作品紹介・あらすじ
「ジッタン、どうしてわたしは生きてるの?」祖父・島尾敏雄がだした答えとは…「結婚」「オリーブ少女の先輩」「赤塚不二夫さんのこと」「プレイボーイとの再会」ほか珠玉の随筆54篇。
感想・レビュー・書評
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しまおさんは、男も女も、近所のおばさんもネコも、みんなと濃く向き合っている。そして本人も気づいていないような、かわいくて可笑しい一面を発見する。
読んでいると、当たり前だけど、みんな別の生き物なんだなあ、と思う。
まほちゃんの家に比べると、悲しみの色が濃い。人や動物は死んでしまうし、好きだった景色は少しづつ消えていってしまうし、恋は破れ、友達だと思っていた人と疎遠になることもある。
ご本人の発言はラジオでよく聴いていて陽気で楽しい方だと思っているが、奄美の強い日差しのように、当然そこには陰もあって、陰を知るからこそ日の当たる場所を愛おしく大切にできるのだろうと思う。
通称「タマフル」こと「ウィークエンド・シャッフル」のボンクラ・トークでお馴染みの顔とは違い、何だか詩的ですら垣間見せる身辺雑記。
エッセイなのだが、小説のような味わい深さがある。
「携帯ストラップについているボンボン」が、「サブリミナル効果でセックスアピールとなる」
って、有り得んだろ。
どういう感覚?
「タマフル」で知って購入。ウッ!意外と、この人の文章読みにくい....。しかも、連載を単にまとめただけだからか(?)現在の話の次に幼少期の話があって今度は高校時代の話になったりと、時間軸がごっちゃになってる。若干混乱する。
「死の棘日記」を再読したくて図書館で探していたら偶然みつけたお孫さんのエッセイ。なんてかわいい女の子。他の本も探してみたくなった。
彼女が出演しているラジオのリスナーとしては、番組での言動よりずっとシャープな文章にびっくりした。番組パーソナリティの「しまおさんは自分よりずっとたくさんのことを感じて日々暮らしている」という評が的確に感じた。
文豪の孫というと、(1)夏目漱石の孫・BSマンガ夜話でお馴染みマンガ評論家の夏目房之介さんがひとり勝ち、
(2)福永武彦の孫・声優の池澤春菜さん(爆走兄弟レッツ&ゴーで渕崎ゆり子とダブル主演!って見たことないですが。渕崎ゆり子さんって少女革命ウテナのアンシー役とおじゃる丸のカズマくん役で大ファンなのです。あ、池澤さんの仕事で押さえてたのはケロロ軍曹の西澤桃華とボイスラッガーがあったか)が猛追…。と勝手に思っていたら
(3)島尾敏雄、島尾ミホの孫で漫画家・エッセイストのしまおまほさんがここ最近急浮上。知名度で並べてすいませんすいません。
彼女を知るきっかけはTBSラジオ「ライムスター宇多丸のウイークエンド・シャッフル」(通称タマフル)での唯一の女性レギュラーとしてだった。尾籠な話題(父親が火星包xと暴露)な天然ボケぶりにファンになり「女子高生ゴリコ」等旧作を集めまくった。オリーブ少女本にはついていけなかったが、この新刊は思わず楽しく読んでしまったのだった。
因みに、同番組ではしまおさんがラジオ警察兼ブログ探偵として有名人ブログや色んな意味で注目のラジオに突っ込むコーナーがあった(2012年春現在ではやってない)。
そこで紹介されていた僧侶二人がDJ(! 一人は落語家兼業)のエフエムくらしき「拝、ボーズ!!」でクラムボン原田郁子さんとしまおさんでゲスト出演した回もポッドキャストで聞いたりしてすっかり仏教に興味を持ち、同番組にハマってしまった。ローカル番組なのにギャラクシー賞を獲ってしまったすごい長寿番組。興味のある方はググれ。「拝ボー」の出張イベント兼公開録音「拝、ボーズ in 東京」にまで足を運んでしまい、しまおさんのイラスト入りチラシやグッズを買いまくった。
前座?の妖怪プロジェクトのライブに体力を使い果たし、ブレイク前の池田龍之介さんのトークもありここで睡魔に襲われ、トリ間際の桂米裕さんの落語中に中座して喫煙。yonepeeに中座した奴もおったなと後でチクっと言われたがビンゴ大会で米裕さんのおみやげゲット。そこで謝った。池田さんの話で眠くなった、談志師匠みたく客席の本堂(会場はお寺だったのです)で爆酔したら訴えられるかと思った等。我ながらひでえ。関東で桂米ピーの落語を聞ける貴重なチャンスだったのに…。
閑話休題。
ラジオでは自分の私生活や恋愛についてはガードが固いのだが、本書を読んでラジオとのギャップにたまげた。
はっきり言って檀xみ&阿川佐x子の共著本より面白かった。文章うまい。しかも短い一編一編の最後の文章がしみる。結婚願望ネタも自虐味がライトで誰かさん達と違い読んでいて辛くない。いえ、檀さんも阿川さんも好きですが(フォローになってねえ)。
恋愛関係の話を一切しない友人(主に男性や付き合いの薄い女性の知人友人?)と、恋愛トークや一緒に旅行したり買い物したりする友人(元同級生や女子の親友?)とでは交友関係にはっきり一線を画していると明言。タマフルとのギャップはこれだったのか。
祖父母のエピソードも父方の島尾敏雄・ミホの話題はさりげなく控え目、むしろ母方の祖父母のエピソードの方が多い。そうだよね、同居してた人の方がネタ多いのは当然だよね。ナニゲにしまおさんの矜持を感じた。続巻も早く読みたいです。
著者プロフィール
○ しまおまほ
エッセイスト。1997年、『女子高生ゴリコ』でデビュー。
カルチャー誌や文芸誌にエッセイや小説を発表。近年はラジオ番組のレギュラー出演も。
著書に『まほちゃんの家』『ガールフレンド』『マイ・リトル・世田谷』などがある。
「2018年 『アッタとタッタのさがしもの クリスマス ツリーのかざりが ゆくえふめい!』 で使われていた紹介文から引用しています。」
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