結局、どうして面白いのか ──「水曜どうでしょう」のしくみ

著者 :
  • フィルムアート社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784845912988

作品紹介・あらすじ

北海道ローカル番組から全国区へと瞬く間に拡大した、超人気番組「水曜どうでしょう」。「言葉で説明できないけど面白い」「なぜかついつい見てしまう」そんな不思議な魅力とその構造のひみつを、臨床心理学から解き明かす。

感想・レビュー・書評

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  • 「私たちはたとえ実際にその場にいなくとも、ともに旅することができる」。読み終わった後、文末にあるこの言葉がじわじわと染みてきて、感動すらおぼえる、そんな一冊です。

  • 北海道HTB放送で放映された伝説の番組「水曜どうでしょう」は知っているだろうか?大泉洋と番組ディレクターが織りなす、「サイコロ旅」「釣りバカ対決」「ベトナム旅」等ぐだぐだな下らない企画に挑戦するという北海道限定の名物長寿番組だったもの。それが余りの面白さに密かに全国区となったものだ。

    大学在学中から本番組に出演することで名を売った大泉洋の言わば出世作であり、放映が終了して既に10年余が経つ今でも度々深夜の番組枠で再放映されている人気番組だ。そして関連本やDVDが出るたびにヒットを飛ばすというお化け番組でもある。

    そんな「水曜どうでしょう」の魔力というのか魅力に取り憑かれて人生を狂わした人間がここにも一人居る、というのが本書だ。著者は何と心理学カウンセラーで普段は病院にやってくる患者さんの悩みを聞いてあげるという仕事をしているのだが、北海道在住時にこの番組を知り、京都で大学院に言っている間にまたこの番組に触れることで病膏肓となったようだ。

    そしてカウンセラーの仕事の合間に「水曜どうでしょう」の面白さの謎に迫ろうと、心理学的側面から番組の魅力を説明しようという無謀な試みを本書で行うという暴挙にでたわけである。面白さは番組を見れば一発であり、その面白さの背景や要素の説明が必要かどうかは論を待たないが、こうした書が出る事自体が番組の面白さを表しているのだろう。

  • 観れば単純に面白い。何回も観てしまう。
    それをどういう風に書いてあるのかなー?と思って読んでみました。
    …、私には必要なかったです。
    以前からディレクター陣は編集の力を語っていらっしゃるし、どうでしょうの出演陣の出る他の同じようなバラエティー番組を観れば、どうでしょうは自然なようでいて撮ったものをただそのまま出しているわけではないことは明白。
    というわけで、私はただ番組を観て笑います。

  • 臨床心理士、いわゆるカウンセラーの佐々木玲仁氏が、カルトTV番組(^^;)である
    「水曜どうでしょう」のおもしろさを、心理学的に分析したレポートといった風情。
    いわく、「どうでしょうの魅力は口ではなかなか説明できない」とのこと。
    この説明を完遂するため、藤村・嬉野両氏にロングインタビューを敢行、心理学方面
    からアプローチを掛けた、という意欲作。

    ・・・僕も間違い無くどうでしょうマニア、いわゆるどうバカではあるのだけど、
    あの番組が何故おおしろいのか?については、自分なりの解答を持っている。
    これは僕の経歴から来るモノで、いわゆるテレビ番組のセオリーをちゃんと知ってい
    るが故。つまり、テレビのセオリーを悉く破りながらも成立し、しかも高視聴率を叩
    き出す、という、ある意味での奇跡が画面からビシバシ感じられるから、ということ。

    しかし、世のどうバカ連中の全てがテレビを囓っているワケでは無い。
    そういう人たちを惹き付ける魅力って、確かに不思議ではあった。
    なぜなんだろうな?と。

    ばかばかしさの極地に居る筈のどうでしょうを、徹底的に真面目に、そして徹底的に
    解りやすく分析してるのがこの作品の凄いところ。こういう風に論理体系立てで説明
    されると、読んでいるうちになんとなく「そうそうそう!」とか思ってしまう(^^;)。
    単純なのかなぁ、やっぱり(^^;)。

    この本を読んだ後にどうでしょうのDVDを観ると、確かに一歩深いところまで踏み込
    んで鑑賞してる自分に気が付く。もう何度も繰り返し観ているどうでしょう、また違
    った楽しみ方をしてますな、ええ。

    ・・・しかし、やっぱりコレはマニア向け書籍だと思うな(^^;)。
    にもかかわらず、こういう本が出ちゃってそしてそれがバカ売れしちゃうバラエティ
    番組って、やっぱり凄いとしか言いようが無い。・・・アナーキーだなぁ、どうでしょう♪

  • HTB北海道放送の番組「水曜どうでしょう」ファンでもある臨床心理学の研究者の著者が、「水曜どうでしょう」がどうして面白いのかを専門分野の視点から解説している。同番組のディレクター陣の藤村さんと嬉野さんとの対話も含まれていて、撮影のこだわりや裏話がたくさんあり、水曜どうでしょうファンならば楽しめる一冊。

  • 「どうでしょう藩士」限定。

    所蔵情報
    https://keiai-media.opac.jp/opac/Holding_list/search?rgtn=085154

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  • どうでしょうを学問的に分析ですよ。視聴者は一緒にどうでしょうの旅に出ているという指摘は、確かにそうかもしれないと思ったり。

  • 気になっていたので読んでみた。
    「メタ物語」と「物語」は目からウロコだった。番組自体が入れ子になっているという意識は一切ないまま見ていた。
    「わかりにくいから面白い」というのは,言われてみればなんとなく納得のいく話で,この人と一緒にいたいなと思うときとか,これをもっと続けてみたいなと思うときって,大体そうすることで知らなかった景色を見ることができたり,知らなかったことを知る機会が増えたりするからだと思う。でもやっぱり展開を知っている同じ回を何回見ても面白いと思うのは不思議だなぁ,というのは消えなかった。でもそういうのが消えないおかげでまた毎回楽しめると思うので,そういう番組に出会えてよかったなぁ,と。新作もまたあるかな? DVD化されてないけどこの本で紹介されてた小谷城エピソードも気になっているので,色々と楽しみにします。

  • やっぱりちょっと難しかった。
    でもよく目にするけど意味がわからなかったメタという概念がやっとわかったのでよかった。
    私が人にどうでしょうがおもしろいということを伝えたときは、「ワカサギ釣りとか普通テレビで見せられても絶対おもしろくないやん?それがめっちゃおもしろかってん!」って言ったな。

  • 身内トークって、他人には面白くないけども、共有する時間は長い友人同士では面白い、笑える話ってあると思う。

    水曜どうでしょうも、見始めた1回目2回目より見れば見るほど面白く笑えるようになるのは、それと同じ現象のような気がする。

    自分の周りにいる友人の面白さって、なかなか人に伝えられない。
    それに、身内トークって何回話しても笑えますもんね。

    赤の他人、しかもテレビを通して、それが成り立つって、やっぱりすごい事だなと。

    二重構造というのは、なんとなーく、いや結構?分かる。
    大前提として、4人が何かしら面白い事をやる。
    その舞台がヨーロッパなりユーコン川なりであって、ある意味水曜どうでしょう
    好きからしたら、舞台ってどうでも良いものでもあると思う。

    そして、どんな番組であっても、引いた位置から俯瞰すると、たくさんの人が関わっている。登場人物を絞る事で、キリトリ方を変える事でバラエティとドキュメンタリーとを切り替えているよう感じる。

    その切替が意図的でなく、計画的でなく、大泉さんや鈴井さん、藤村さんが行う事
    で番組の面白さが出てくるんだろうなと。

    一つの番組で二つも味わえちゃうような、そんな感覚。

  • 【選書者コメント】「水曜どうでしょう」には物語構造がある、そして「水曜どうでしょう」は臨床心理学に似ているらしい。本当かよって思うかもしれませんが本当です。
    [請求記号]6900:443

  • 「何故どうでしょうは面白いのか」をテーマにした本。
    筆者は、臨床心理学とカウンセリングが専門分野のようですね。

    中身としては、ディレクター2人へのインタビューと放送を一次資料として用いていて、一般書ですので、そんなに難しい内容ではないと思います。
    仮説も、分かりやすい内容ですね。ありきたりという意見もあるかもしれませんが。
    仮説はあくまで仮説、他の説があってもおかしくないわけで。同じようにこの仮説のフォロワーが出てきて、新しい切り口で分析する方が出てくる、というのもまた、面白い発展の仕方でしょう。

    いつか、本当に論文の題材として取り上げられる日がくるかもしれませんね。

  • 同番組を臨床心理学の観点から、D二人のインタビューを交えて解析。言葉の選び方はともかく、ワシも構造としては同様のことを考えていたので、補完された感。Dのインタビューが如実に構造を説明している。

  •  興味深い分析だった。水曜どうでしょうの面白さを臨床心理士の著者が紐解く。
     背景から丁寧に要点を重ねて、結論までが論理的で分かりやすかった。結論で「分かりやすさ」より「分かりにくさ」を奨めるところが逆説的だが、要するに面白さが分かりにくいためにどうでしょうは面白いのであり、さらに分かりにくいことさえもうまく分かりにくくしていて、一見簡単に見える、と。
     うーん、分かりにくい。でも分かりにくいからこそ興味を引き続けることができる、ってことでもある、と。
     そして分かりやすく解説しちゃったけど、どうでしょうの面白さは変わらない。こんなことはどうでしょうの一面でしかないのだから。
     結論だけ聞いても腑に落ちないが、読めばきっと納得できる。斜に構えて読んだせいか、期待以上のだった。

  • D陣側からの視点で書かれているので演者側の視点があれば、もっと立体的になったのに残念...合わせて「大泉エッセイ」「ダメ人間」も併読すると良いかも。

  • ★3.5くらい。

    言葉では言い表せない面白さが、
    どうでしょうには、ある。

    余談。
    「おいおいおい」とか
    「よーしよしよし」とか
    普段つい使ってしまった時に、
    「もしかしてそれって、水曜どうでしょうですか?」
    とか言われると、
    その人との間にとてつもない親近感が芽生えたりする。

    デスクにどうでしょうステッカーを挟んでいる人も、
    また然り。

  • 水曜どうでしょう!の人気の秘密を解説した本。

  • どうでしょうファンとしても、
    物語について学ぶ身としても
    とても興味深く読めた。

    なるほどな~って思うこと多々あり。

  • 臨床心理学的見地から「視点」という切り口から番組の構成を分析し、番組の「面白さ」の理由を探ったもの。この切り口自体は説得力を持つし、番組に関する制作者側とのインタビューなどから得られる関連情報も興味深いが、若干一本調子になってしまった。中に掲載されている放送された番組本編の時系列リストは資料として価値がある。

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著者プロフィール

1969年東京都生まれ。九州大学大学院人間環境学研究院准教授。博士(教育学)、臨床心理士。
京都大学大学院教育学研究科修了。京都文教大学臨床心理学部専任講師を経て現職。
専門は心理療法における描画法、臨床心理学研究法など。2009年日本心理臨床学会奨励賞受賞。
近著に『風景構成法のしくみ ―心理臨床の実践知をことばにする』(創元社)、『学生相談と発達障害』(学苑社)などがある。

「2012年 『結局、どうして面白いのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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