すべてを明日の糧として: 今こそ、アイヌの知恵と勇気を

著者 : 宇梶静江

• 清流出版 (2011年6月1日発売)

作品紹介・あらすじ

詩人・絵本作家・アイヌ復権の旗手、宇梶静江。その苦悩のはての、勇気と再生の物語。

感想・レビュー・書評

[猫丸(nyancomaru)さんの感想 · 2020年12月12日]

小冊子『熱風』2020年12月号の特集は「宇梶静江　インタビュー　アイヌを語る」です。
https://www.ghibli.jp/shuppan/np/013391/

http://www.seiryupub.co.jp/books/2011/06/post-46.html

[이지현さんの感想 · 2019年1月20日]

馳星周ｻﾝが描いた｢神の涙｣を読んでから、アイヌの生活に興味が湧き、この本を手に取りました。 アイヌ人であれ和人であれ自然を慈しみ、食を慈しみ、差別のない世界であって欲しい。アイヌである事が、如何に生きにくかったかは、まだまだアイヌの歴史を齧ったぐらいでは、分かりません。しかし、和人の全ての人がアイヌに対して酷い仕打ちをしてきたか･･･その問題も、勉強不足の私には分かりません

[たけさんの感想 · 2012年8月7日]

作者の宇梶静江さんは、俳優の宇梶剛士さんのお母さん。
アイヌの生まれである彼女の自伝。
小さい頃受けた差別や、アイヌであることを隠して生活していた若い頃、カミングアウトしてアイヌ復権を求めて活動したり、アイヌの若者たちを支援したりしてきたことなどが書かれています。
そして60歳を過ぎてアイヌ刺繍に出会い、古布絵クリエイターとして活躍することも。

この本は、私たちの知らなかったアイヌの暮らしや考えを紹介してくれる、アイヌ入門書に良いかもしれません。

[たこぽんさんの感想 · 2012年7月3日]

アイヌの文化、知恵、習慣を今の世の中に取り入れられたら、世の中変わるでしょうね。
村の長を選ぶのにも世襲制はなし。人格者で、勇気と知恵にあふれ、愛の深い人がみんなから選ばれるんですって。議員や首長がそうやって選ばれたらね。

命は全て大切で、全てのものに神が宿るって考え方はアイヌでなくても昔は信じられてた気がするんだけれども…。

まずは自分を好きになって、自分らしく生きよう、というメッセージは確かに伝わってきました。

[qooh88さんの感想 · 2012年1月25日]

著者の宇梶静江さんはアイヌの女性です。「アイヌ＝人間」という意味。字義どおり、人として純粋なアイヌの知恵と生き方にふれると自然に涙が出ます。だというのに、明治維新政府によるアイヌ差別は非道いものでした。明治の元君らの正体は、野蛮な心を隠し持った未開人だった…と青ざめました。
著者は、アイヌであることを隠して都会で生き続けるうちに死病にかかってしまいます。そして、気づくのです。

「自分が自分でいないことが過ちなのだ」と。

病気は身体からのメッセージでした。実存から疎外（阻害）された生き方が病気という形で現れたことを悟ったアイヌ女性の声─── 深くふかく正しく響きます。

[空みつえさんの感想 · 2021年10月10日]

当事者の言葉だからこそ伝わることがある。読んでよかった本。

[神戸看護専門学校図書室さんの感想 · 2012年4月19日]

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著者プロフィール

宇梶静江　著者紹介宇梶静江（うかじ　しずえ）1933年、北海道浦河郡生まれ。20代で上京、働きながら苦学。その後結婚、２児の母となる。次々に頼って上京してくる同胞のめんどうをみながら、1972年、朝日新聞の投書欄に「ウタリ（同胞）よ、手をつなごう」と呼びかける。これが反響を呼び、関東圏のアイヌ復権運動の草分けとなる。同時にアイヌであることを伏せて暮らす同胞の反感も呼び、苦悩の日々の始まりでもあった。小さいころから絵が好きで、大人になってからは詩作や演劇にも没頭、しかし本当に絵の制作に時間がさけるようになったのは60歳をすぎてから。アイヌの刺繍を生かした古布絵を編み出してからは、アイヌであることの喜びを深く実感して、心が解放されていった。ただの一度も自ら戦争をしかけたことのない民族としての誇り、自然を崇めるアイヌの豊かな文化を、若いアイヌ世代に伝えたいと、一針一針に願いを込めて制作を続けている。本作は二作目で、一作目はアイヌ神謡集（カムイユカラ）からの再話による『シマフクロウとサケ』（福音館書店）で、三作目も進行中。千葉県在住。

「2008年 『セミ神さまのお告げ アイヌの昔話より』 で使われていた紹介文から引用しています。」