- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784862042866
作品紹介・あらすじ
オーストラリアの魔女、ルーシー・キャベンディッシュの邦訳第四弾です。原題は『Witches&Wizards』(2016年刊)。古代ヨーロッパから現代にいたる魔術の世界の歴史を俯瞰しつつ、それぞれの時代に生きた魔女や魔術師の“人生”に迫ります。
魔術が新しい信仰と共存した時代の伝説の魔術師マーリンにはじまり、魔女狩り時代に死と隣り合わせの人生を生き抜いた天才魔術師ジョン・ディー、もっとも邪悪な魔術師と嫌悪されたアレイスター・クロウリー、迫害の時代から魔術復興の時代へと移る激動の時代を生きたドリーン・ヴァリアンテやジェラルド・ガードナー、ロザリーン・ノートンなど有名な魔女や魔術師だけでなく、ドイツやイギリス、アメリカなどで炎によって命を奪われた名もなき魔女たちも登場します。
著者、ルーシーは本書執筆の動機をこう綴っています。
「わたしたちと同様に悩み、葛藤し、その経験を生かして人生を謳歌し、世の中に変化をもたらす存在として力強く、たくましく生きた魔女や魔術師の真実を知ってほしい」
ファンタジーや伝説のなかに封じ込められてきた魔女や魔術師たちに光を当てたヒストリカル・ストーリー。著者ルーシー・キャベンディッシュの新境地を拓く一冊となるでしょう。
魔女や魔術師たちの魂とつながってください。
わたしたちと同様に悩み、葛藤し、その経験を生かして人生を謳歌し、世の中に変化をもたらす存在として、力強く、たくましく生きた魔女や魔術師の真実を知ることで、あなたの人生に生きる勇気と活力が付与されることを願っています。
──ルーシー・キャベンディッシュ(本文「はじめに」より)
感想・レビュー・書評
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魔術(伝統的な信仰)とキリスト教の関係性を軸に、ブリテン伝道時代から現代の魔術復興までをたどる本。歴史的資料に基づいて書かれており、単純な宗教・思想の対立構造としてではなく、当時の環境的・社会的な背景を検証した内容となっている。章末にワークは記載されているが、各章の内容に沿ったものになっていて、スピリチュアル的思想に興味がなくても、純粋に魔術の歴史として読むことができる。ファンタジー作品の背後にある歴史を知るにも程良い内容だと思う。
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・「バード」とは、伝統の継承者や詩人、音楽家、歴史家など主に芸術に秀でた人物のこと。「オベイト」とは、預言者や占い師、哲学者、ナチュラリストなど。「ドルイド」とは、儀式を行う者やカウンセラー、現実世界と異次元を自由に行き来するシャーマンなどを指す。
・1542年にイギリス政府は魔術を行う者に、”重罪として死刑を課し、家財を含むすべての所有物を没収する”という法律(ウィッチクラフト法)を施行しました。ここで注目したいのは、政府は彼らの命だけを奪ったのではないということです。すべての財産を奪い取り、残された子どもたちや家族、子孫にまで苦悩を強いたのです。そして取り上げられた所有物は政府、あるいは王の財産として扱われました。 -
ストーリーとして書かれているので読みやすくはある。文献をあれこれ読んでいる人間には知っていることばかりだし、時折著者の主観や創造が入るのが微妙だった。