「パリ市庁舎前のキス」で、知ったロバートドアノー。
もっともっとたくさんの作品を見たくて手にとる。
パリの街が、生きたまま切り取られた作品の数々。
冒頭にロバートドアノー自身の言葉がある。
「私はこの街で、ただ楽しんでいただけだ。ときおり、街路で繰り広げられるスペクタクルは楽しい気分に浸らせてくれる。だから偶然に出会ったそんなシーンを集めて、その幸せを分かち合いたいと思ったのだ。それは新しい仲間への贈り物になるかもしれない。
何もかもがせわしい街の中で、そんな光景を見つけ出すのは、容易なことではない。コツは観察者が動かないことだ」
躍動感、息づかいまで聞こえそうなのに、静かな作品の「コツ」とは、これか、と思う。
また
「知らず知らずのうちに、パリの魅力が写真の中に忍び込んでいた。街を信頼し、余計な道順を思い描いたりせず、ただ光に導かれるまましていたことが、そうさせたと信じている。
明日もまた、やってみるとしよう。」
と、しめくくられている。
自由な気持ちで、街に撮りに出かけたくなった。