世界のニュースを日本人は何も知らない (ワニブックスPLUS新書)

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  • / ISBN・EAN: 9784847066337

感想・レビュー・書評

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  • GHQの指導の下、島国の日本は国の言うことのみに耳を傾けて国を富ますことに国民一丸で突き進んできた。
    それが平和ボケといわれる日本の現状だが、昨今の国際状況からそんなことを言ってられない。この薄い本の中でさえ驚くべき他国の姿があった、私たちも冷静にフェイクに踊らされずに情報を見極めていきたい。

  • 【感想】
    う~ん、このタイトルでこの内容は不当表示だな、と思ってしまった。
    「世界のニュースを日本人は何も知らない」というぐらいだから、てっきり池上彰さんの「知らないと恥をかく世界の大問題」シリーズのように、世界情勢や重大事件を各国の歴史を交えながら分かりやすく解説する、という類の本なのかと思っていた。
    しかし、中を開けてみれば世界の労働環境やら各国の国民性やらと、時事問題とは全く関係のないトピックが続く。生産性の高い国の国民はよく寝ていると言ったり、その一方で生産性の追求は創造性を殺すと言ったり、はたまた「老いを恐れるな」といった自論を述べていたりするが、どこらへんが「世界のニュース」なのだろうか。「では日本以外で放送されているニュースはどんなものなんですか?」という当然の疑問にも全然答えておらず、さすがに内容がダメすぎる。
    どちらかといえば「外国についての雑学本」として読んだほうがいいかもしれない。その雑学も筆者の個人的なエピソードから根拠を拾ってきている怪しい例があるため、3割ぐらいは適当なエピソードだと割り切って読むのがいいだろう。

    ただ、普段のニュースを見ていると、国際報道が少ないという感覚はやはりある。それが日本だけなのかそれともどこの国でも同じように「世間知らず」なのかは、いかんせん外国のテレビ事情を知らないため何とも言えない。個人的な観測範囲になってしまい恐縮だが、外国でもボリス・ジョンソンのクリスマスパーティー問題を延々と追求していたり、ジョコビッチが入国拒否されたことを再三取り上げていたりと、温度感はそこまで変わらないと思う。基本的には、どこの国のメディアも営利目的で運営しているのであり、より国民が興味を持ちそうなニュースをピックアップして流している。ならば放送される内容を決めるのは国民の関心次第であり、それがメディアの質を左右することは間違いない。

    ここからは余談だが、いざ世間知らずを克服するために外国のニュースを追おうとしても、言語の壁があって大変だと思う。しかし、アメリカとイギリスのニュースメディアを代表するCNNとBBCに関しては、日本語専門サイトを持っている。ここを巡回するだけでも世界のニュースをざっと知ることができるため、是非オススメしたい。
    https://www.cnn.co.jp/
    https://www.bbc.com/japanese

    またヤフーニュースでは、月曜~金曜の朝7時から16時まで、1日5回にわたってBBCニュースを配信している。番組には全て日本語同時通訳or日本語字幕がついているため、言語の問題もばっちりだ。朝や夜の時間帯の国内ニュースに飽きたなという人に関しては、こちらをチェックしてみるのもアリだ。
    https://news.yahoo.co.jp/live
    ―――――――――――――――――――――――――――――
    【まとめ】
    1 日本人が情報において世界から取り残されつつある理由
    ①日本のメディアが非常に閉鎖的で、海外のニュースが入ってこないこと
    ②そもそも日本人が海外のニュースに興味を持っていないこと

    テレビや新聞で報道されるニュースが他の先進国とはずいぶん違う。国際的なトピックが少なく、NHKやクオリティーペーパーと呼ばれる大手一流新聞でさえ、食やスポーツ、芸能人のゴシップといった偏った世俗情報が中心に報道されている。裏を返せば、日本の視聴者や読者が国内のゴシップ情報を求めており、国際情勢や経済にはほとんど興味がないとも言える。
    これは国内市場が大きく、在留外国人数が少ない閉鎖された島国であり、自己成長への意識が低いという事情から来ている。


    2 日本人の知らない世界の政治
    ・アフリカのメディアを買収する中国
    南アフリカで二番目の規模を誇る新聞「Independent Media」は、その株式の20%を中国国際電視総公司と中国アフリカ開発基金が保有しており、中国政府の発言権が大変強くなっている。
    ・所得格差が激しくなる一方のアメリカ
    1997年以降経済拡大を続けているカリフォルニアでは、全体の賃金は下がっているのにトップ10%の賃金は上昇している。上昇のほとんどはIT系企業であり、上場によって不動産の価格が上昇し、市民の生活を圧迫している。
    アメリカの金融関連情報サイトによると、米国の18歳以上になる成人の半数以上が、1000ドル以下の貯金しかなく、引退するのに十分な資産を持っていないという。また、80%以上のアメリカ人がポリコレに疲れ果てており、その割合は貧困層に行くほど高く、修士号以上の人になると低くなるという調査結果もある。厳しい経済状況下での生活改善に直結しない「政治的な正しさ」にうんざりしているのだ。
    ・ロンドンでは白人のイギリス人は少数
    ロンドンはニューヨークやトロント以上に人種のるつぼ。人口の40%近くが英国生まれの外国人であり、2066年までに「イギリス生まれの白人」は少数派になると予測されている。
    欧州は世界でも最も移民に対する意見が二極化している地域である。規模の小さな北欧諸国では「移民は多様性を高め経済を強くする」と答える人が過半数を占めるが、南下するほど変化し、ドイツとハンガリーでは移民有害論を唱える人が激増している。


    3 日本人の知らない世界の社会状況
    ・多文化主義を否定するようになった欧州
    難民が押し寄せるようになったため、今まではリベラルで穏健派と見られていた国でさえ、移民に懐疑的な目を向けるようになった。
    その筆頭がドイツだ。30%のドイツ人は「国内に外国人が多すぎる」と感じており、さらに「外国人はドイツの福祉目当てで移民してくる」と考えている。また、48%のドイツ在住のイスラム教徒は、「ドイツ社会に溶け込まずに、ドイツ人とは別々の生活をしたい」と答えている。欧州の中では比較的リベラルなドイツでさえこの考え方なので、東欧の小国ではなおさら拒否反応が強い。
    近年、北米やオセアニア、欧州の北部ではアファーマティブ・アクションが活発化している。多様性の推進は重要であるが、行き過ぎたポリコレに不満を抱える人も少なくない。

    ただし、人種差別にも格差がある。欧州であっても、ユダヤ人や黒人に関しては笑いのネタにしないが、アジア人は対象外という意識がある。
    西洋人が「東洋人は頭が悪く西洋のものをうまく消費できない未開の人々」という潜在的意識を持っていることは、日本人もよく理解しておいたほうがよい。フランス人だけではなくイタリア人やほかの欧州人にとっても、まだまだ東アジアというのは自分たちより劣る存在であり、見下して当たり前であるという意識があるのは事実だ。


    4 日本人の知らない世界の労働環境
    アメリカのスタートアップ界隈では、従業員が組合を結成し会社に対して不満を申し立てるケースが増加している。製造業やサービス業と異なり、テック企業の従業員が組合をつくることは滅多になく、スタートアップ界隈からこうした動きが出てくるのは驚くべきことだ。
    そもそもIT業界は、働く人のスキルや専門性がかなり細かく分かれているので、製造業やサービス業のように、従業員が集団で結束し待遇や賃金を雇用主側と交渉する動機がなかった。非常に高い報酬を受け取り就労環境もそれほど悪くはなくても、経営陣と自分たちの間で仕事のミッションや報酬に関してあまりにも差が広がっていると認識する人が増えている。


    5 日本人の知らない世界の国民性
    OECDが、16-24歳の人を対象に「初歩的な読解力と計算力が身についていない人の割合」を調査したところ、イタリア、アメリカ、イギリスでは30%にも達した。55-65歳の層での調査では、スペインでは55%以上、イタリアでは50%以上、フランスでは50%近くだった。日本の場合はOECD諸国最低で、16-24歳の層では10%未満、55-65歳の層では20%未満だった。
    日本は大学進学率も高い。学費の安さがその一因である。また、入試の大半は平等に合否が決まるが、アメリカやイギリスの有名私立大学の場合は、親が卒業生だったり高額な寄付をしたりすると入学が優先されることがある。入試も平等なペーパーテストではなく、ボランティアや課外活動が評価される傾向があり、家庭の教育資金の厚さがものをいう。
    基礎教育の丁寧さと大学入試の平等さは、日本が誇れる点である。

    ・イギリス人は借金が好き。アンティークやヴィンテージの服を丁寧に手入れして繰り返し使うライフスタイルはいまや昔の話で、2018年6月のイギリスの一般家庭における平均借金額は、住宅ローンを含めて約819万円。統計を取り始めてから、はじめて家庭の支出が収入を上回った。
    ・オランダ人は逆にどケチ。そして杓子定規で神経質、ルール厳守の国である。


    6 世界のニュースを知る方法
    信頼できるニュースソース
    ・アメリカ編
    National Public Radio、TIME Magazine、The Los Angeles Times、The Christian Science Monitor、USA TODAY、CNN
    NBC News、CBS News、ABC News
    Forbes Magazine、Bloomberg Businessweek magazine 、FORTUNE magazine、Financial Times
    National Review、The Weekly Standard
    The New Republic、The Nation

    ・欧州編
    Sky News、Channel 4News、ITV News、BBC News、 London Evening Standard
    Daily Telegraph、The Spectator、Daily Mail
    The Times、The Guardian、The Independent、New Statesman、Daily Mirror
    Financial Times、Bloomberg、Gazette Live、Insider Magazine、The Week UK、City A.M.、The Economist、Reuters uk

  • この方の著書のタイトルは奇抜なものが多く、極端に不安を煽り自分の主張に目を向けさせようという意図を感じます。
    そんな第一印象もあり、騙されないように内容の信ぴょう性については大いに疑いながら注意して読みました。
    本書は「ファクトフルネス」を読んだ人なら気になるタイトルの本です。

    日本人は世界を知らない(自分たちに都合よく世界像を作り出している)のは事実だと思います。
    でも、どこの国でも自国以外の世界をあまり知らないのではないでしょうか。
    本書のタイトルの「日本人」の部分を「ドイツ人」や「フランス人」などに置き換えても成立すると思います。
    だから、「ファクトフルネス」が各国で読まれるのでしょう。

    データを用いて説明しているので説得力が増しますが、10年前のデータだったりする部分もあるので、気になる事柄は自分で最新のデータを調べ直した方がいいでしょう。
    ですが、谷本真由美さんという人の主張には7信3疑くらいで接しても良さそうだというのが読み終わっての感想です。
    なにより、「私は」世界のニュースをあまり知らないので、このような本は世界の現状を知るのに役に立ちます。
    近年の出来事では、アメリカのトランプ大統領の誕生やイギリスのEU離脱など、国民がそれを選択した社会の背景に何があったのか全くわかっていないと感じています。

    「数多くの情報の中から、正しい情報を見極める能力が大切。」とは、何10年も前に私の大学の恩師が良く口にした言葉です。
    本書の最後で、谷本真由美さんも「クリティカルシンキング」を身につけよ!と言っています。
    まさに私がこの本を読む前の心構えと同じことが語られていました。

    本をたくさん読めば、自分が必要としている情報がどんな本に載っているか感覚的に分かるようになる。とも言っています。
    私も過去に自分の要求に合わないハズレ本と数多く接した経験も含めて、この感覚が少し身についてきたような気がしています。

    今の世の中、怪しい情報があふれています。
    企業の宣伝には特に注意が必要です。よく効く薬やサプリメント、楽に身に付く英会話、○○ダイエット…。
    ~に有効性があると言われています。~の効果があります。
    定性的な効果を嘘と決めつけることはできないが、定量的にどの程度かを公表しないのは、ほとんど効果なしと思って聞いています。
    利害関係者の発言も話半分で聞いておいた方がいいですし、敵対する立場からの発言も真偽を自分で確かめた方がいいです。

    私は日本人が世界をどのように見ているのかは、なんとなく分かっているつもりですが、世界各国が日本をどう見ているのかは、ほとんど知りません。
    この本は、今世界が日本をどのように見ているのかを知るのにも少し役立ちました。

    本書の続編もあるようなので、世界の現状についての思い込みをアップデートするために読んでみようかと思います。

  • 私は確かに、ほとんど知りませんでした。
    でも、タイトルはどうかなあ?
    ★★★☆☆は↑が理由です。そんなに見下すの~

    欧州は貧富の差が目立つのですね。日本はどうなのでしょう。目立たないだけで、貧富の差はやっぱりあるのでは? しかもみんなどんどん貧しくなっているように思います。でも、安全と医療に恵まれている(これは安心に恵まれているということ)ことは感謝すべきと改めて思いました。

    ↑でも、これは湯水のように税金を使っているからかもしれないですよ。もう破綻してしまっているかもしれない。それを先送りしているだけかもしれない。

    AIについて、著者は少し誤解があるかもしれません。
    「アルゴリズムを組まなければいけない」← これが、昔のAIと今のAIの大きく違っているところです。昔のAIは、「猫」は4本脚があって、ひげがあって、。。。とロジック(アルゴリズム)を組みました。今のAIは猫と犬の写真と、そのこたえ(これが猫だよ、と)を与えるだけで、AIは学習してしまいます。学習後は、見たことのない猫の写真でも「猫」と答えます。ロジックは組みません。大量のデータと答えがあれば、何か判断していまいます。自分で判断し、成長するのです。AIはある意味怖い存在となってきている、と私は感じています(シンギュラリティ、ですね)。

    以下、引用しますが、コロナに関しては思うところがあります。
    メディアに多く出ている人は、(位置NO.2174)に該当していないでしょうか。
    (位置NO.2108)により、情報は遮断されていないでしょうか。
    隠される情報は、(本当のことなので)都合がわるかったのかもしれない、と疑ってみることも必要とおもいました。(本文中に、アフリカで中国資本のTV局が報道しなかったことが書かれています。これは本当のことが都合が悪かったからにほかなりません。森本問題もそうですよね。コロナだけは特別でしょうか? まったくもって闇だな~)

    +++

    位置NO.33
    少子高齢化で下り坂を転げ落ちつつある国だと酷評されていることも、失われた二十年感で十分予測できた課題への対策を怠った国として、他の先進国から大変厳しい視線を送られている

    位置NO.171
    この憂うべき状況は、はたしてメディアだけのせいなのかーーー。考えてみてください。メディアだって商売です。新聞や週刊誌の実売部数や各テレビ局の視聴率によってとらえた世間の反応をもとに求められる情報を予測して報道しています。つまりそれが、日本の視聴者や読者がゴシップ情報を求めているという裏付けともいえるのではないでしょうか

    位置NO.2108
    情報の提供元であるニュースサイトや検索エンジンが情報をフィルタリングしてしまうので、特定の政治勢力や企業にとって有利な情報しか表示されなくなってしまうことです。

    位置NO.1396
    一方で、従業員を厳しく管理したりプレッシャーを与えたりすることによって会社は成長できると経営者は管理者が勘違いしている組織がありますが

    位置NO.2174
    ただし注意すべき点は、その人が特定の政治団体や大手企業から金銭や物品などの謝礼を受けていないか、倫理的に問題がある内容を発信していないか、金融や医療などに関する規制違反をしていないか

  • 書店で、本来のカバーの上にど派手な黄色いカバーがかけられ、黒の文字囲みに黄いろで「メディアの報道に疑問を感じたら必ず読むべき一冊」と文字抜きされてて目についた。日頃からメディアの報道に疑問を感じていたから買ってしまいました。(装丁って大事ね(笑))。
    私も日頃から「ネタがしょーもなさすぎる」と思っていたが、例えば世界のメディアがシリアや中東情勢と、それに関わる国際経済についてトップニュースで報じている時世に、日本のトップニュースは「あおり運転多発・ヒグマにおそわれた・崎陽軒のシュウマイが売り切れ」とかそんな感じである、と。
    これはある意味、日本が平和で、中東情勢が即生活に関わったりしないからで、仕方のないことであるが、仮にもG7に名を連ね、今後国際社会で活躍すべき日本の若者が世界のニュースをあまりにも知らなさすぎるのは大問題ではないか。
    「序章」ではそんな日本の現状や、それはなぜなのかを解説。1章以降は日本のメディアが表面的にしか報じないため、一般的な日本人が誤解している世界の「政治」や「社会状況」について、「本当はこんな感じですよ」という内容で興味深い。移民問題でEUの国々がどんなに混乱しているかとか、日本のメディアではトランプ前大統領はかなり「困った人」のように報じられているけどアメリカで評価されている一面とか(大統領に選ばれたんだからもちろん評価されているでしょうよ)。日本では国内の経済格差拡大が問題になっているけど、アメリカや欧州と比べてまだマシだということ。(だから日本はこのままでよし、ということではなくて、日本の制度はマシなのだから、日本は問題があり欧米の真似をするべきと考えるのではなく、比較的マシなこの制度をちゃんと補強・維持する努力をすべき。国民皆保険制度とか)。
    大変勉強になり、中学校の社会科で重要な国際機関だと教える「国連」も、もはやただの井戸端会議としてしか機能していない、など、目からウロコな見方もあり面白かった。続編もあるみたい。買おうかな。

  • Audible読了
    情報を選別する力を養うことができる良著。
    やや挑戦的なタイトルで損してる気がするけど。この人が責めているのは偏ったメディアであって、読者の私ではない、と念仏を唱えながら読んだ。

    著者は海外経験豊富で、ソフトバンクやNTTのアナリスト経歴をおもちの方のよう。今はコンサル?作家?いずれにしてもデータは正直。私はその内容よりも「意外と知らない海外」というフレームの方が良かった。

    中身のデータは令和元年以前、ということは平成だ。当時は「ガラパゴス化」といった言葉が飛び交っていた。日本は世界のスタンダードから大いに脱線。そして国際競争力の低下。高齢化の追い討ち。それでも日本は世界2位と疑わなかった時代。
    以下が作者によるガラパゴス分析。
    ①国内マーケットの強さ(みんなが中産階級)
    ②外国人比率が低い(OECD26カ国中25位2%)
    ③自己投資が少ない(データ無しなんとなくふんふん)
    侵略された経験が少ないせいで危機感がない。それを醸造すべきマスコミ報道は、海外のそれとはレベチとか。
    確かに、全国ネットで校長の痴漢のニュースとか、なぜそれを選んだのか疑いたくなるものも多い。

    私のなんちゃってクリティカルシンキングは以下。
    マスコミ報道が低俗なのはなぜか?
    ←視聴者の好みが支えている
     ←在宅率が高いのは高齢者
      ←遊興に浪費する必要がない
       ←息子、娘、孫が遊びに来ない
        ←お年寄りを敬愛していない
         ←歳をとることにポジティブでない
    ブーメランで自分にダメージが返ってきた。痛い。
    未来への希望の希薄さが、刹那的な報道を助長させていたのかもしれない。

    そこに作者の用意してくれた答えはこうだった。
    ──(海外ではお年寄りの方が判断力があり受け入れられているのは)様々なことを経験し、失敗や成功を繰り返して学んできたからこそ考えられること(中略)経験から得られる知恵に勝るものはありません。(日本人は)歳を重ねることを恐れる必要は全くありません。様々な経験を経て、どんどん賢くなっていき、総合的な判断が得意になると思えば、人生が幸福で満たされていくはずです。

    歳をとることに悲観的で、お年寄りを尊敬しない国は日本だけ。やや誇張しすぎたが、思い当たる節はある。
    この本の中では一番ここが目から鱗だった。
    もっといっぱいお婆ちゃんにおねだりしよっと。

    シリーズがあるようなので是非手に取ってみようと思う。

  • 日本という少し特殊な状況下にある地域においての情報収集の弊害や偏りを軽妙な語り口で示してくれます。
    理屈も分かりやすく、楽しく読めました!

    特に、自身も感じているところですが、
    ボビー・オロゴンなどのタレントの話にふれ、
    「普段はとぼけた外国人を演じている彼らは、実は各国のエリートであり、英語や部族語のほかにフランス語や日本語まで話す優秀な人々です。
    私が驚いたのが、出身国が異なる彼らがフランス語を使って会話をした際に、出演者たちが茶化して大笑いした場面です。非常に残念な気持ちでいっぱいになりました。アフリカ諸国は欧州の植民地化政策によって支配されていたので、異なる国の人同士であっても宗主国の言葉で話せるというのは、まったく笑い事ではなく歴史の暗部です。」
    これは日本のおかれた特殊な状況も手伝っての無知かもしれませんんが、今日の日本の先進国と呼ばれているような立場でここまでの知識の無さや人権感覚の欠落は見聞きするにつけ、つらいです。きっと著者の谷本さんもそのような無知ゆえの非人道的な言動に強い苛立ちと危機感を抱いているのだとひしひしと伝わってきます。

    この情報化社会といわれるなかで、一体どれほどの情報を得ているでしょうか。
    今一度この広い世界のこと、自分の無知を見つめ直さないといけないと思わされます。

    そのほかにもふむふむ!と興味深く得られる情報がたくさんです。
    信頼できる情報源、または情報を得るための心得として、多数の本やニュースサイトも紹介されており、参考になります。

    ただ、ほんの少し海外の情報に明るくない人に対して棘があるかな…?という表現があったように感じるので、好き嫌いが分かれてしまう本なのかもしれません…
    私は、読んでよかった!と思っています。

  • 読んでみてなるほどと思うような発見ばかりだったが、内容については普段どおりに生きていれば何ら問題ないというものの数々だった。というより、一般的な日本人はこういうことすら欠落してしまって、同調圧力の雰囲気に呑まれてしまってるんやなぁとしみじみ…
    日本の場合、トップが変わらない限り何にも知らないまま良くも悪くも現状維持を続けていってしまうんやろなぁ…

  • 近くの本屋で見つけて立ち読みし、面白そうだなぁと思って「ファクトフルネス」と一緒に買ってしまった本。

    序盤は、日本人いかに世界のニュースをしらないか?をひたすら揶揄する内容で、その後に日本で知られていない(と著者が訴える)世界の「常識」が、観点を変えてひたすら述べられていきます。

    個人的にはアメリカに訪問することが多かったり、友人もいたりすることもあって米国との社会的な差分はだいぶ既知の内容ではあったものの、それ以外の国、特に欧州の常識とされる内容は初耳のものあり、なかなか衝撃的でした。ただ、本書に書かれていた内容の多くは私にとっては既知のものが多かったのが残念な点です。もしかするとIT業界にいる人間にとっては、著者のいうグローバルな観点での収集を技術学習という理由から自ずとやってしまっているのかもしれません。

    また、他の既読者のレビューを見ていると「わかりやすかった」という評価が多いようなので、これは私個人の好みの問題なのかもしれませんが、著者の論調が常に上から目線で、「世界の常識を知らないバカな日本人め」「私にはいろんな情報ソースを集める能力がある」「情報の集め方すら知らないお前達に私が集め方を教えてやる」といったような非常に高慢な姿勢が文章がそこかしこに見え隠れしており、いちいちそれが鼻につきます。

    また著者は「AIは教えたことしかできないから頭が悪い」などと断言していますが、この発言は著者がプログラムとAIの違いすら理解できていないことの証拠であり、本書が発行されたのが2019年であることを鑑みても、氏が集めている情報が古いかあるいは圧倒的に足りていないのがわかります。現代のAIはもっとモダンであり、教えてないことでも判断ができるようになっているのはIT業界では常識中の常識であり、非IT関係者であっても日経新聞さえ読んでいれば知っているような内容です。

    この著者は、ここ以外にも「本人の思い込み」でしかない情報を堂々と展開している箇所がいくつもあり、おそらくは「多くの情報を集めることは出来ても、そこから導き出された推論を評価してないか評価できる手段を持っていない」のだと思われます。

    これに耐えられる人であれば、世界的な観点や文化の違いを知る「雑学書」としては面白いかもしれません。

  • 情報は鵜呑みにするのではなく、自分で取りに行った上で多角的に判断しないといけない。もちろんこの本も例外ではない。

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著者プロフィール

谷本真由美(たにもと まゆみ)

著述家。元国連職員。
1975年、神奈川県生まれ。
シラキュース大学大学院にて国際関係論
および情報管理学修士を取得。
ITベンチャー、コンサルティングファーム、
国連専門機関、 外資系金融会社を経て、現在はロンドン在住。
日本、イギリス、アメリカ、イタリアなど世界各国での就労経験がある。
ツイッター上では、「May_Roma」(めいろま)
として舌鋒鋭いツイートで好評を博する。
趣味はハードロック/ヘビーメタル鑑賞、
漫画、料理。
著書に『キャリアポルノは人生の無駄だ』(朝日新聞出版)、
『日本が世界一「貧しい」国である件について』(祥伝社)、
『不寛容社会』(ワニブックスPLUS新書)など多数。

「2022年 『世界のニュースを日本人は何も知らない4 - 前代未聞の事態に揺らぐ価値観 -』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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