- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784861828263
作品紹介・あらすじ
『スタートレック』のヒカル・スールー(ミスター・カトー)役で知られる日系俳優が、第二次世界大戦中に三年間を過ごした日系人強制収容所での日々――合法化された人種差別のもとで成長する絶望と、それでも決して失われなかった希望を語り尽くし、極限的な状況下における偏見や差別の問題を訴えかける。
いままさに読まれるべき、長篇ノンフィクション・グラフィックノベル。
第二次世界大戦中、私は家族とともに、西海岸にいた12万人の日系アメリカ人と同じように自宅から退去させられ、全米にあった強制収容所に収監されました。理由はただ一つ、真珠湾を攻撃した人々と容貌が似ていたからです。それ以来、この出来事についての認知を高めることが、わたしの人生の使命となりました。そして、長年にわたり、新聞や雑誌の記事、インタビュー、世界中の聴衆に向けた講演会、高い評価を得たブロードウェイのミュージカルを通して、私たちの体験を語ってきました。
しかし、私たちの仕事はまだ終わっていません。1940年代に私たちが耐え忍んだのと同様の偏見やヒステリー状態が、世界のいたるところで、これまで発言を抑えられてきた人々の自由や生活の手段を脅かしつづけているのです。日本をはじめとする国々はもとより、アメリカ合衆国においても、幸運にも参加民主主義が行き渡っていますが、これを適切に機能させるためには、胸に抱いた理想に合致するよう世界を方向づける活動を続け、関与していかねばなりません。まだ道半ばではありますが、皆さんのご協力があれば、いつの日かともに達成できると信じています。
ジョージ・タケイ「日本版のためのあとがき」より
感想・レビュー・書評
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日本軍の真珠湾攻撃から74日後の1942年2月、日本人を祖先に持つ者への「民間人退去命令(大統領令9066号)」が在米日系人の苦難の始まりでした。TVドラマ《スタ-トレック》で宇宙船エンタ-プライズ号の操舵手カト-役を演じたジョ-ジ・タケイ(George Takei)が、家族とともに日系アメリカ人強制収容所に係留された幼児期の体験をもとに、アメリカ民主主義の功罪と偏見や人種差別を問い詰めたグラフィック版による回想録です。著者による京都講演(2014年)は、論旨明解でお薦めです。(TEDのサイトで視聴可)
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スター・トレックのヒカル・スールー役で有名なジョージ・タケイが第2次大戦中に経験した日系アメリカ人の収容所収監とその後の名誉回復をコミカライズ。
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第二次世界大戦中、1941年の真珠湾攻撃以降、日系人のアメリカ市民12万人は、財産を没収され、アメリカ各地に作られた強制収容所に押し込められた。作者の1人ジョージ・タケイは映画「スター・トレック」のヒカル・スールー(ミスター・カトー)役で知られる俳優だが、子供の頃、強制収容所に入れられた1人。
移民の国アメリカ、自由の国アメリカの黒歴史。ジョージ・タケイは俳優をしながらこの黒歴史やマイノリティの人権について、「それでもアメリカの民主主義は素晴らしい」と言い続けた父の事などを知ってもらうため、講演活動を続けた。
アメリカのすごいところは、この重大な過ちを認め、1988年8月にロナルド・レーガン大統領が合衆国政府を代表して謝罪し、被抑留者にそれぞれ2万ドルの賠償金を支払った、というところだ。
何年もかかったが、とにかく謝罪はした。すごい事だと思う。
そして、ジョージ・タケイの両親は素晴らしい。悩める息子の不満を真正面から受け止め、アメリカの民主主義の良さを息子に伝える。私だったらできるだろうか、と考えてしまった。
コミックで読めるアメリカの日系人強制収容。アメリカ人にも日本人にも読んでほしい。
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日本人の視点からみた第二次世界大戦中のアメリカ。
当時子供だった作者の実体験を綴った作品。
あっという間に生活のすべてが奪われてしまう様子は、マーガレットアトウッドの小説「侍女の物語」を彷彿させる。
どこかの政府が同じ過ちを繰り返さないように。祖先が日本人だというだけの理由で預金凍結、強制収容がまかり通るような時代があったことは広く知られるべきだろう。 -
スター・トレックのミスター・カトーにはこんな過去があったのか。日系アメリカ人の苦難を改めて知り、かつ、彼らを支援してくれたアメリカ人もいたことに感謝。
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作者はもちろん父親が本当に素晴らしい人だったのだなあと
後年、父親の当時の気持ちを推し量るシーンが印象的だった