- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784846117108
作品紹介・あらすじ
「経営者は無責任で、職員も働かないから赤字になった」といわれた国鉄は、分割民営化され、1987年4月、JRが発足した。あれから30年、JRは赤字を解消して安全で地域格差のない「利用者本位の鉄道」「利用者のニーズを反映する鉄道」に生まれ変わったのか?
本書は、鉄道交通問題研究の第一人者が、分割民営化後のJRの30年を総括、様々な角度から問題点を洗いだし、JRの未来に警鐘。
第一章 国鉄からJRへ
第二章 サービスはよくなったか
第三章 安全性は向上したか
第四章 地方交通線はどうなったか
第五章 JR北海道をどうするか
第六章 JR貨物はどうなったか
第七章 リニア新幹線は「第二の国鉄」
第八章 持続可能な鉄道をめざして
感想・レビュー・書評
-
2024/03/07 JRに未来はあるか 上岡直見
1.鉄道の競争力低下・シェア低下
2.再度の改革の必要性 乗客の減少 地域経済の衰退詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
九州産業大学図書館 蔵書検索(OPAC)へ↓
https://leaf.kyusan-u.ac.jp/opac/volume/1376053 -
耳の痛いお話。論点は二点。
・首都圏鉄道網の過剰な乗車率の問題
・地方交通線のサービスレベルの極端な低下
俺個人の見解だと、首都圏については的外れ。地方交通線についてはおっしゃる通り。
まず、首都圏鉄道網について、通勤ラッシュは非人道的だと思う。東京に戻るたびにそう思う。
本書では鉄道会社がなんの対策も行っていないように書かれているが、実際そうだろうか。
某社でいえば上野東京ラインの開通で常磐線から東海道線への輸送状況が改善されたし、小田急の複々線化、東京メトロの最短1分50秒感覚の運転、他にも他社線乗り入れなど十年、二十年前に比べれば首都圏鉄道網は大幅に改善されているのではないか。
しかし、未だに非人道的な通勤ラッシュが改善されないのは、東京への人口流入が止まらないからだ。
この二十年で東京都の人口は150万人増、その増加分は二十三区に集中する。
つまり、首都圏の問題は鉄道会社の設備投資を上回る人口流入という社会的問題であり、社会全体の問題である。
地方に比べて発達した都市インフラの享受を受けているから仕方ないだろうと俺は思うのだ。
嫌なら地方で暮らせよ。嫌だ?じゃあ車通勤にすれば?金がかかる?文句ばっかりだな。
次に地方交通線について。著者が言う通り「少なくとも地方交通線においては国鉄改革は失敗である」と。
こないだ中国地方でローカル線の旅してきたけど、なんだアレ。次列車7時間後って公共交通機関として全く役立たずだろ(芸備線新見三次間だけど)。
数時間に一本の列車、一両編成に乗客が集中して満員状態な路線もあった(播但線だけど)。
国鉄時代には上野発、新宿発の夜行列車や急行列車が辺鄙なローカル線まで乗り入れていた。
大糸線でいえば快速アルプスとか、上野発湯田中行きの長野電鉄に乗り入れなんてのもあったらしい。
ところが現在、急行列車なんてローカル線には存在しない。運行本数の削減、赤字路線の配線、一両編成のワンマン運転、無人駅化など数々の合理化策。
そりゃ皆さん、鉄道使わず車に乗りますわ。
首都圏鉄道網は、設備投資を続けようが首都圏への人口流入が止まらない限り通勤ラッシュは無くならないが、需要があるため未来はある。
反対に地方交通線には先細りの先に消滅という未来しかない。
さて、この先どうなるんでしょうかね。