BCG流病院経営戦略

  • エルゼビア・ジャパン
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  • Amazon.co.jp ・本 (186ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784860342012

作品紹介・あらすじ

「総合」病院から「尖り」のある病院へ進化を遂げよ。BCGらしい現場感あふれる分析アプローチで、明日から使える手引書。

感想・レビュー・書評

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  • 少し古い本だ。著者はBCGの植草氏他。

    感想。まず、とても分かりやすい。主張も納得。この薄さでこの満足感を与えるところに、著者らの知性の高さを感じる。

    備忘録。
    ・フリーアクセスの功罪。基本的な疾患の予防や治療をする家庭医と、重篤な疾患に対し高度医療を提供する専門医が、うまく棲み分けられておらず、非効率的な医療環境になっていること。
    ・財政赤字になるほど医療費ご注ぎ込まれたいるのに、赤字で苦しむ病院があるのが日本の実情。
    ・病院の特徴。①固定費の割合が大きく、規模の経済が効く、②固定費の大半は医師への人件費で、その削減は有効ではない場合が多い、③在院日数と病床利用日数を管理し収入をあげるのが有効な施策。
    ・上記③の実現に有効なのが、「クリニカルパスの整備と実施」と「複数の診療科や病棟にまたがった、人、病床、設備の全体最適利用」。
    ・総「総合病院」化現象への警鐘。
    ・KPIは、在院日数と新入院患者とすべし。

  • 医業経営に関する基本的な分析が順を追って丁寧に行われ、非常に説得力のある内容である。
    是非、会社の新人研修の参考書として使いたい。
    各所で出てくるチャートもポイントを押さえた効果的な内容になっており、これらをなぞって同様のチャートを作っていくだけでも十分勉強になるのでは?
    また、文章で書かれた内容に説得力を持たせるための効果的なチャートの使い方(分析項目)など、レポートの作成方法を学ぶ上でも十分参考になる。

  • まず、サブタイトルにある「DPC」とは、「診断群分類」のことである。
    2003年4月から、診断群分類包括評価を用いた入院医療費の定額支払い制度が開始された。
    DPC対象病院数は制度開始当初は82だったものの、2012年には1,505にまで増加している。一般病院数の総数は7,571(2011年2月)なので、まだ5分の1程度に過ぎない。しかし、病床数で見ると、2012年にはDPC対象病床数が479,539、一般病床数の総数は902,024(2011年2月)なので、病床数の多い大規模な病院ほど、DPC導入が進んでいることが分かる。(参考:厚生労働省関係審議会議事録等 中央社会保険医療協議会)

    というわけで、本書はDPCを導入している大規模病院向けの経営指南書である。
    大規模な病院の経営者や関係者であれば、「「総合」病院から「尖り」のある病院へ進化を遂げよ。」という提言は、読んで役に立つかもしれない。

    しかし、地方の町医者など、医師不足に苦しんでいる地域にあり、地元の人々のあらゆる病症を一手に診るような小規模な病院は「総合」病院にならざるを得なく、本書の提言はあまり役に立たないかもしれない。

    また、提言内容に関しては具体性に欠けているため、既にこの分野に関して課題を持って取り組んでいる人にとっては、どこかで聞いた話ばかりかもしれない。
    具体的な提言をしてほしければ、うちにコンサルティングを依頼してねという宣伝を兼ねた本だろうから、仕方ないだろうけども。

    とは言え、現在の日本が抱える医療についての問題と解決方針等が分かりやすく示されており、医療関係者以外の人にとっては、医療と経営の入門書として良いかもしれない。

    ビジネスに関しては、やはりBCG(ボストンコンサルティンググループ)の専門だけあり、深い考察がなされており、しかも分かりやすい。
    課題抽出と解決策提案のケーススタディを勉強するための教科書として、ちょうど良い。

    しかし、このような本が出てくるということは、日本の医療制度は根本から見直さないとならない時期なのかもしれない。

    あくまでも、病院の「経営」や「マネジメント」に興味のある人向けの本。

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