結局、どうして面白いのか ──「水曜どうでしょう」のしくみ

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  • フィルムアート社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784845912988

感想・レビュー・書評

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  • 身内トークって、他人には面白くないけども、共有する時間は長い友人同士では面白い、笑える話ってあると思う。

    水曜どうでしょうも、見始めた1回目2回目より見れば見るほど面白く笑えるようになるのは、それと同じ現象のような気がする。

    自分の周りにいる友人の面白さって、なかなか人に伝えられない。
    それに、身内トークって何回話しても笑えますもんね。

    赤の他人、しかもテレビを通して、それが成り立つって、やっぱりすごい事だなと。

    二重構造というのは、なんとなーく、いや結構?分かる。
    大前提として、4人が何かしら面白い事をやる。
    その舞台がヨーロッパなりユーコン川なりであって、ある意味水曜どうでしょう
    好きからしたら、舞台ってどうでも良いものでもあると思う。

    そして、どんな番組であっても、引いた位置から俯瞰すると、たくさんの人が関わっている。登場人物を絞る事で、キリトリ方を変える事でバラエティとドキュメンタリーとを切り替えているよう感じる。

    その切替が意図的でなく、計画的でなく、大泉さんや鈴井さん、藤村さんが行う事
    で番組の面白さが出てくるんだろうなと。

    一つの番組で二つも味わえちゃうような、そんな感覚。

  • 「何故どうでしょうは面白いのか」をテーマにした本。
    筆者は、臨床心理学とカウンセリングが専門分野のようですね。

    中身としては、ディレクター2人へのインタビューと放送を一次資料として用いていて、一般書ですので、そんなに難しい内容ではないと思います。
    仮説も、分かりやすい内容ですね。ありきたりという意見もあるかもしれませんが。
    仮説はあくまで仮説、他の説があってもおかしくないわけで。同じようにこの仮説のフォロワーが出てきて、新しい切り口で分析する方が出てくる、というのもまた、面白い発展の仕方でしょう。

    いつか、本当に論文の題材として取り上げられる日がくるかもしれませんね。

  •  興味深い分析だった。水曜どうでしょうの面白さを臨床心理士の著者が紐解く。
     背景から丁寧に要点を重ねて、結論までが論理的で分かりやすかった。結論で「分かりやすさ」より「分かりにくさ」を奨めるところが逆説的だが、要するに面白さが分かりにくいためにどうでしょうは面白いのであり、さらに分かりにくいことさえもうまく分かりにくくしていて、一見簡単に見える、と。
     うーん、分かりにくい。でも分かりにくいからこそ興味を引き続けることができる、ってことでもある、と。
     そして分かりやすく解説しちゃったけど、どうでしょうの面白さは変わらない。こんなことはどうでしょうの一面でしかないのだから。
     結論だけ聞いても腑に落ちないが、読めばきっと納得できる。斜に構えて読んだせいか、期待以上のだった。

  • どうでしょうファンとしても、
    物語について学ぶ身としても
    とても興味深く読めた。

    なるほどな~って思うこと多々あり。

  • 臨床心理士の立場でどうでしょうを紐解く、なかなか面白いコンセプトの本です。わかりやすいですし、どうでしょうファンには特にオススメ。

  • 心理学の先生が書いた、水曜どうでしょうの分析本。藤村D、嬉野Dのインタビューもふんだんに交えた本。
    特に嬉野さんの話す内容に深みがあり、水曜どうでしょうの質に大きく営業を与えていることを再確認できる良本。番組のファンの方にはオススメ。個人的にはこの4人はまさに音楽的にバンドをつくっており、かつもはやロケに失敗がない(藤村D(という意見が大変印象に残っております。

  • 「水曜どうでしょう」を、心理学的視点から捉えた一冊。
    「物語」と「メタ的物語」の二重構造に視聴者はまんまとハマっている。人に説明しづらいあの独特の面白さは、どこから来ているのか?構造なんて知らなくても面白いけれど、それでも知りたい!というどうでしょうファンのための本。
    完全に視聴者側の人間より、制作者側からの視点で読んだ方が、得られるものは大きいかもしれない。

  •  どうでしょうの面白さを心理学者が考えてみた本。
     テレビ番組ってそんなにおもしろい!何度も見たい!とか、って思ったものってほとんどない。でも、どうでしょうはなぜか何となく何回も見てしまう。そして、なんでなのかな?という疑問が自分のなかにもあってたまたま見つけた本。こんなくだらない疑問を真剣に考える心理学者とはどんなもんだろうというところにも興味があった。
     内容は、へ~って感じでなかなか面白く読めた。趣旨とは全然関係ないが、藤村(番組ディレクター)が俺の考え方にそっくりな感じがして面白かった。自己分析しているような。数ある部活の中からラグビーを選んだ理由と、俺がなんでこんなに直接的で間接的な人間でないかはもしかしたら関係しているのかも。

     この本の内容は「どうしておもしろいのか」という部分に明確な答えは出せていない気もするが、「どうして何度も見てしまうのか」という部分の答えにはなっていると思う。
     番組の構造上、視聴者にも居場所を作り出すことで、視聴者にほっとする場所を作っているという事。だから帰りたく(=見たく)なる。そして、なぜ面白いのか、なぜ見てしまうのかが説明できない、わからないというところに、どうでしょうと視聴者の関係の継続性(=見続けてしまう)が担保されていると。特に後者の話は面白かった。ここでは、人間のコミュニケーションはわからないことを明確化する取り組みであって、わかってしまえばコミュニケーションは必要ないということ。だからこそ、視聴者はどうでしょうとのコミュニケーションを続ける(=何度も見てしまう)というようなことだった。
     そして、ラストのインタビューのパートはいまいちよくわからなかった。目的をびしっと据えて、そこに向かって、ぶれや遊びなく進んでいく。みたいなそういう生き方や物事の進め方に疑問を呈している感じはしたけど、彼らがいいと思っているやり方がいまいち見えなかった。ただ思ったのは、この前のボランティアフォーラムでの委員をやった時に興梠先生が言っていたことというかやりたい方向と重なる感じはする。僕はあいまいを良しとせず、厳格に目的を定義して効率的にやる、このやり方の方がいいと思っていたが、彼のスタイルは出たとこ勝負で、いろいろありつつ最後に形になればいい。しかも、こっちの求めているものって社会や周りが求めているものと同じとは限らないから、そんなにかっちり筋を通さなくてもいいし、来場者の個々の求めているものが何となく達成できればそれでいい。そんな場の提供だけでいい。くらいの雰囲気すら感じられた。やっている最中、僕からすると何とも”気の抜けた”感じのする企画の目的だった。こんなものに時間やカネをかける意味があるのかとも思った。そんな中、準備段階で企画の目的を絞ることに挑戦したもののあえなく失敗し、当日を迎え、終了後に来場者の声を聴き、反省するとこの、僕が”何とも気の抜けた”と思っていたものやスタイルが、これ以外ありえないんじゃないかという答えになったりしていて。一周して戻ってきたという感じ。この一見すると”何とも気の抜けた”企画というのは、番組の企画だけで見ると、どうでしょうにもつながるような気がする。 
     いろいろ考えたり感じたりできたが、じゃあ結局どうでしょうのおもしろさってなんなのよ?ヒットする物事の進め方ってなんなのよ?ってところは、さらっと読んだだけではわからなかった。

  • 『水曜どうでしょう』を臨床心理士が紐解く一冊。


    主旋律となる物語とメタ的な物語りの二重構造になっていること。

    この考え方は面白いと思いました♪

    特別扱いされない視聴者が親近感を自然と沸かしてしまうことというのも頷けます☆


    ということで、この内容を踏まえこれから『水曜どうでしょう』本編を観ようと思います(笑)

  • メタ物語という考えや偶然を呼び込む話とか共感できる。

著者プロフィール

1969年東京都生まれ。九州大学大学院人間環境学研究院准教授。博士(教育学)、臨床心理士。
京都大学大学院教育学研究科修了。京都文教大学臨床心理学部専任講師を経て現職。
専門は心理療法における描画法、臨床心理学研究法など。2009年日本心理臨床学会奨励賞受賞。
近著に『風景構成法のしくみ ―心理臨床の実践知をことばにする』(創元社)、『学生相談と発達障害』(学苑社)などがある。

「2012年 『結局、どうして面白いのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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