- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784861983320
感想・レビュー・書評
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胸に刺さった。
乾いた砂混じりの情景、夕日や雪、君への想い
そのころの未来なのだね 桃色に褪せたプラスチックのベンチ
線香のような松の葉ふみしめて君と海まで最後を歩く
図書館で借りて読んだけど、欲しくてアマゾン見たら7402円で泣いた
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歌、装丁、後書き、すべて美しい
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めちゃ素敵!!!!
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死に場所を選べるならどこがいいか。生きている者と死んでいる者の違いは何か。そんなことをある人に話したことを思い出したので再び開いた。
砂の流れる音がする。乾いた風が横笛の音をたてながら風紋の波を刻んでいる。それに乗せられた歌。古い日めくりが燃えて火花を散らす。砕けた骨の匂いが立ち上る。掴もうと手をのばしたとき、逃げ去る影のように既に風景の中に拡散している。かつて個人であったわたしたちは瞬間を無限に戻し、やがて質量と重みを増してゆっくりと地に落ちてゆく。
わたしたちは海に帰るのではない。無数の砂粒に還るのだ。
《光あれ 一頁目は朝焼ける砂漠へ檸檬を絞るごとくに》
《アラビアに雪降らぬゆえただ一語 ثلج と呼ばれる雪も氷も》
《塩くらい残ればいいと煮えたぎる涙をあなたの二の腕に拭く》
《指こそは悪の根源 何度でも一本の冬ばらが摘まれて》
《深く息を、吸うたび肺の乾いてく砂漠は何の裁きだろうか》
《会いたさは来る、飲むための水そそぐとき魚の影のような淡さに》