を漁ります笑
      とりあえず食料を漁ります笑
      2024/01/24
    • ひまわりめろんさん
      なんかエライことなってるやんか
      大丈夫?
      なんかエライことなってるやんか
      大丈夫?
      2024/01/25
  • 十乙女読了です♪

    まくらくらまさんのイラストを楽しんだって感じで、残念ながら詩はそこまで響かなかったなぁ...

    私の心が汚れつちまつてるのかなぁ(。>﹏<。)

    <要訳>
    中原中也の詩集『山羊の歌』は、彼の生涯を通じて書かれた44篇の詩を収めたものである。彼の詩は、自然や都会、戦争や死、愛や孤独など、さまざまなテーマを独自の言葉で表現している。



    人気シリーズ「乙女の本棚」第27弾は、詩人・中原中也×イラストレーター・まくらくらまのコラボレーション!
    詩集としても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。

    汚れつちまつた悲しみに
    今日も小雪の降りかかる

    30歳でこの世を去った詩人による、生前に刊行された唯一の詩集。

    中原中也の『山羊の歌』が、アンティークのような不思議な魅力を放つイラストで話題の大人気イラストレーター・まくらくらまによって描かれる。
    名作文学と現代の美麗なイラストが融合した、珠玉のコラボレーション・シリーズ。
    自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊。

    著者について

    中原中也
    明治40年(1907年)山口県生まれ。東京外国語学校専修科仏語部修了。30歳で亡くなるまでに350篇以上の詩を残し、ランボオなどの翻訳も手がけた。代表作に『山羊の歌』、『在りし日の歌』など。

    まくらくらま
    3月26日生まれの作家。ヨーロッパアンティークが好き。デジタルだけでなく、油絵等のアナログ画材も併用し作品をつくっている。著書に『不思議なアンティークショップ』がある。』

    • かなさん
      ヒボさん、こんばんは!
      十乙女読了、お疲れ様です。

      私も、詩が響いたかっていうと…
      いや~理解もそもそもできてないけど、
      でも、...
      ヒボさん、こんばんは!
      十乙女読了、お疲れ様です。

      私も、詩が響いたかっていうと…
      いや~理解もそもそもできてないけど、
      でも、この世界観というか雰囲気が好きで、
      そして、イラストがすごくいいっ(*´▽`*)♡

      って、考えると…
      私の心も、汚れつちまつてるのかなぁ(/_;)
      2023/08/12
    • ヒボさん
      かなさん、こんばんは♪

      私より感受性豊かなかなさんの心が汚れつちまつてるなら、私の心はどうなるんですか∑(๑ºдº๑)!!

      もはや漆黒を...
      かなさん、こんばんは♪

      私より感受性豊かなかなさんの心が汚れつちまつてるなら、私の心はどうなるんですか∑(๑ºдº๑)!!

      もはや漆黒を超えて純黒...

      だからそんなこと言わないでください^^;
      2023/08/12
  •  乙女の本棚シリーズから、中原中也さんとまくらくらまさんのコラボ作品「詩集『山羊の歌』より」です。この作品のイラストがスゴイんです!!画集としても楽しめるとうたっている、乙女の本棚シリーズの中でピカイチです。飾っておきたくなります。

     「汚れつちまつた悲しみに
     今日も小雪の降りかかる」

     あまりにも有名なフレーズ…中原中也さんの詩だったんですね!!この詩って、中原中也さんの失恋に基づく詩らしいです。

     「ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」

     こちらは、「サーカス」という詩で…なんか、頭から離れなくなりますよね。サーカスの空中ブランコの描写らしいです。

     この独特な世界、そしてホント美術館に展示されていていてもおかしくないくらいステキなイラスト…いいですね!この世界観、ホント手元においておきたくなってしまいます。乙女の本棚シリーズの詩集は、この作品が一番いいなって、私的には感じました。

    • かなさん
      隠れ乙女の1Q84O1さん、いらっしゃいませぇ~♪
      ご来場、お待ちしてましたよ(*^▽^*)

      はい、この作品がイチ押しです!
      もう...
      隠れ乙女の1Q84O1さん、いらっしゃいませぇ~♪
      ご来場、お待ちしてましたよ(*^▽^*)

      はい、この作品がイチ押しです!
      もう、ページを開くだけで
      美術館に足を踏み入れたかのような
      気分になれちゃうのって…スゴイですよね(*´▽`*)♡
      もう、めちゃくちゃいいんですよ、この作品っ!
      図書館に返したくないです…。
      2023/07/26
    • aoi-soraさん
      かなさん、おはようございます♪
      素敵ですね〜
      私も美術館気分を味わいたい(⁠◍⁠•⁠ᴗ⁠•⁠◍⁠)⁠✧⁠*⁠。
      私にとって“詩集”って少しハ...
      かなさん、おはようございます♪
      素敵ですね〜
      私も美術館気分を味わいたい(⁠◍⁠•⁠ᴗ⁠•⁠◍⁠)⁠✧⁠*⁠。
      私にとって“詩集”って少しハードル高いのだけど、これも乙女なら楽しめそう♪
      2023/07/27
    • かなさん
      aoi-soraさん、おはようございます。
      いらっしゃいませ~(^_-)-☆
      ご来場ありがとうございます。

      美術館気分、存分に味わ...
      aoi-soraさん、おはようございます。
      いらっしゃいませ~(^_-)-☆
      ご来場ありがとうございます。

      美術館気分、存分に味わえるこの作品
      詩集だけど、その詩とイラストがぴったりあってて
      そしてイラストが息をのむほど、美しいんです!!
      aoi-soraさんも図書館で見かけたら
      ペラペラめくるだけでもいいんで
      よかったら手にしてみてくださいね♪
      乙女のaoi-soraさんなら、
      共感していただけると思います(*´▽`*)
      2023/07/27
  • 「サーカス」が印象深い。

  • 中原中也の詩って、よく考えると「汚れつちまつた悲しみに……」しか知らない。
    中世ヨーロッパのゴシックなイラストが、その世界観に暗い華を添えるような一冊。
    春夏秋冬、季節名をタイトルに据えているものが多いというのは発見だった。そしてその夕暮れや夜。
    「サーカス」という詩が特に心に残る。ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん

  • 汚れちまった悲しみに…が昔から好きだったので美しい絵と読めて良かったです。
    何故だか中原中也の苦しみ?のような感情をヒシヒシと感じました。絵がすごく美しくまるで美術館にいるような感覚でした(^-^)

  • 詩を読むのにはセンスが必要で私にはそれが乏しいことがよく解った。

    サーカスという詩でブランコが揺れる音を表した「ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」の響きが気に入った。

    汚れつちまつた悲しみに……だけ見覚えがあった。

  • なんだかひどく参っている現在、詩も絵もじんわり染み渡る一冊だった。
    弱く迷う心に寄り添う中原中也の詩と、アナログ画材を使用した厚みと暖かさのあるまくらくらま氏のイラストが、漢方薬のようにじんわり効いてくる感じ。
    絵だけでもぼーっと見ていれるし、詩の味わいも深い。
    挿し絵と違う情景を思い描くのも詩集本来の楽しみか。
    しばらくすぐ読める手元に置いておこうと思う。

    「いのちの声」は同じ「乙女の本棚」シリーズ『待つ』(太宰治・今井きら)を思い起こさせた。
    あれもはっきりしないなにかを待つ主人公の話。
    ここ最近参ってる自分も、よくわからないなにかを待っているのかもしれない。だから中原中也の詩と、太宰治の作品と、心や目の保養になるイラストが染み渡るのかな。

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著者プロフィール

山口県生まれ。東京外語専修科修了。若くして詩才を顕わし、15歳で友人との共同歌集『末黒野』を出す。1925(大正14)年上京、小林秀雄、永井龍男、河上徹太郎、大岡昇平らと交遊し、1934(昭和9)年に第一詩集『山羊の歌』を自費出版する。1933年の結婚後、長男文也を2歳で失ってから心身が衰弱し、1937年、鎌倉で急逝。小林秀雄に託されていた詩稿が、翌年に『在りし日の歌』として出版された。

「2024年 『女声合唱とピアノのための 盲目の秋』 で使われていた紹介文から引用しています。」

中原中也の作品

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