- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784862042125
作品紹介・あらすじ
心眼といわれた十三代目片岡仁左衛門の次男、片岡秀太郎。ほとんどの歌舞伎役者が東京に居を構えている中、上方の空気に触れ、そこで寝起きするからこそ、本物の上方らしさが自然と身につくものと、頑なに上方にこだわり続け、上方歌舞伎の頭脳といわれるほどの研究家でもある。古稀を迎えた今年、六十余年となる役者人生を振り返り、数々の名優たちとの芸談、さまざまな演目、役のしどころ、見どころなどを語る。
名優の誉れ高い十三代目片岡仁左衛門の次男に生まれ、上方に生き、上方らしさに徹底的にこだわり続ける役者、片岡秀太郎が初めて語る女方の真髄!
感想・レビュー・書評
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かわいらしいお人。
そんな人柄が、表紙の裏側に書かれた「片岡秀太郎」のサインに表れているように思う。
このサインは、人間国宝に認定された日の夜に、「記念だから」と松竹座の売店で書かれたもの。
ちょうどこのとき、「関西・歌舞伎を愛する会」で松竹座に出演していたため、売店に並んでいた自分の本にサインをしたらしい。
売り場の方が教えてくれた、気さくでおちゃめな秀太郎さんの様子。それがまさに、この本に詰まっているように思えて、何度読んでも温かい気持ちになる。
書かれているのは、真摯に歌舞伎に向き合ってきた方だからこその言葉。
こうやって芝居がつくられているんだな、このシーンはこんな思いで演じられているんだな等々、歌舞伎の奥深さに触れられる。新しい見方を与えてくれる本でもある。
ただ、この本は本当の魅力は、秀太郎さんのかわいらしさに尽きると思う。
サインの横に貼られた千社札がなんともおちゃめで、見るたびにご本人の笑顔を思い出す。とともに、やはりまだまだ寂しさが募る。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
数え切れないくらいの型があって、
全力でそれらを注ぎ込っもうとした先人たちがいた。
それを受けるだけの器ができたらいいな。 -
歌舞伎役者、片岡秀太郎丈の芸談。自らを『お父ちゃんっ子』だったという父、十三代片岡仁左衛門と共に継承してきた上方歌舞伎の話が中心。代表的な上方歌舞伎の演目や松嶋屋に伝わる型について、またこれからの上方歌舞伎について。上方には上方らしい演じ方、空気があるのがよくわかりました。お芝居の基本は義太夫だということも。私が大阪にいたころは、歌舞伎をみようと思ったら京都の南座に行くしかなかったんだよね。一度は大阪でこってりした上方歌舞伎を見てみたいです。