演出についての覚え書き 舞台に生命を吹き込むために

  • フィルムアート社
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784845911714

作品紹介・あらすじ

全米で圧倒的支持!名優を育て上げた巨匠がおくる至高の演出術。すべての演劇人に贈る珠玉の言葉。

感想・レビュー・書評

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  • これ普通に人生において役立つことばっかだった。マネジメントの本でもある

  • 舞台の演出家に向けた内容とのことですが、
    舞台の演出家だけではなく、人とコミュニケーションする者、特に人を導く側の者にもオススメ出来る内容でした。

    どのようにすれば観客をこちらの意図した世界観に引き込む事が出来るか?
    どのようにすれば俳優を万全の状態で舞台に上がらせる事が出来るか?

    忘れそうになったらすぐに本を開いて思い出せるよう、
    手元に一冊置いておきたいと思えた本でした。

  • これは演劇の演出についての本なのだが、読めば読むほど、デザインの本なのだった。巻末の参考文献にはタフテやアレグザンダーが挙げられているくらいだもの。

  • いくつか響く言葉がある。
    この手の本自体が珍しい。

  • 小さなことの積み重ね。
    でも大事。
    ここに書いてあることが、私の中を整理し、納得させてくれる。

  • 印象的な箇所の引用。

    <脚本を理解すること>
    ・最小限の言葉で作品の核心(コア)を説明せよ。:十二語以内で説明できるはずだ。すべてはそのコアのためにある。では、
    A 俳優と美術が観客に与える第一印象は、どうあるべきか?
    B 劇の最後に観客が受ける印象は、どうあるべきか?
    C AからBへ行くために、あなたはどう進めればいいか?
    ・それぞれの人物を「もし私が演じるなら」と仮定して、そのパートだけを読みなさい。:登場しない場面は飛ばし、その人物のセリフだけを読め。鮮やかなアイデアが浮かぶことが多い。配役のポイントもつかめる。
    ・それほど好みでない劇でも、好きになる努力をせよ。:凡作だと思える作品を演出する時もあるだろう。依頼を受けて、あるいは自分で選んでしまって。そんな時は作品の欠点を修復しようとするな。長所を見つけ、良い点を伸ばしなさい。
    ・苦悩を解決しようとするのが人間だ。:どの脚本にもこう問いかけよ。「人物たちは、どのように苦悩しているか? その苦悩を解消するために、何をしているか?」
    ・人物の奮闘や葛藤は結果よりも大事である。:人物が成功するかどうかは、どうでもよい。重要なのは、彼らが意志を明確に持つことだ――ゴールに向かって懸命に努力し、障害にぶつかり、そのたびに方法を選択すること。はっきりした説得力のあるシチュエーションの中で人物がとる選択肢。自力で状況を変えるか、状況に合わせて自分を変えるか。観客は登場人物の体験を目撃し、感情移入する。「私も、そう思う」「なぜ、あんなことをしたのかな?」「これは面白い。そんな名案があるとはな」というように。劇が終わりに近づくにつれ、観客は大きな対決やミラクルを期待する。だが観客の心を引くのは、勝敗や出来事よりも、人物の反応だ。結果より、エモーションが大事である。

    <演出家の役割>
    ・ストーリーを伝えなさい。:余分なものを入れたくなるのは、伝えることへの意志が揺らいでいる証拠。見かけだけの装飾が駄作を救うことは、たまにある。だが我々が求めるのは、力強い劇だ。
    全員に気に入られようとするな。:ビル・コスビーいわく「成功への方程式は知らないが、失敗する方法なら知っている。全員を喜ばせようとたくらむことだ」。皆が嫌がる決定を下さなければならないこともある。不満はつきものだと思いなさい。反対されても強く、冷静に。
    ・演出家にとって最高の褒め言葉は「あなたははじめから、何がしたいかわかっているように見えました」

    <キャスティング>
    ・イメージ通りの俳優を期待するな。:真のプロフェッショナルは役作りをする。「役にぴったり」な人には到底できないことをやってのける。

    <ブロッキング>
    ・作品のパワーは人物の要求の強さに等しい。:相手の強い抵抗を乗り越えなければ、人物の強さは表せない。

    <俳優への接し方>
    ・書かれたことの逆を読め。:スタニスラフスキーが言っていた。「善人を演じるならば、彼の中の悪人を探せ。悪人を演じるならば、彼の中の善人を探せ」人物の表面だけをなぞる俳優は、こじんまりして退屈だ。

    <ステージングの要素>
    ・あらゆるものが語る。:適切に作り上げられた舞台には、余分なものがひとつもない。足りないものも、ひとつもない。不要なものを見せて期待させるな。劇作家ロミュラス・リニーは、さらに激しく、こう述べている。「舞台にある物はすべて、使い切るか燃やし尽くすか、破壊せねばならない。そうでなければ、ストーリーの中で完全に化学変化させること。いずれにも当てはまらないものは、舞台に存在してはならない」
    ・三人組を活かせ。:人物二人の関係は二つだけ。三人の関係は七つある。三人のうち二人を結ぶ(合計三通り)、二人を組ませ、残りの一人と対峙させる(これも、合計三通り)。そして三人がそれぞれに結ぶ関係がひとつ。三人組を探せ。三角のシチュエーションは、ドラマティックな可能性を秘めている。誰が誰に反対し、誰と誰がが結託し、互いの関係がどう変化するかに従って、明確な選択をせよ。
    ・裸の真実にご用心:まじめなヌード表現だとしても、むき出しの感情や繊細な心情を伝えることは稀である。肌が露出すれば、観客は劇の世界から遠ざかる。観客が惑えば、劇の世界もまた混乱する。

  • 一ページ一つのテーマで文字が少なく、しかもわかりやすい。演出、監督てきな仕事をしている人は、必読の一冊だと思う。どうしてこの本が玉城図書館にあるのかだけが疑問。

  • 知人の舞台を観に行ってから、今まであまり触れて来なかった舞台という物に興味が湧いた。
    演出という行為にはプロデュースというものと相通ずるところがあるし、フットボールマネージャーとも通ずるところがあるということで、演出についての本を見つけたので、手に取った。

    直接的には役に立つという訳ではないのだろうが、少し抽象化してあげれば、かなり有用なメソッドも多く、とても参考になった。
    特に俳優の個性を尊重した演出の導き方に関しては、すごく難しそうだが、よい知見だと思った。

    演出はこんな感じなのだろうが、やはり舞台における一種の不協和音というか複雑性を持った内容を落とし込んでいくプロセスに非常に興味があったりもする。

    とりあえず、しばらくは色んな舞台を観つつ、知識も入れつつ世界観に触れていきたい。

    ■目次
    1. 脚本を理解すること
    脚本を読みなさい/できるなら、作品に合うデザイナーを選びなさい...etc

    2. 演出家の役割
    演出家は助産婦である/観客には常に続きを推測させよ...etc

    3. キャスティング
    演出の大部分は、キャスティングで決まる/イメージどおりの俳優を期待するな...etc

    4. はじめての台本読み
    長い演説ではじめるな/ボソボソと小さな声で読ませるな...etc

    5. 稽古のルール
    得意な方法ではじめなさい/規律を守れ...etc

    6. ブロッキングの作り方
    すべてのシーンは「追う、追われる」/作品のパワーは人物の要求の強さと等しい...etc

    7. 俳優への接し方
    人物像の考察は、稽古しながら少しずつ行なえ/シーンをはじめる合図は、段階的に...etc

    8. 観客を笑わせるには
    ユーモアには二種類ある/俳優は笑いをとろうとするな...etc

    9. ステージングの要素
    観客の目は、動くものに向けられる/客席に向く角度を選べ...etc

    10. 公演直前と、その後のために
    シーンが精彩を欠くなら、はじまり方を疑え/セリフの最後、声を落としてしまう俳優をチェックせよ...etc

  • 簡潔ながら身につまされる言葉がいくつもあった。繰り返しよんで、必要だと思った部分は参考にしたい。

  • 演出家のための覚書だが現場でのリーダーのbehavior についても当てはまる示唆に富む本

  • コレは、お楽しみで読んだですが、業務的に面白かったです。
    業務的にかなり参考になります。うん。
    という訳で詳しくは割愛(笑)。
    この手の本で唯一、切れば血が出る具体的な、ふむすむほー、感。

    その代わり、そーゆー仕事してない人が、何ていうか、自己啓発系ハウツー本としてどこまで面白いのかは、さっぱりわかりません(笑)。

    ソノ手の仕事してる人には、おすすめです。

  • 俳優でも演出家でもプロデューサーでも、舞台にかかわる仕事をする人なら面白く読めると思う。

    作者が経験から得た知識 - 陥りやすい錯覚や、正しいと信じて行う適切でない慣習- を、簡潔に箇条書きに近い書き方で1ページにひとつ並べてある。

    見出しで気になる箇所から読んでもいいし、各ページに示されている関連する項目のページを追ってもいい。

  • まあ経験があったうえでの本、知識なんだろうな

  • その通りだと思います。

  • 演出家にとって為になるだけでなく、もっと単純に人間関係にとって有意義な示唆に富む本であった。そして、フランク・ハウザー氏のすばらしい人格に感動しました。

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