稚心を去る

著者 :
  • ワニブックス
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784847097515

作品紹介・あらすじ

栗山英樹は何を考え、どう選手と接してきたのか――。
WBC、侍ジャパンの優勝で注目された指揮官、栗山英樹。選手から絶大な信頼を得、チームを躍動させた男が綴っていた、監督とは、チームとは、そして野球の難しさと魅力とは。
ファイターズ時代のシーズンを振り返りながらまとめた栗山イズムの真骨頂。


【目次】
はじめに 
第1章 プロの責任
 組織作りの中での「勝利」と「育成」の関係
 ファイターズの人間力 それを体現するもの
第2章 「四番」の責任
 8年目、勝ち続けるために発想をゼロベースに戻す
 「四番・中田翔」の黎明期 苦悩から変わり始めた姿勢
 大きなものを背負う中田翔と使命、その戦い
 2018年、「四番」を壊す清宮幸太郎という存在
第3章 監督としての1000試合
 監督として1000試合「勝利」と「育成」の関係
 「戦力が整いました。絶対に優勝します」
 優勝の望みを絶たれたあと奇襲が必要になる
第4章 指揮官の責任
 うまくいかないとき、なぜいつも「こっちの責任」と言うのか?
 現場の指揮官が大事にすべき心構え
 答えがないからこそ、ヒントを探し続ける
 選手たちが「人のため」にプレーできるようになる秘密
第5章 7年の蓄積と、8年目の問い
 先入観を捨て、野球をリスペクトする 
おわりに

感想・レビュー・書評

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  • 日本ハムファイターズで8年目を迎える栗山監督が、2019年シーズンを迎えるにあたっての心境や、ファイターズのチーム哲学を語る内容。長らく応援してきたチームだが、より一層、栗山監督とファイターズのことが好きになった。プロ野球選手に最も必要なのは「人間力」である、という監督の持論にはとても共感できたし、あの大谷翔平という逸材がここまで能力を開花できたのは監督の功績が大きいと再認識した。組織運営、リーダー論、人材育成、といった観点で見ても、得られる気付きはとても多い。野球ファンだけでなくビジネスマンにもお勧め。

  • 北海道日本ハムファイターズの栗山英樹監督の選手への思いやりと強く信じる思いや2018年シーズンの回顧、そして同監督自身が本を読んで得たプロ野球選手に大切という「人間力」を養うために大切にしている言葉の数々が印象的な一冊でした。

    とくに選手への思いやりは、69ページにあるエピソードを読んでいて強く感じました。
    それは、監督就任一年目、日本シリーズ第6戦で2018年をもって引退した石井裕也投手が負け投手になった時のエピソードで、「もとより選手が責任を持つ必要はないのだ。(中略)彼が敗戦翌日の新聞を切り抜き、『石井で負けた』という見出しの記事を部屋に張っているという話を聞いた。(中略)その切り抜きを家族は毎日どんな思いで見ているのかだろうかとしばらく引っかかっていた。そして、優勝旅行で奥さんを紹介されたとき、その思いを素直に伝えた。何より、彼のおかげで優勝できたという感謝の気持ちを伝えたかった。そこで涙を浮かべた奥さん(略)」
    この一文を読んで自分は涙しました。選手に対する監督の感謝の気持ちがなんて温かいのだろうかと。

    そして、もう一つ印象深かったのは「人間力」を養うための読書から得た気づきです。これは詳述しませんが自分にも当てはまることがあり感銘を受けました。
    野球のキャンプが始まりますが、新体制のファイターズには期待がいっぱいです。あとがきには今年のドラフトメンバー一人ひとりの評価が綴ってあるので、これも必読だとおもいます。

  • 『#稚心を去る』

    ほぼ日書評 Day685

    29歳で現役を引退、日ハムの監督時代には大谷二刀流実現の立役者、そして先日は侍ジャパンを優勝に導いた栗山英樹氏による2019年の著書。

    タイトルは、幕末に25歳でこの世を去った橋本左内が数えで15歳の時に述べた言葉から取られているそうだ。成長を妨げるのは、子供っぽい心、すなわち「わがまま」。結果が伴わないと、ついそうした気持ちが出てしまう中、いかに大人になれるかが鍵という。

    そもそもプロ入りしたのも、ちょっとした社交辞令からすっかりその気になってしまったと、やや自虐的に述べているが、選手として大活躍したとはいいづらい実績ゆえ、その研究熱心さは、そうした思いから来るものなのだろう。

    本書には触れられていないが、三原マジックで有名な三原脩氏のノートを同氏の娘婿である中西太氏経由で譲り受け「愛読」しているというのも先日テレビでみたことがある。

    本書の内容も半分くらいは過去の試合を振り返って、なぜあの時、ああした手を打ったのかといった話で、その辺りは斜め読みでも構わない。通底する哲学のようなものを、拾い読みしてみた。

    育成と勝利のどちらを優先するかという愚問、3年後に優勝するから今年は育成に専念するなどというチームがあったら3年後にも勝てっこない。
    1000本の打撃練習より大事な試合での一打、1000本のノックより試合を壊した1つのエラーの方が大きな糧になる。

    3日間、誰も自分の文句を言わなかったら、気をつけた方がいい。監督という仕事をやらせてもらって「嫌われることも絶対にプラスになる。いつかわかってもらえる時が来ればいい」という肚の据わりは、つくづく大事。

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著者プロフィール

1961年4月26日、東京都小平市生まれ。小平二中時代はバレーボールに熱中。その後、創価高校時代にかけ、野球でエースかつ主砲として活躍。東京学芸大学進学後、教職を目指して教員免許を取得。学芸大卒業後、入団テストを経てヤクルトスワローズに入団。1984年には1軍に昇格し、1989年に外野手としてゴールデングラブ賞を受賞。しかし、1990年のシーズンを最後に、怪我や病気のために引退を決意。引退後は野球解説者やスポーツジャーナリストとして活動する一方、白鴎大学の教授も務めた。2011年11月には北海道日本ハムファイターズの監督に就任し、監督1年目でパ・リーグ優勝。2016年には2度目のリーグ優勝と日本一を達成、正力松太郎賞を受賞した。2021年4月10日には球団監督歴代最多となる632勝を達成したが、2021年シーズンで日本ハムの監督を退任した。2021年12月からは野球日本代表監督に就任し、2023年には14年ぶりに日本をWBC優勝に導いた。

「2023年 『栗山英樹29歳 夢を追いかけて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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