クリティカル・ワード ポピュラー音楽 〈聴く〉を広げる・更新する
- フィルムアート社 (2023年3月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784845921317
作品紹介・あらすじ
28のキーワードで学ぶ
ポピュラー音楽研究の基礎から最前線まで
ジェンダー、人種、階級、ジャンル、法、アニメ、シティ、アマチュアリズム……
幅広いキーワードと現代的な事例から、音楽文化を考え常識を問い直す!
近年、学術的な研究領域としての地位を確立しつつある「ポピュラー音楽」研究に関する基礎的な知識を解説しつつ、最新の動向を初学者にも分かりやすく紹介した本邦初の入門書。
本書は3部構成になっており、「第1部 基礎編」では、ポピュラー音楽研究の基底を支える概念として8つを取り上げ、それぞれのキーワードからポピュラー音楽を概観する。
「第2部 事例編」では、ポピュラー音楽研究のなかでも比較的蓄積の多いトピックを照射する。各項目はそれぞれの学術的議論を概観した上で、ポピュラー音楽研究全体、そして、他分野と横断・接続し、新しい学術領域を開拓する、発展的な学術的問いも示唆する。
「第3部 拡張編」では、近年の音楽文化を領域横断的に語る上で欠かせないキーワードを掲げて、ポピュラー音楽それ自体とそのコンテクストを扱ってきた従来の研究から一歩外に踏み出し、新鮮な空気を吸うための論考を集めた。
これまで日本語で読むことのできなかった重要トピックや論点も多数収録し、研究者や学生だけでなく、音楽を「分析したい人」、「語りたい人」にとっての手引きとしても有用な一冊となっている。
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◆シリーズ[クリティカル・ワード]
現代社会や文化および芸術に関わるさまざまな領域を、[重要用語]から読み解き学ぶことを目指したコンパクトな入門シリーズ。
基本的かつ重要な事項や人物、思想と理論を網羅的に取り上げ、歴史的な文脈と現在的な論点を整理します。もっと深く理解し、もっと面白く学ぶために必要な基礎知識を養い、自分の力で論じ言葉にしていくためのヒントを提供します。
感想・レビュー・書評
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キーワード集という体裁をとっているところが軽やかで良い。各論の内容は専門家には物足りないかもしれないが、あまり充実させすぎると百科事典みたいな本になってしまう。ソフトカバーで厚さ一・五センチ程度というこの親しみやすさが良い。
というのも、“はじめに”の中に「体系化したテキストをつくるには障壁になってしまうポピュラー音楽研究ならではの学際性・多様性をむしろポジティブに引き受け」とあるように、この幅広さがこの分野の楽しくも難しくもあるところなのだと思う。どんなテーマで研究する人も、この本に挙げられているどのキーワードに対しても「全く無関係」という態度ではいられないだろう。勉強することが多くて大変だ、とも言えるが、思いがけない人(の研究テーマ)と思いがけないところでつながっていることを発見しながら、クリティカル・ワードの網の目の中で自分(の研究テーマ)を位置付けていく作業は、ちょっと楽しそうだなとも思う。…同じ「楽」でも楽そうだとは決して思わないが。
ひとつだけ、ポピュラー音楽研究について「日本語で読める包括的なテキストが二〇一〇年代以降はなかなか見当たらない」とあるが、二〇〇〇年代までのおすすめ包括的テキストはこれ、というのがあるのなら書誌情報が欲しかった。二十年の間にどれくらい変わったのか気になる。 -
私のようなものにいただきました。ありがとうございますありがとうございます。やっとこういう感じになってきましたが、っていう印象。がんばってほしい。ただしワード解説だからしょうがないけど、ページが少なすぎて食いたりない感じがある。個人的にはせいぜい「ジャンル」と「楽曲」、それに「クラス」「ジェンダー/セクシュアリティ」「レイス」「パフォーマンス」あたりにしぼったやつが読みたい。将来的にがんばってほしい。