- Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
- / ISBN・EAN: 9784862482310
感想・レビュー・書評
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ファミレス、コンビニ、ファストフード店、居酒屋、外国語学校など、各種チェーン店舗の「店長」がいかに過酷な労働環境にあるかを、さまざまな角度から浮き彫りにした本である。
書名も強烈だが、章タイトルも「現代の奴隷制度=『雇われ店長』」などと刺激的だ。
読んでみると、「奴隷制度」という表現がけっして大げさには思えなくなってくる。社員店長もオーナー店長も、それぞれに悲惨なのだ。
たとえば、某大手コンビニのオーナー店長の場合、店の利益の半分(!)がチェーン店本部のロイヤリティとしてもっていかれるという。ぼったくりである。
しかも、オーナー店長になるための契約期間は10年と設定されており、オープン3年未満で店長をやめた場合、一ヶ月分の粗利益にあたる「違約金」を払わなければならない。オープンしてから「話が違う」と思っても、すぐには辞められない仕組みになっているのだ。
また、コンビニ1店舗あたりの万引き被害は年間100万円程度にのぼるが、その穴埋めは店長の負担となるという(コンビニ店長が万引き犯を暴行して死に至らしめた事件があったが、その怒りもわからぬではない)。
本書の目次の小見出しからいくつか引いてみる。
「辞めることすら叶わないフランチャイズ店長」
「管理職の概念に見合う『管理監督者』は半数以下であるこの国の実態」
「時給444円のハンバーガーショップ店長」
「高校生のアルバイトより低い時給で働く店長」
「真っ先に削られる人件費」
「経営側と一体になれない『激安労働力』としてのチェーン店長」
「このままじゃ会社に殺される」
うーむ、本書をネタ本にして、『闇金ウシジマくん』「店長くん」編が作れそうだ。
「ハケン」の労働環境もたしかに過酷だが、正社員や店舗オーナーになれば即座に明るい未来が開けるわけでもない(あたりまえだけど)、と現実の厳しさを教えてくれる本。こういう本こそ高校生・大学生に読ませるべきだと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
恐ろしい。フランチャイズ本部の闇を知った。
365日、毎日15時間働いても月収19万だなんて、やってらんない。読めば読むほどしんどくなった。
それでもコンビニ経営するメリットを書いた章があるのかなともったけど、それもなかったことに恐ろしさを感じた。 -
辛い。
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こんな辛い仕事、いやだな。
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塾の教室長も見ていてすさまじいと思っていましたが、外食・居酒屋なんかはその比ではないんだろうなあ。今の環境に感謝しなければならないと思いました。
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本書を読んで、2008年の「名ばかり管理職」という流行語大賞を思い起こした。
「新自由主義」を標榜した小泉内閣が登場したのが2001年。その規制緩和政策が社会に及ぼした結果が、本書のテーマ「使い捨て店長」である。
本書の発行は2008年、政治の影響が社会に浸透し、その政策が間違いであったことに7~8年の時間を要したということかと思えた。
本書は、当時の「コンビニエンス店長」や「ハンバーガーショップ店長」等の職種の実態を「現代の奴隷労働」と厳しく指弾している。
しかし、その後の揺り戻しか、私たちの社会は行き過ぎた規制緩和の修正に進んでいるようにも思えることから、本書の役割は十分に果たされたのではないかとも思えた。
本書を読むと、社会が成長するためには、大胆な規制緩和を進める必要はあるが、行き過ぎた規制緩和は人々の生活も社会の安定性も破壊するという壮大な実験を私たちは経験したのではないのか思いを持った。
本書は、当時のあまりにもひどい極端な「ブラック企業」のみを取り上げているという性格上、とんがりすぎた主張のようにも思るが、時代の流れを確認できる本であると思う。 -
2008/10
話題によく上がる、偽装管理職の問題を何件かの実例を載せながら論じられている。労働者よりの立場から書かれているが、一般的にありふれた論や事象の紹介ばかりで、あまり目新しさを感じない。 -
コンビニやファストフードの店ばかりが街に目に付くようになって大分たつけれど、実際「どうして儲かっているのか」心配になるような店が多いような気がしていた。
少し前に読んだマクドナルドが「藤田商店」時代から今に至るまでのながれを思い出して手に取った。フランチャイズの仕組みが、本部総取りに近いような状態になっていることがよく分かった。
働く場所としての企業選びの難しさを考えずにはいられなかった。今の大学生たちはどうやって就職活動する会社を決めているのだろうかと思う。
6/27