「脱原発」を論破する―今、日本人の知性が試されている!

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  • 東京図書出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862236456

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  • 分かりやすい。
    いかに意図的・悪意による誤った知識に基づいた報道がされていて、冷静さを失っているのかが理解できる。
    政治家・評論家の不勉強は罪だ。そして、知識のない人ばかりがメディアで大きな顔をしている。

  • 2年前(2011)の東日本大震災後に起きた福島原発による被害はとても大きなものになっているようです、実際の放射能による直接被害は私は分かりませんが、風評被害や政府による居住制限で働けなくなったことによる被害は確実に出ています。

    私がずっと気になっていたのは、果たして今回の事故による放射能がどれほど危険かということです。特に被爆国の日本には、広島と長崎のデータが多くあるはずなので、それとの比較データが見たいと思っていました。
    この本にはそのようなデータに加えて、私たちの周りに多くある「温泉」における放射能のデータもあり興味深く読めました。

    原子力発電所の事故は深刻なものだと思いますが、どの程度被害があったのか、それは私たちが知っている今までの事故(原爆・チェルノブイリ事故等)と比べてどれほどの被害量であったのかは明確に知ったうえで、その深刻度を理解すべきだと思います。

    この本は、そのようなことを考えさせてくれるデータを提示してくれたと思います。特に、ラドン温泉やラジウム温泉は、今回の事故でも危ないと言われている「内部被ばく」と同一である(p2)ことは、この本で初めて知りました。

    特に、2章の「マスコミが報じない専門家の証言」は、私にとっては新しい事実のオンパレードでした。

    以下は気になったポイントです。

    ・低線量放射線はむしろ体に良い、という内容を裏付ける研究成果を知る人は少ない。ラドン温泉やラジウム温泉での湯治とは、「放射線の内外被爆である」と報じられていない(p2、13)

    ・強力なラジウム放射能で、細胞がどんどん活性化し、一方では癌細胞を攻撃して縮小していく、内部被ばくが健康パワーを増して、癌・リウマチ、糖尿病を治している(p18、20)

    ・ベクレルとは、放射性物質が放射線を出す能力、1ベクレルとは1秒間に1回のガンマ、ベータ線の崩壊をいう(p23)

    ・ウラン238の崩壊でラジウム226、そして半減期1600年でアルファ線をだしつつ、不活性ガスのラドン222となる、そして鉛210を経て、最終的に、鉛206で安定する(p27)

    ・日本軍の南京攻撃は、南京を包囲した後に国際法に則って、空からビラをまいて降伏と無血開城を求めた、それを拒否して戦いになった、米国は国際法手続きを取らずに不意に投下した、これは戦争犯罪(p35)

    ・広島は、被爆後半世紀経過した現在、爆心地周辺の環境放射線の強さは、毎時0.1μSv以下で、普通の値になった、残留放射能の心配はないとしているp39)

    ・核爆発をするにはウラン235を90%にする必要あり、原子力発電所は 5%でOK(p42)

    ・原爆被災者10万人の追跡調査から、100-200mSV以下の低線量域では、明らかな発がんリスクの増加は見られないとされた、この会見は2011.3.28にされたが無視された(p45)

    ・年間100mSVは、実生活においては、環境線量が 241mSV/year=27μSv/hである(p49

    ・太陽は巨大な核融合炉であり、地球も放射線をだしていて、普通に生活していても放射線の内部被ばくと外部被ばくを受けている。世界平均は2.4mSV/yearだが、日本は1.5mSV(p50)

    ・宇宙飛行士は、年間上限の 1mSVを、1日で被爆する事実は、マスコミでは伝えられない(p52)

    ・100mSVの放射線を浴びると、1日当り200個のDNAが損傷する、一方で、普通の生活をしても細胞あたり10億個の活性酸素が発生、数万から数十万のDNAが損傷している、これらは基本的には修復される。発生する原因は、食物が35%、たばこが30%等である(p56)

    ・ノーベル賞をもらった研究(Oliver氏が1930年に行ったショウジョウバエの精子にX線を照射すると突然変異する)は、遺伝子修復機能がなかったため突然変異が起きた。後に、100mSV以下では被爆リスクは証明できず、低線量率被爆は累積しないこともわかった(p66)

    ・毎日死滅する6000億個(合計で60兆個)の細胞を複製するときに、複製間違いをして、それが原因で毎日数千個の癌細胞が発生している(p67)

    ・広島、長崎の被爆者調査からわかったこと(1990年、アメリカ人類遺伝学雑誌に掲載)で、原爆のような高線量率被爆を受けても、ヒトでは遺伝的影響はないことが証明されている。(p70)

    ・チェルノブイリ事故では、30km圏内で生産されたミルクの消費制限が行われなかったので、放射性ヨウ素131により高レベル甲状腺被爆を受けた(p125)

    ・1990.8にソ連から独立したウクライナは、チェルノブイリ原発の負債を引き継いだ、50%電力を頼っていた原発12基をすべて停止(90-93)したため経済がガタガタになり、93.10に原発再稼働と方針転換した(p128)

    ・チェルノブイリ事故(福島の1000-10000倍の被爆量)以降に、汚染されたミルクを飲んだ子供のなかで 6000人以上が甲状腺がんを発症し、15人が死亡した(p143)

    ・福島県において H24.9月分の内部被ばく検査により、8562人の結果が発表されて、全員が 1mSV未満であった(p156)

    ・中国はウィグル人居住区のロプノールで原水爆実験場をつくり 1964-96年にかけて合計46回行っている、汚染された核の黄砂が長年にわたって日本へ降っていたことは、メディアは伝えない(p175)

    ・ドイツは 2011.7に 2022年末までの原発全廃を法制化したが、2013年度の電気料金は、2000年比較で 2.78倍になる、それでも2030年までに買い取り費用(固定価格で自然エネルギーを電力会社に買い取らせる制度)等で、約29兆円が発生する(p186)

    ・平成24年の東京電力の値上げが 10%弱にとどまったのは、人件費削減ではなく、何十年にも及ぶ積立金を取り崩したから(p202)

    ・福島原発災害は、物損は大きかったが、放射線で亡くなった人は一人もいない、急性放射線障害の作業員もいない、広島と長崎の復興を思えば福島の大部分はすぐにでも帰れることがわかるだろう(p212)

    2013年7月13日作成

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著者プロフィール

長浜浩明(ながはま ひろあき)
昭和22年群馬県太田市生まれ。同46年、東京工業大学建築学科卒。同48年、同大学院修士課程環境工学専攻修了(工学修士)。同年4月、(株)日建設計入社。爾後35年間に亘り建築の空調・衛生設備設計に従事、200余件を担当。
主な著書に『文系ウソ社会の研究』『続・文系ウソ社会の研究』『日本人ルーツの謎を解く』『古代日本「謎」の時代を解き明かす』『韓国人は何処から来たか』『新文系ウソ社会の研究』『最終結論「邪馬台国」はここにある』『日本人の祖先は縄文人だった!』『謀略の戦争史』(いずれも展転社刊)『脱原発論を論破する』(東京書籍出版刊)『日本の誕生』(WAC)などがある。

「2022年 『原発と核融合が日本を救う!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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