葬儀屋の次の仕事 (論創海外ミステリ 206)

  • 論創社
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (401ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784846017002

感想・レビュー・書評

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  • 素人探偵キャンピオンシリーズ。40代になっていた。

    あらすじ
     第二次世界大戦後のロンドン。かつては繁栄していたパリノード一家は兄姉がたて続けに亡くなっていた。毒殺の疑いもあり、キャンピオンは馴染みの警視に頼まれ、今は下宿屋となっている屋敷に潜入する。パリノード一家は変わり者。天才でもあるが、実生活では発揮できていない。家主の元舞台女優、その他の下宿人。屋敷があるエプロン街の銀行、葬儀屋と一癖も二癖もある住人ばかりである。

     作者はアガサ・クリスティー、ドロシー・セイヤーズと並ぶ、ミステリ小説黄金期の女性作家。ミステリそのものを楽しむというよりは、登場人物の描写・当時のロンドンの様子、生活を楽しむ作品。厩舎が事件のポイントになっているのも面白い。ドラマとか、映像化ないのかなあ。特に今作は、お屋敷が舞台になっているから面白そう。

  • 翻訳出版を12年待った待望の一冊。アガサ・クリスティーが「幻想性と現実感の混在する味わい」と述べているように、第五章あたりから本格的に顔を見せ始めるパリノード家の面々はまさに「お伽話」のようなキャラクターたちである一方、解説でも「本作品の白眉」とある追いかけシーンは、小説でもこういう世界を堪能できるのか、と思わせるほどの迫力のあるシーン。
    真相はパリノード家の「お伽話」キャラに隠れるような感じで存在していましたが、マーティン・ファイドー「シャーロック・ホームズの世界」(求龍堂)にもあるように、コナン・ドイルが創造したあるトリックを「素晴らしくも奇天烈に発展させて用い」ています。(実は、最近たまたまこれを読んだら、そのように書かれていました(汗)。ファイドーは作品名等も記載していましたが、それは割愛。)本作のタイトルに納得、とだけ記しておきます。

    ただ、キャンピオン・シリーズのこれまでの作品を読まずに、いきなり本作を読むことは、ややハードルが高いと思われるので、少なくとも創元推理文庫の短編集「キャンピオン氏の事件簿1〜3」を読んでからでもいいような気もします。
    個人的には、この後の長編『霧の中の虎』(ハヤカワ・ミステリ)や『殺人者の街角』(論創社)などで実質的な主役を張ると言われている、長編初登場のチャーリー・ルーク(ここでは署長)の人となりが分かっただけでも収穫でした。先に挙げた短編集にも顔を見せますが、アリンガムはできるだけ出版順に読んだ方がより楽しめる気がしたので、この後の長編は未読でした。これから読むのが楽しみです。

  • 初マージェリー・アリンガム。ルース・レンデルに続きまたしても途中で挫折。ロンドンの架空のエプロン街は見取り図も出ていて興味深く読みはじめたのだが。。 キャンピオン探偵にさほど魅力を感じなかったせい? パリノード一家、エプロン街の住人、どれもおもしろい人物が登場しているのに。

    パリノード家の長男、ルースが死んだ。どちらも殺人の疑いありとして掘り返される。落ちぶれたパリノード家の5人の兄弟姉妹が持っていたさる鉱山株が値上がりして価値があったことが発端らしいのだが。結局、掘り返した結果がどうだったのか、よくわからなかった。半分以降は飛ばし読み。

    1949発表
    2018.3.30初版第1刷 図書館

  • ミステリとして読んではいけないかもしれない。謎解き部分はほとんど探偵役のキャンピオンの頭の中だから。20世紀初頭のロンドンの雰囲気を楽しむ冒険活劇としてなら、あり。しかしキャンピオンのシリーズはちゃんと時系列に沿って読まないと以前の作品に出てきたと思しき人物がちゃっかり顔を出したりするから困るな…。

  • キャンピオン氏ものなので習性で読んでみたが、謎解きは後出しがいくつかあり、犯人もふーん…というスカッとはしない印象。変人揃いの登場人物やロンドンの架空の路地の雰囲気は楽しめたが、読みやすくはない。この作品まで読むのはもはや歴史的価値を求める相当なマニアしかいないのでは。

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著者プロフィール

本名マージェリー・ルイーズ・ヤングマン・カーター。1904年、英国ロンドン生まれ。別名マックスウェル・マーチ。文筆家の家系に育ち、16歳で長編小説を書き上げる早熟の天才ぶりを見せ、1923年に冒険小説"Blackerchief Dick"を発表、27年には犯人当ての長編ミステリ「ホワイトコテージの殺人」を新聞連載している。"The Crime at Black Dudley"(29)に端役で登場したアルバート・キャンピオンは"Look to the Lady" (30)以降の作品でシリーズ探偵となる。映画化された「霧の中の虎」(52)や英国推理作家協会賞ゴールド・ダガー賞の次点長編「殺人者の街角」(58)など、数多くの長短編が書かれた。66年、シリーズ19作目の長編"Cargo of Eagles"を執筆中に死去。同作は夫フィリップ・ヤングマン・カーターによって補筆・完成された。

「2023年 『ファラデー家の殺人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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