- Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
- / ISBN・EAN: 9784862381910
感想・レビュー・書評
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他の人のレビューにもあるが、終戦直後の分析としてはまことに秀逸と思われる。陸軍幼年学校の弊害や、陸海軍の不仲など、しばしば言及されることの原典が本書であったのかと思うほど。
もちろん、米国における公文書の公開で後年判明した諸々の事情を、この当時の筆者が認識しているわけもなく、現在の時間軸からみると正攻法的内省(つまりバカ真面目ぶり)がやや目につくが、国内の問題に限れば本書の指摘事項に尽きると言っても過言でないだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
終戦記念日なので読んでみました。
戦争の事情や敗因を鋭くまとめており、何よりも、これが終戦の1ヶ月後の公演の中身であることに驚かされました。
わかっている人はわかっていたけれど、止められなかったんですね。
書かれている敗因は、今も変わらぬことばかり。
自分自身がそうならぬよう、また少しでも周りを巻き込んでよくしていけるよう、努めていきたいと感じました。 -
なぜ、日本は第2次世界大戦で敗れたのか。第2次岸信介内閣で運輸大臣を務めた政治家、そして実業家であった故・永野護氏が、その敗因を明らかにする書籍。
今回の戦争が起きた根本原因は、日本の国策の基本的理念が間違っていたことにある。開国以来、徐々に国力を増強していった日本は、自国の利益のみを目的とする「自給自足主義」を目指すようになった。この自給自足主義を「大東亜共栄圏建設」の名で強行したことが、戦争の胚子となった。
自給自足主義に加え、次のような事情が重なり戦争は起きた。
・日本の指導者や軍部がドイツを崇拝し、その物真似をした。
・軍部が近代戦の実体も英米の実情も知ろうとせず、精神力だけで戦おうとした。
・世論本位の政治を行わず、自由な議論を圧殺した。
日本にとって不幸だったのは、上記のような事情が「大人物の端境期」に生じたことだ。明治期の西郷隆盛のような大人物が現れず、官僚が右往左往している間に戦争に突入した。
戦時中、日本に大きな打撃を与えたものは、英米の「科学の進歩」の差である。これには次の2つの側面がある。
①科学兵器:レーダーや原子爆弾など、英米は日本より優れた科学兵器を有していた。
②科学的マネジメント:人員や物資を効率的に使う経営能力が、日本はひどく立ち遅れていた。
戦争の致命的敗因は、陸軍と海軍の不一致である。両軍は協力体制を築かず、自軍には不要な戦争資材でも相手に取られないよう先に押さえるなど、反目し合った。陸海軍当局者はこうした状況を把握していながら、正すことができなかった。 -
日本はなぜ戦争で負けたのか。学校で習ったつもりだったが実はなにも知らなかったことをこの本で思い知らされた。
もちろん全てが真実とは言い切れないだろうが、戦中戦後当時の生の空気をこの本からは感じられ、自然と納得させられた。
終戦直後のわずか数ヶ月であれほどの情報量と考察を得た筆者に驚嘆するばかり。てっきりジャーナリストだと思っていたが、政治家・実業家だそうで。どんな人物だったのだろう。 -
最初にパラパラっとめくってみて、文字が大きすぎてこすいと思ってしまったが、量より質。終戦間近の昭和20年9月の講演内容とは思えない分析力と洞察力に脱帽。
筆者の予想した通り、復活を遂げる日本。そして、昔と変わらぬトップの不勉強と責任逃れは今も顕在か‥ -
2022年4月号
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なぜ日本は戦争に敗れたのか? 日本の実業家で政治家だった故・永野護がその原因を詳細に語った。戦後間もない昭和20年9月、著者が広島で行った講演をまとめたものである。
戦争はどのようにして起こったのか
どのようにして戦いに敗れたのか
「科学無き者の最後」
日本における陸軍国と海軍国
ポツダム宣言の政治性を読む
米英中ソ、四カ国の行方を見る
日本の将来はどうなるか