検屍官の領分 (論創海外ミステリ 7)

  • 論創社
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (371ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784846005214

感想・レビュー・書評

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  •  アリンガムは前に読んで感心しなかったのにまた読んでしまった。探偵役のところに見知らぬ屍体が運び込まれてくるところから事件に巻き込まれという発端はまだしも、その後の展開にはほとんどついていけない。警察から目をつけられているものの中心人物のジョニーが単に利用されているだけらしいことはわかるが、戦時疎開美術品やいわくつきのワインをめぐるなんやかやがわかりにくく、結局なんだったんだ感しか残らない。

  • キャンピオンが第二次大戦の特殊任務を終えて3年ぶりに帰国、ひとっ風呂浴びて出てきたらベッドに遺体が運び込まれていて…。
    休暇中に厄介事に巻き込まれ、嫌々ながらも付き合う主人公の人柄がいい。派手な活躍はないけど、巻き込まれ視点で見る群像劇が面白かった。

    実際に戦時中に書かれた作品。シリーズを何冊か読み進めてきて、この話では戦争で町の風景や人々の暮らしや価値観が変わっている事にとてもドキっとした。

  • 冒頭から死体を登場させて読者の興味を惹きつけるのと同時に、不可解な状況をいくつも連続で起こすことで話に入り込ませる技法がすばらしい。
    そこから巻き起こる上流階級を舞台にしたドタバタ劇もそれなりに面白い。
    そりゃクリスピンみたいな人とは比べられないけど。

    中盤以降、殺人事件よりも裏に隠れたワインの裏取引と美術品盗難事件にポイントが変わってからは一転謎解きもの。
    ある人物に疑惑がかかるように仕向けられた罠を、キャンピオンと警察が一つずつ解きほぐす過程は面白い。

    殺人事件とともに、戦争の裏で起こる人間の卑しさをも描いた作品としてはなかなか。
    ただ、ミステリとして書かれてミステリとして読むと少々物足りないのは事実。
    キャンピオンだって探偵役を担ってるわけじゃないし、明確な謎解きシーンがあるわけでもないし。
    うーむ。

  • 1945年に出版された本のはじめての邦訳。<br>
    マージェリー・アリンガムはアガサ・クリスティー等と並んで英国黄金時代の四代女性探偵作家とされる。<br>
    舞台は第二次世界大戦下のロンドンで侯爵家のベッドで死体が見つかる。<br>
    貴族や軍人、主教などの登場人物も、いかにもイギリスミステリー。

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著者プロフィール

本名マージェリー・ルイーズ・ヤングマン・カーター。1904年、英国ロンドン生まれ。別名マックスウェル・マーチ。文筆家の家系に育ち、16歳で長編小説を書き上げる早熟の天才ぶりを見せ、1923年に冒険小説"Blackerchief Dick"を発表、27年には犯人当ての長編ミステリ「ホワイトコテージの殺人」を新聞連載している。"The Crime at Black Dudley"(29)に端役で登場したアルバート・キャンピオンは"Look to the Lady" (30)以降の作品でシリーズ探偵となる。映画化された「霧の中の虎」(52)や英国推理作家協会賞ゴールド・ダガー賞の次点長編「殺人者の街角」(58)など、数多くの長短編が書かれた。66年、シリーズ19作目の長編"Cargo of Eagles"を執筆中に死去。同作は夫フィリップ・ヤングマン・カーターによって補筆・完成された。

「2023年 『ファラデー家の殺人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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