- Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
- / ISBN・EAN: 9784862482945
作品紹介・あらすじ
三〇年以上、通い続けてきたからこそ見えてきた。『ナツコ 沖縄密貿易の女王』で大宅賞を受賞した著者が、愛情をもって憂う沖縄の未来。移住ブームと土地バブルの崩壊、無秩序な乱開発による自然破壊、癒しの島・長寿社会への幻想、カジノ誘致構想の愚、基幹産業の不在、莫大な補助金の非効率な使途-。沖縄はこのまま東京を小さくしたような何の変哲もない島になってしまうのか。
感想・レビュー・書評
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かつては「癒やしの島、長寿社会」として知られた沖縄が、最近では乱開発による貴重な自然遺産破壊や男性の自殺率の高さなどで有名に。(でも沖縄のオバアは強い!)また、地政学的要衝の地として米軍基地を抱え込む見返りに全国一の補助金を受け取るが、貧困率は全国一。沖縄の補助金で潤うのは土建屋だけと揶揄されながらも、沖縄県民の8人に一人が建設関係者という理由から表立って反対できない村社会。(「オール沖縄」というスローガンも同様)
地場産業を守るため、みずほ銀行以外の都市銀行が存在しないとか、オリオンビールや泡盛の酒税優遇なども本土からの企業誘致の障壁となっています。
そして親戚同士の助け合い組織(ゆいまーる)があるので、失業や離婚もへっちゃら。
政府補助金をハコモノではなく、基幹産業育成や職業訓練など将来に残る資産としてなぜ投資しなかったのか?なぜ沖縄には、基地反対運動しか支持しないメディアしか存在しないのか?遅まきながら、沖縄県民(特に若者)も沖縄を仕切る社会に構造的欠陥があるのではと疑い始めてきました。
一方では、高い出生率や県外からの移住者など人口減に苦しむ他県から見れば、羨ましい環境をいかに活用するのか、あいも変わらず基地問題で県民の分断を図るよりも一致団結して沖縄の未来をどうするのか、まさに県知事の手腕が問われています。
本書で、沖縄の抱える問題をおさらいしておきましょう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
沖縄に多大な親睦を抱く、沖縄県人以外から見た沖縄の問題点。ことは沖縄に限ってはいるが、箱モノ依存、バブル、都市へのあこがれ、地域社会の衰退など、日本が抱える構造的な問題を指し示しているように思う。この本を読んで自分の住んでいる地域を見返してみると、何とも心が痛む思いである。タイトルの「沖縄幻想」というのは言い得て妙。
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面白かった。新都心の考えや、ホテルの形式など、沖縄独自というよりも、「東京」を目指している今の沖縄の感覚を表現していると思う。
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戦後から現代へと続く世間の流れを前にして「消えかけている価値あるもの」「もともと存在していない幻のようなもの」について語られています。あとがきに残された著者の言葉に、複雑な思いと切ない気持ちを覚える一冊。
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現代の沖縄の問題点を的確に突く沖縄論。沖縄は癒しの島ではない!?