砂丘律

著者 :
  • 青磁社
4.30
  • (19)
  • (12)
  • (5)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 209
感想 : 12
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861983320

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 胸に刺さった。
    乾いた砂混じりの情景、夕日や雪、君への想い


    そのころの未来なのだね 桃色に褪せたプラスチックのベンチ

    線香のような松の葉ふみしめて君と海まで最後を歩く


    図書館で借りて読んだけど、欲しくてアマゾン見たら7402円で泣いた

  • 歌、装丁、後書き、すべて美しい

  • めちゃ素敵!!!!

  • 死に場所を選べるならどこがいいか。生きている者と死んでいる者の違いは何か。そんなことをある人に話したことを思い出したので再び開いた。

    砂の流れる音がする。乾いた風が横笛の音をたてながら風紋の波を刻んでいる。それに乗せられた歌。古い日めくりが燃えて火花を散らす。砕けた骨の匂いが立ち上る。掴もうと手をのばしたとき、逃げ去る影のように既に風景の中に拡散している。かつて個人であったわたしたちは瞬間を無限に戻し、やがて質量と重みを増してゆっくりと地に落ちてゆく。
    わたしたちは海に帰るのではない。無数の砂粒に還るのだ。

    《光あれ 一頁目は朝焼ける砂漠へ檸檬を絞るごとくに》
    《アラビアに雪降らぬゆえただ一語 ثلج と呼ばれる雪も氷も》
    《塩くらい残ればいいと煮えたぎる涙をあなたの二の腕に拭く》
    《指こそは悪の根源 何度でも一本の冬ばらが摘まれて》
    《深く息を、吸うたび肺の乾いてく砂漠は何の裁きだろうか》
    《会いたさは来る、飲むための水そそぐとき魚の影のような淡さに》

著者プロフィール

1988年名古屋生まれ。2015年、『砂丘律』。2016年、日本歌人クラブ新人賞、日本一行詩大賞新人賞。2020年、『千夜曳獏』。2021年、現代詩「ユリイカの新人」に選出。2022年、『イギ』、ちくま文庫版『砂丘律』。

「2023年 『現代短歌パスポート1 シュガーしらしら号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

千種創一の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
劉 慈欣
ウンベルト エー...
遠藤 周作
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×