- Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
- / ISBN・EAN: 9784846015770
感想・レビュー・書評
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終戦直後、50年代から70年代の漫画界、貸本という業界の思い出を綴るコラム集。貸本屋や当時の世相、渋谷、新宿など東京都内の昔の様子が詳細に綴られ興味深い。三軒茶屋を市電が走っていたとは!気取った街の中目黒が昔は下町だったとは!白土三平、つげ義春など今では大御所となったマンガ家の青春時代を想像するのも楽しい。
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水木しげる、白土三平、つげ義春らを排出した貸本マンガの趨勢を戦後の風景と共に論じている。混沌、孤独、貧困の中、数少ない娯楽として貴重な存在であったようだ。著者は、かなり癖のある書き手ではあるが、貸本マンガへの深い造詣と愛情は、伝わってくる。愛するが故の批判というやつか。
さすがに貸本マンガは見たことはないが、中学の頃、校区内に貸本屋は存在していた。なんだか、長生きしている気分になった。 -
高野慎三=権藤晋=メメクラゲの人だッ!
キーワードは「太平洋文庫」とのこと。 -
・マンガ家や関係者の名前が特に説明もなく出てくるなど、予備知識がないとややとっつきにくかった。あとがきで、初出は「まんだらけ」の刊行物に連載していた文章だと知って納得。
・1940年生まれの著者が実際に眺めた、貸本屋を含む町のたたずまいの様子が印象的。出てくる地域に土地勘があればもっと楽しめるだろう。個々の作品だけではなく、風景や、店構えや、くたびれたり真新しかったりする物体としての本そのものを含む貸本マンガの話。
・貸本ならではの話題。貸出票、表紙(同じ中身に違うタイトルの表紙)、奥付(が無い)等。新刊としての鮮度が重要視されない貸本ゆえ、発行日の記載が省略される場合があったこと。